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夏のヘルスケア 

「角膜の傷リスク」⁉扇風機の風顔に当ててない?

有田玲子先生
ヘルスケア 2022/07/11

ハンディ扇風機で短時間でも涙が蒸発、「角膜の傷リスク」が高まっていることが明らかに

早々に梅雨明けし、猛暑が続いています。熱中症対策はどうしていますか?
通学時、運動後、ハンディ扇風機を活用している女子も多いのではないでしょうか。
このハンディ扇風機も使い方に気を付けないと、目のトラブルを起こすリスクが潜んでいることがわかりました。
現代人の角膜ケア研究室が、眼科医の有田玲子先生監修のもと、ハンディ扇風機の影響について行った実験でわかった夏の「角膜の傷リスク」とケア方法をご紹介します。

 

夏の「エアコンや扇風機などの風」で涙が蒸発!角膜がむき出しに‼

風で涙が蒸発してむき出しになった角膜

エアコンや扇風機から出ている「風」を浴びることで、目の角膜に傷をつけてしまうリスクが高まってしまいます。
眼科医の有田玲子先生によると、角膜は水と油からできている涙に守られており、扇風機などの「風」を受けることによって涙が蒸発し、角膜がむき出しになってしまうといいます。
角膜は繊細で傷つきやすい器官。
角膜が傷つくと疲れやかすみなどの不快症状につながってしまいます。
中でも夏の定番になりつつあるハンディ扇風機は、直接顔に風が当たるため、リスクが高いことが懸念されます。

【実験】ハンディ扇風機の風を顔に当てることでどのくらい黒目(角膜)に影響があるのか

①使用シーンを想定し、固定したハンディ扇風機を使って1分間顔に風を当てる(まばたきは通常通り行う)。

 

②1分後に問診票による体感の変化、BUT測定を行い、前後での変化を観察する。

※BUT測定:目の表面の涙がどのくらいの時間で乾燥し始めるか(Tearfilm Breakup Time)を調べ、涙の安定性を計る検査のこと。この時間が短いと涙が不安定で角膜が露出し、傷つくリスクが高まる。

【結果】
◆BUT数値(涙が乾燥し始めるまでの時間)の変化
今回実験した3人全員の涙の保持時間が半分以下に減少することがわかりました。
1-2秒で涙が蒸発し始める結果となり、「角膜の傷リスク」が高まっていることがわかりました。

◆体感の変化
「たった1分でも目が乾いた感じがした」という意見や「体感的には乾燥を感じなかったが、(結果を聞いて)こんなに乾いているとは驚きだった」など短時間で涙が乾きやすくなっていることに驚く声があがりました。

まとめ:有田先生のご見解

今回の実験を受けて、短時間であっても直接目に風が当たることは、目にとって良くない環境であることがわかりました。
角膜が傷つくリスクとして様々なものがありますが、風が一番影響が大きいとも言われています。
風の影響を受けて涙が蒸発しやすくなり、角膜が涙によって保護されずに、裸のような状態になってしまうと角膜が傷つきやすくなってしまい、乾き・かすみ・疲れ目など不快症状などにつながってしまいます。
風が直接目元に当たらないように首元に当てるなど、使い方の工夫をしましょう。

 

 

【眼科医がおすすめ】適切な夏のアイケア習慣で目の角膜を守ろう

①目を適度に休める/いたわる
夏の様々なシーンで目の角膜に傷がついてしまうリスクがあります。
リスクを少しでも減らすために、日常的に目を使いすぎないようにしたり、目を休めることを意識しましょう。
②目薬でケア
目薬でのケアも有効です。
目薬はさしすぎると涙を流してしまい逆効果になるので一日に3~5回程度を目安に一回1滴だけさすようにしましょう。角膜の修復を助けるビタミンA入りの目薬がおすすめです。

 

有田 玲子 先生(医学博士)

伊藤医院眼科副院長 慶應義塾大学元眼科非常勤講師 東京大学眼科臨床研究員
2012年、眼科医、一般のかた、患者さんに涙のあぶら・マイボーム腺の重要性を啓蒙するべくLid and Meibomian Gland Working Group(LIME研究会)を立ち上げ、涙のあぶらの重要性をより多くの方々に発信していくことを目的に講演会・講習会・ハンズオンワークショップ・患者さん向けパンフレットの作成などActiveに活動している。
国際的には涙のあぶらに関する英文論文を70報以上Publishしており、涙のあぶらに関する論文数では世界一となっている。
最近では一般の方へドライアイの正しい知識啓蒙のためYouTubeチャンネルを配信している。https://linktr.ee/AritaReiko

 

資料提供:「現代人の角膜ケア研究室」

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