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禅に学ぶ 私が頑張る、本当の目的

私が頑張る、本当の目的
ヘルスケア 2016/06/27

なぜ、なんのために、そんなに頑張っているのでしょう。
勉強にスポーツ、就活、アルバイト。毎日、フル回転で頑張っているのに、なかなか成果を感じられない時があります。
そんな時の「心の持ち方」について、曹洞宗の僧侶 宇野全智先生に禅宗の考え方を教えていただきます。
メンタルケアの第7回は、「私が頑張る、本当の目的」です。

 

宇野全智先生

 

スポーツ女子のみなさん、こんにちは。
前回、前々回と、スポーツに打ち込む皆さんの生活に禅の教えを役立てて頂くために「自己を高め、目的を達成するために必要なこと」「真の心の強さとは~心を磨く」といったテーマでお話を進めてきました。
今回は、皆さんがスポーツに頑張る意味について、別の角度から考えていきたいと思います。

 

まず、皆さんに伺います。
皆さんがスポーツに全力で打ち込む目的は何でしょうか?
別の言い方をすれば、何を得るために頑張っているのですか?

 

おそらく皆さんは、学校の授業や試験、就職活動など、他にもやらなければならない様々な事がある中で、時間と体力をスポーツに費やしているのだと思います。
その最終的な目的はどこにあるのでしょうか?

 

もちろん、「試合で勝つこと」や「満足できる記録を残すこと」と言う人が多いのだと思います。ですが、よくよく考えて見れば、現実には試合で勝ち続けられる人は一握りですし、その中でもプロとして活躍できる人は本当に僅かでしょう。
もしかしたら皆さんは、遠くはないある時期に、大きな挫折を経験したり、またその競技から離れなくてはならない日が来るのかもしれません。
でも、勝ち残れなかったら、またいつかやめてしまう日が来るのなら、それまでの努力は無駄になってしまうのでしょうか?

 

この問いの本質は、「手段と結果をどう意味づけるのか」という禅の修行観と大きくつながります。
そして曹洞宗の禅の思想は、これに対する明確な答えを持っています。

 

禅の修行とさとりの関係について、一般的には「厳しい修行を積み重ねて、その成果として悟りを得る」といった感じに理解されていると思います。
この場合、修行は手段、さとりが結果ということになります。
つまりは一生懸命修行をするプロセスを経ることで、いつかはさとりという成果を得ることが出来るのだという考え方なわけですが、実は曹洞宗の修行観はこれとは全く違い、「修行する事こそが、さとりの姿そのものである」と考えるのです。

 

お坊さん

 

これは、今の人生のこの瞬間を、未来の自分のために使うのではなく、今のこの瞬間のこの存在の中にこそ、自分の生きる意味と目的をしっかり定めるという事、言い換えれば、今努力している意味と意義は、未来の成功のためにあるのではなく、今努力をしている事こそが、今の自分を高める財産なのだと捉えることでもあります。

 

人生の主人公になる

「主人公」という言葉があります。
小説やドラマなどでは「物語の中心となる登場人物」の事を表しますが、この言葉、もともとは禅の思想から生まれた言葉で、「立ち返るべき、自分本来の姿」の事を意味します。
それは前回お話しした「むさぼり いかり おろかさ」に染まらない、柔軟で伸びやかな「本来のこころ」でもあります。

 

団体競技において、また社会生活において、私たちには様々な役割と立場が与えられます。
その中では一見「主役」とは程遠い「脇役」「端役」「裏方」といった役回りもある事でしょう。
また自身の人生においても、スポットライトが当たる栄光の日もあれば、辛く切ない暗闇の日々もある事でしょう。
しかし、禅の教えは、「自分の人生は、自分が主役である」こと、だからこそ「どの瞬間の経験も、自分にとってかけがえのない成長の機会なのだ」という事を繰り返し説きます。
そのために、今取り組むべきことに誠実に、丁寧に取り組むことの大切さを説くのです。

 

どんなに辛く、苦しい中にあっても、むさぼりやいかり、おろかさといった「心の毒」をコントロールしていくこと、しなやかでのびのびとした心を保ち続けるように心がけること。
そして、「なりたい自分」のイメージを、自分の内側に確かに持ち続けること。

 

過酷で厳しいスポーツの世界に身を置く皆さんだからこそ、仲間からも自分自身からも、尊敬され、信頼される自分を育てていけるはずです。

 

<講師紹介>

宇野全智(うの・ぜんち)

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曹洞宗総合研究センター専任研究員。山形県大石田町地福寺副住職。
1973年山形県生まれ。山形大学理学部生物学科卒業後、曹洞宗の僧侶養成機関で3年間、布教活動の実際を学ぶ。その後、福井県の大本山永平寺にて1年間修行。以後、曹洞宗の研究機関で仏教や禅の教えをわかりやすく伝え、また生活に役立ててもらえるようにするための冊子編集、研修会の運営などに携わる。

 

 

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