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笹川スポーツ財団主催第5回「スポーツアカデミー」

「罪悪感のないおやつ」黒子善久氏に学ぶ「食」×スポーツ×まちづくり 

フード 2021/02/02

「体は食べ物でできている」RanRunが「食」についての情報発信をする際に大切にしている言葉です。
笹川スポーツ財団が「食×スポーツ」をテーマに2021年1月21日にオンライン開催した、第5回スポーツアカデミーに参加させていただきました。
今回の講師は栃木県益子町で「cafeましこびと」を営むオーナーの黒子善久さん。
スカイランニング日本代表選手を「食」で支援し、「トレラン益子」などのスポーツイベント開催に関わっています。
サーフィンの元栃木県代表のアスリートであり、栄養士でもある黒子さんが語った「食×スポーツ×まちづくり」についてご紹介したいと思います。

 

地産地消で体にいいものを提供したい

益子町というと益子焼やイチゴが有名ですが、黒子さんが暮らす上大羽地区は町の中心部から離れた里山の近くになります。
子供のころから自然に親しみ、いろいろなスポーツを経験した黒子さんは、スポーツの指導者になりたいという目標を実現し、ジムのスポーツインストラクターとしてピラティスと栄養指導を担当しました。
その頃は、アスリートの体づくりに関して「食」への注目がされていなかったといいます。
「食」は、トレーニングの質にもモチベーションアップにもつながります。
アスリートのための「食」について発信するために、「cafeましこびと」をオープンしました。

益子産にこだわり、「道の駅ましこ」との連携や自家製野菜を使って、アスリートそれぞれのニーズにあったメニュー、例えば免疫力をあげるためにバジルや大葉を使った丼などを開発し、提供しています。
道の駅で新鮮な野菜を販売していることは、皆さんご存じの方も多いと思いますが、黒子さんは安心安全なものを提供するために、生産農家さんを周り、直接ヒアリングをしながら提携先を選定するなど、食材選びへの徹底ぶりが伺えます。
そこには、益子の素晴らしいものを外の人に食べてもらいたいという思いがあります。

 

スポーツ選手が来るまちづくり

サーフィン県代表時代に、益子でトレランをやりたいので実行委員になって欲しいと依頼された黒子さん。
スポーツと栄養のことがわかる人が欲しいと口説かれ、「トレラン益子」開催に尽力することになります。
自治会や住民への説明会を開くも、初めは理解を得るのに苦労されたそうです。
ようやく開催にこぎつけたものの、初回はエントリーもなかなか集まりませんでした。
しかし、今では参加者も増え、「トレラン益子」が自治会の年中行事になるなど、地域の方も楽しみにするイベントとして盛り上がっています。(2020年はコロナ禍のため非開催)

イベント参加者のマナーが地域を変えたと黒子さんは言います。
イベントでは、冷めても美味しい益子のお米と地元の食材を使った豚汁でのおもてなしをしました。
「こんにちは」「ありがとう」スポーツをする人にとっては当たり前のような挨拶が、地域の人たちの心に響いたようです。
若い人が戻ってくるようになり、地域のきずなが広がりました。

 

益子町から世界で闘う人を育てるプロジェクト

益子の食材を使って、外に出ていく選手のコンディション作りをやりたい。
黒子さんのそんな思いから生まれたのが「罪悪感のないおやつ」です。
自身の経験から、選手それぞれに合った食材を選ぶ必要があることを知っている黒子さんは、トップアスリートの食のサポートを申し出ました。
海外遠征の時はお米や梅干し、味噌など和食の食材を持参するという話をアスリートの取材でよく耳にします。

今回のセミナーにゲストとして登壇した安ケ平萌子選手(スカイランニング日本代表)も、海外では食文化の違いで胃もたれすると話し、「罪悪感のないおやつ」でバランスを取り、安心感があって気持ちが和らげたと語っていました。
黒子さんは、一度口にしたことのある食材を使うことで、ストレスが軽減されると説明しました。

 

罪悪感のないおやつ

黒子さんが開発した「罪悪感のないおやつ」は現在6種類。
アスリート向けに作ったはずが、想定外の反響が出ているのだとか。
受験生や、吹奏楽部、美術部など文科系の部活の学生、最近ではコロナウイルス感染拡大の影響で帰宅が早くなった孫と一緒に食べるという高齢者などが買いに来るそうです。
そして口コミで耳にしたトップアスリートからの問い合わせも増えました。
黒子さんおひとりで作られているため、販売は「cafeましこびと」のみ。

緊急事態宣言が解除されたら、益子町まで足を運んでみたいですね。
食のアドバイスもいただけるかもしれません。

RanRun編集部 Yuki Yanagi

 

 

 

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