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腸内環境を研究するAuBが「山の神」神野選手のコンディショニングをサポート

筋肉痛緩和や持久力向上の効果のあるEPAと腸内細菌の関係は?

ヘルスケア 2020/09/16

サッカー元日本代表の鈴木啓太が代表取締役を務める、アスリートの腸内細菌を研究するスタートアップ、AuB(オーブ)(株)(東京都中央区)は、水産・食品大手の日本水産(株)(代表取締役社長執行役員 的埜 明世、東京都港区、以下「ニッスイ」)と共同で、青魚に多く含まれ、筋肉痛緩和や持久力向上の効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)と腸内細菌の関係を、トップアスリートで検証する取り組みを行っている。

両社は昨年9月より、陸上男子マラソンの神野大地選手(セルソース(株)所属)のコンディション(体調変化)を、EPAと腸内細菌の視点からサポートする「ニッスイ×AuB 神野大地選手コンディション向上プロジェクト」を開始した。

神野選手は、大学3年生の時に箱根駅伝往路5区で区間新記録を樹立し「3代目山の神」と呼ばれ、大学卒業後は実業団のコニカミノルタに進み、のちにプロ転向。
2019年アジア選手権マラソン優勝等の実績を残している。

神野選手は以前よりEPAの重要性に注目しており、意識的に摂取してきた経験があり、今回のプロジェクトに参加している。

プロジェクトでは、高純度EPAを配合したニッスイのアスリート向けEPAサプリメント「SPORTS EPA ULTRA PURE」を神野選手に摂取してもらい、EPAの摂取とコンディションの関係性や「血中EPA濃度」と「細菌の種類や数、構成などの腸内細菌叢の状況」を調べている。
これらのデータを活用して、神野選手のコンディション向上に取り組むとともに、血中 EPAと腸内細菌の関係についての研究を進める。

血中EPA濃度と腸内環境との関係から、コンディション向上のカギを探る

これまでの、本プロジェクトの研究により、選手のコンディションの指標である血中EPA濃度(「EPA/AA比」(血中のEPAとAA(アラキドン酸)の比率))について、神野選手が平均的なアスリートや一般生活者よりも高い数値を示していることが分かった。
加えて同選手は、免疫力をコントロールする酪酸を産生する腸内細菌「フィーカリ菌」(※)を、アスリート平均の2倍、一般生活者平均の4倍近く保有していることも分かった。

AuBとニッスイは今後、EPAの摂取量と腸内細菌の状況、レース時期によって変動する運動量や食事内容、神野選手本人への体感アンケートなどを分析し、神野選手のコンディション向上のカギとなる要因を見出したい考えだ。
このような特徴的なデータを示す被験者の検証は、新たな発見への近道になり得るため、一般人においても貴重なデータを得られるのではと両社で期待している。

 

 

上記のグラフは、いずれも「神野大地選手」と「某社会人駅伝チームに所属する選手」「某プロサッカーチームに所属する選手」を比較したもの。

グラフ1では、神野選手は他の競技者よりも「血中EPA濃度(EPA/AA比)」が高い傾向にある。

グラフ2では、ヒトに有効な酪酸を産生する代表的な腸内細菌「フィーカリ菌」(※)が、同選手は他競技者より最大で2倍となっている。

AuBのこれまでの研究では、アスリートは一般生活者よりフィーカリ菌を2倍保有することが判明しており、神野選手は一般人の4倍も同菌を保有していることになる。

(※)フィーカリ菌とは、ヒトの腸内に有効な短鎖脂肪酸の一種である酪酸を産生する酪酸菌の代表格。短鎖脂肪酸は、腸の粘膜のエネルギーとなり、腸管のバリア機能を高めるなど、健康にとってよい働きをすることで知られている。中でも酪酸は、免疫細胞にも働きかけ、免疫力をコントロールすることでも注目を集めている。

 

【ニッスイのEPAの取り組み】
ニッスイは、1980年代よりEPAの有用性に注目し製薬会社との医薬品共同開発を経て、90年にEPAの医療用医薬品の承認を取得しました。さらに、世界で初めて青魚から高純度のEPAを抽出・精製することに成功した。
また、1994年から、EPAの摂取がアスリートに与える効果を研究している。
これにより、EPAの筋肉痛緩和や持久力向上効果等を確認しており、これまで得た知見を本プロジェクトに生かす。

 

【AuBの腸内細菌研究】

AuBは2015年10月創業の、アスリートの腸内細菌を研究する企業。
代表取締役の鈴木啓太は、浦和レッドダイヤモンズや日本代表(A代表)で活躍した元トップアスリート。
これまで集めた便の数は、選手700人分(検体数1400)を超え、競技はサッカーやラグビー、陸上など、28種におよぶ。
現在、「新菌の発見」と「フードテック事業」に注力。
前者ではつい先日(2020年9月2日)、元オリンピック選手の腸内環境から、ヒトに有効な新種の腸内細菌(ビフィズス菌の菌株)を発見したことを発表するなど、成果を上げている。

 

 

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