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スポーツ女子と関係者に伝えたい~生理のこと~

生理のこと、身体のこと
ヘルスケア 2015/10/30

生理痛を我慢していませんか? 生理不順の不安を抱えていませんか? 相談できる人はいますか?生理は女性の健康管理のバロメーターです。自分は大丈夫などと過信せず、自分の人生を守るために、月に一度、生理のことを気にかけてみましょう。

「トップアスリートから学ぶ月経の不調 克服の秘訣―女性のQOL(Quality of  Life)向上に向けて―」第55回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会 月経の問題を考える 市民公開講座が2015年9月12日、パシフィコ横浜(神奈川県)で小林弘幸先生(順天堂大学総合診療内科教授)の進行のもと開催されました。萩原智子さん(2000年シドニーオリンピック女子競泳日本代表)、小原日登美さん(2012年ロンドンオリンピックレスリング金メダリスト)、室伏由佳さん(2004年アテネオリンピック ハンマー投日本代表)の3名がパネリストとして登壇し、「子宮内膜症」「無月経」などの経験談を語りました。

 

北出真理先生

登壇中の北出真理先生(順天堂大学准教授)

 

 

冒頭、北出真理先生(順天堂大学産婦人科学准教授)による「子宮内膜症」についてのレクチャーがありました。キャリアアップ、晩婚化・晩産化、少子化による女性のライフスタイルの変化と子宮内膜症の関係について、出産回数が少なくなった現代では術後も出産ができるように子宮温存手術と薬物療法による治療が中心になっているとの説明がありました。もし、生理痛の悩みを抱えているとしたら、それは子宮内膜症や機能性月経困難症などの病気のサインかもしれません。がまんせず、専門の婦人科医に相談することが大切です。

能瀬さやか先生(国立スポーツ科学センター)は、「女性アスリートの無月経」についてレクチャーされました。エネルギー不足(BMI17.5以下)による骨粗鬆症が疲労骨折を招くのだそうです。エネルギー不足のサインとしては、「無月経」「月経不順」が挙げられます。

低体重が求められる陸上競技や減量による極端な体重減少を伴うレスリングやウエイトリフティングなどは、無月経や一時的な生理不順を招くリスクが高いそうです。日本の女性アスリートの約4割がエネルギー不足という結果が出ています。能瀬先生は、無月経・月経不順を放置しない姿勢をコーチやトレーナーに伝えたいと語っていました。

 

第55回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会

 

「もっと早く病院に行くべきだった」そう語ったのは、萩原智子さんです。子宮内膜症の手術を乗り越え、ロンドンオリンピック日本代表最終選考まで残った経験を持つ萩原さんは、強い生理痛をがまんしてしまった経緯を振り返り、生理について話すことや婦人科に行くことを恥ずかしく感じてしまう日本の教育環境を変えることが必要だと語っていました。現在、9カ月のお子さんを育児中の萩原さんですが、子宮内膜症=不妊という間違った情報を伝えられショックを受けた時期もあったそうで、治療すれば出産できる病気であること、正しい情報を発信すべきメディアの責任についても触れていました。

かかりつけの主治医を持つことの大切さを訴える室伏さんは、父(室伏重信さん)、兄(室伏広治さん)とアスリート一家で育ち、たくさん練習すれば強くなれるという信念で頑張ることが好きだったと自らのアスリート生活を振り返りました。貧血・婦人科疾患・腰痛と次々に体の不調を抱えながらも、相談できるところがなく我慢してしまったと語りました。自分が子宮内膜症の手術を受けた後に、萩原さんが同じく手術を受けたことを知り、術後のプロセスなどのアドバイスをメールで伝えたのだそうです。萩原さんは、情報を受け取ったことで気持ちが楽になったと話していました。室伏さんは、アスリート同士の情報共有がないことも問題だと指摘していました。

生理不順の不安をお母さんに相談し、中学生の時から婦人科医に行っていたという小原さんは、大学入学で上京する時も、かかりつけの医師を持つと決めていたそうです。生理痛の経験はないものの、試合の度に減量をしなければならなかったため、その度に無月経になったといいます。筋量をキープしたまま体重を減らすため、一時は体脂肪率4%という時もあったそうです。オリンピック代表が決まってから無月経になり、メンタル的にも不安定になったため、婦人科医に相談して状況を把握しながら競技生活を進めたと語りました。競技を引退した後の人生のことを考えて、きちんと治療を受けることが大切だと話す小原さんは、選手だけでなく指導者にもアスリートの体調管理について知ってほしいと訴えました。

 

トップアスリートが、自らのアスリート生活と病気の関係、発症から克服までの経験談を語るのは、「生理について関心を持つことで病気を防ぐことができる」ことを若い世代に伝えたい、「女性アスリートを取り巻く環境を少しでも良い方向に変えたい」という思いがあるからです。能瀬先生は「ジュニア世代からの月経教育」「月経調整についての婦人科医師による情報発信」が今後の課題であると締めました。女性が知っておかなければならない情報をRanRunはスポーツ女子に届けます。

 

RanRun編集部 やなぎゆき

日本産科婦人科内視鏡学会 http://www.jsgoe.jp/

順天堂大学 http://www.juntendo.ac.jp/

国立スポーツ科学センター http://www.jpnsport.go.jp/jiss/