コーチと選手が共に幸せになるマインドセット 女子バスケインカレ4連覇の恩塚監督

「ワクワクする コーチのマインド ‟コーチも選手と共に幸せになりましょう”」
東京医療保健大学女子バスケットボール部の恩塚亨監督は、選手を幸せにするためにはまずコーチ自身が幸せになる必要があると話す。
同部は、現在インカレ4連覇中の強豪チームだ。
恩塚監督が「バスケットボールを楽しむには」をテーマに、今のバスケットボール界に広めたいマインドセットを発表し、皆がワクワクしながらバスケットボールに向き合える環境作りについて話をした。
学校法人 青葉学園が運営する東京医療保健大学(本部:東京都品川区、理事長:田村哲夫、学長:木村哲、以下本学)が2021年3月24日(木)、「東京医療保健大学 恩塚監督 今のバスケット界に広めたいマインドセット発表会 ~成長に繋げるマインドセットとは~」を開催した。
同イベントに参加した同部主将の木村亜美選手、渡嘉敷来夢選手(ENEOSサンフラワーズ)、 佐藤晃一氏(JBAスポーツパフォーマンス部会 部会長)の話など、シリーズで紹介する。
「情熱(責任感)と不機嫌」の使い方
部活の監督、コーチは厳しくて怖いというイメージを抱いている人も少なくないのではないだろうか。
恩塚監督は、「一流のコーチや職人は大体不機嫌」、厳しさが当たり前だと思っていたと過去の失敗を振り返る。
情熱から「徹底させなければ」「鍛えさせなければ」「苦しい思いを乗り越えさせなければ」「勝負の厳しさを教えてあげなければ」といった責任感が強いコーチほど、実はチームを壊してしまうと話す。
「不機嫌」は相手が自分に合わせてくれ、気を遣ってもらえ、威厳が保てる「便利な手段」だが、それでは本当の意味で選手の成長にはつながらない。
本来、コーチが目指したいのは「選手やチームの成長」のはず。
しかし、コーチが不機嫌でいると選手のパフォーマンスは下がってしまう。
恩塚監督は、コロナ禍の読書で「生産性」という言葉に出会った。
自身のコーチングは生産的ではなかったことに気づく。
そして感情的だった指導法を効率重視の指導法へと変えた。
「なりたい自分」へのワクワク感
選手が自主練習に取り組めない時には、監視したり、記録をとらせたりすることもあったが、ワクワクしてそのことで頭がいっぱいになる状態を作ることで、自然と練習をするようになることに気づいたという恩塚監督。
それからは、「やれ!」という指示を出すのではなく、例えばレブロン・ジェームズ選手に憧れている選手に対しては、「レブロンに!」と声をかけるなど、なりたい自分になろうと選手が自ら練習に取り組みたくなるような声かけを意識している。
選手が常になりたい自分の姿を想像し、ワクワクしながら練習に励めるような環境を作ったのだ。
「イケてる私」をサポートするのもコーチの役割
恩塚監督は、コーチとして重要なことは次の2点だと話す。
- 選手の心のエネルギーをいっぱいにすること
- 選手とチームの命を輝かせること
選手が「私ってイケてる!」という心の状態になるようサポートし、「キミもイケてる!」と言葉を掛け合える環境を作ることが、コーチ役割と考えているそうだ。
チームの目的は「日本一になって皆で喜びを分かち合うこと」、そのためのチームの目標は「リーグ戦優勝、インカレ優勝」。
しかし、最も大事なのは人生の目的。
「生まれ変わるなら生きているうちに」、コーチも選手も、たった一度の人生を輝かせられるように、「ワクワクしてバスケットボールに向き合おう」と話した。
自身が壁にぶち当たって悩んでいる時、リーダーとして部員のモチベーションアップを図りたい時、「なりたい自分」になるための練習を意識してみてはいかがだろうか。
東京医療保健大学女子バスケットボール部
インカレで4連覇を果たした大学女子バスケの強豪校。
卒業生にバスケットボール選手の津村ゆり子、藤本愛妃、岡田英里等がいる。
【主な成績】
2017年インカレ 優勝
2018年インカレ 優勝
2019年新人戦 優勝
2019年インカレ 優勝
2020年インカレ 優勝
Instagram:thcu_bc Twitter:@THcuBc
恩塚 亨監督
2006年に東京医療保健大学の女子バスケットボール部を立ち上げ、創設11年でインカレ日本一に導く。
日本代表チームにも自ら希望し自費参加で帯同し、代表チームをデータ面からサポート(ビデオ分析)。
功績が認められ、2008年オリンピック最終予選から正式に女子日本代表のアナリストを務める。
現・女子日本代表アシスタントコーチ。