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競技で腸内フローラが違う?AIがアスリートの便で競技を見分ける

ヘルスケア 2020/01/19

サッカー元日本代表の鈴木啓太氏が、アスリートの腸内細菌を研究する「AuB(オーブ)(株)」(東京都中央区)の代表を務めていることはご存じだろうか。

アスリートの便(腸内環境)の解析データをAI(人工知能)に読み込むだけで、サッカー選手か否かを85%の確率で見分けられるようになった。
ラグビー選手か否かは80%、長距離陸上選手については50%の確率で識別できるまでになっている。

AI解析に使用した学習データは3競技とも、AI精度の指標である「AUC(Area Under the Curve)」(最大値1)が0.8以上の高い数値を示していることから、各競技のデータが明らかに異なる特徴を持つという評価も得ている。

この研究結果は、競技によって異なる運動習慣や食習慣が、腸内環境に影響を与えている可能性を示唆している。

AuBは、「腸内細菌の群れ(集合体)である腸内環境(腸内フローラ)の競技ごとの特徴から、その人の競技をAIで分類できる可能性があるのではないか」という仮説を立て、2019年2月から検証を開始。

自社が持つ28競技種目、500人・1000検体以上のアスリートの便データのうち、検体数の多いサッカー、ラグビー、長距離陸上選手(計257人)を対象に調査。

この結果を踏まえ、便の検体数を増やし、さらにAIの精度を向上させると、他の競技でもある程度分類ができるのではないかと考えている。

<調査方法について>

プロリーグや社会人リーグ、実業団、大学の部活に所属する、サッカー選手119人、ラグビー選手83人、長距離陸上選手55人の計257人の便の検体からDNAを採取して、その人の腸内に棲む腸内細菌の数や種類、その割合をAuBの研究員が解析、それらのデータの約9割をAIに学習させている。
機械学習はクロスバリデーション(交差検証)という手法で行い、精度を高めている。

その結果、AIの確かさを示すAUCの評価指標は、3競技ともに0.8以上(サッカー0.83、ラグビー0.88、長距離陸上0.80)の高い数値を示した。
(AUC/0.8以上:非常に高い効果、0.7-0.8:高い効果、0.6-0.7:効果多少あり、0.5-0.6:効果がさほどない)

AI精度の高い状況下で、残りの約1割のテストデータを用いて競技判定をした結果、サッカー選手で84.6%、ラグビーで80%、陸上長距離選手で50%の正解率となった。

 

<腸内環境のAI識別に関する取組過程と今後の展望>

AuBはアスリートの腸内細菌を研究する企業として2015年10月に設立。
創業以来、鈴木氏が中心となり、スポーツ界の人脈を生かして集めた便の数は現在、選手500人分を超え、その検体数は1000を突破している。

選手は、オリンピックの金メダリストをはじめ、海外の一流クラブやJリーグに所属するサッカー選手、プロ野球選手など、超のつくトップアスリートが多数並ぶ。
また競技はサッカーやラグビー、陸上など、28種に及ぶ。

 

収集した便からDNAを採取し、腸内細菌の集団(腸内フローラ)を解析して、そのデータをもとに各大学など研究機関と、腸内フローラがヒトにもたらす効果を解明する研究を進めている。

そうした研究活動を通じて、競技ごとに腸内環境は分類・パターン化できることがわかってきた。
太りやすさや、酪酸菌の多さ、腸内フローラの機能の違いなどだ。

例えば、「プロテインを摂取しているが、筋肉が付きにくい」という課題を持つ選手がいる。
そう悩む選手は意外と多く、食事調査や血液検査、尿検査をしても原因がわからない。

しかし、腸内環境を見ると、筋肉のつきにくい選手は、「腸内細菌の多様性(種類やバランス)」と「筋肉の形成にかかわる菌の数」が低く、「菌の構成が栄養を吸収しにくい状況」にあることがわかる。

そうした選手には、管理栄養士が、筋肉のつきやすい腸内環境をつくる食事指導をする。
実際に筋肉をつけた選手もおり、実績を積んできた。

2019年2月、社内で「腸内フローラのパターンから、その人の競技をAIで分類できる可能性があるのではないか」という仮説を立て、検証を開始した。
まずは検体をランダムに選択してAI学習とAI識別にかけたところ、保有検体数の多いサッカーとラグビー、陸上(長距離)の選手に限っては、92%の確率で競技を当てることができ、仮説に対して好感触を得た。

さらに、学習データの調整と機械学習モデルの確かさを示すAUC評価などを行った結果、AUCが0.8以上という精度の高さの中で、今回の結果を導き出した。

今後、より多くの多様な選手のデータを集積すれば、さらに精度の高い解析データを得られると考えている。

現在は、いずれかのチームに所属する選手のデータ群を解析しているため、極めて同じ様な食生活をしている可能性がある。
つまり、競技以外のチームとしての特徴が、データに影響していることも考えられる。
被験者を増やして、そうしたバイアスを除くと、腸内環境が競技やチームの特徴から外れる選手を簡易的に見つけ出すことができる。

そうした選手は、当事者の競技軸から外れた腸内環境になっている可能性が高く、腸内細菌の特徴と選手の課題の関係性を見出しながら腸内改善を意識したコンサルティングで、選手のパフォーマンス向上に寄与できる可能性がある。

 

 

AuBは創業から4年間かけて解析した500人・1000検体以上のアスリートの腸内環境の研究結果をもとに、酪酸菌を主に29種類の菌を配合した独自の「アスリート菌ミックス」(名称:Athlete Bio Mix/アスリート・ビオ・ミックス)を開発。
同菌ミックスをベースとした、腸内環境を整えるサプリメント「AuB BASE(オーブ ベース)」(1袋90粒入り、1カ月分)を、2019年12月16日(月)から自社ECサイトで新発売した。

4年間の研究では、ヒトの腸内の健康度合いは「酪酸菌の多さ」がカギを握ることを明らかにし、合わせて「菌の多様性(種類の豊富さ)」が重要な役割を果たすことを確認。
その知見を生かした第一弾商品だ。

 

 

 

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