アスリート・キャリアサポート 人生は自分が経験から何を学ぶか

2月1日掲載のキャリアアップでご紹介した東京都アスリート・キャリアサポート事業「第2回就活スキルアップセミナー&先輩アスリートとの交流」(2016年12月20日開催)には4人のトップアスリートが登壇されました。その中から女子アスリートお2人(小西ゆかりさん、宮坂楓さん)が学生に話していたことを少しご紹介したいと思います。
ライフル射撃ピストルの小西ゆかりさん(飛鳥交通株式会社)は、元自衛官。アテネ大会、ロンドン大会と2度の五輪出場をされている小西さんですが、競技に専念するために自衛隊を辞めて3年間は無職の時期がありました。練習にもお金がかかるため、競技生活を続けるためには安定した生活環境を作る必要性を感じ、アスナビに登録したといいます。
アスナビの記事がきっかけになり、今の勤務先である飛鳥交通株式会社に就職しました。
「就活の決め手になったことは?」との質問に対し、「格好つけずに、素直に自分のことを話したことですね」とアドバイス。
現在入社4年目の小西さんは、給与プラス競技資金を会社から支給されています。射撃の練習には玉の購入にもお金がかかるため、「私は試合に勝つための練習しかしません」ときっぱり。射撃に馴染みの薄い学生達は競技についての関心も高く、メンタルトレーニングについての質問なども出ていました。
「皆さん射撃はメンタルスポーツだと言いますが、射撃はバランスのスポーツです」と小西さんはニッコリ微笑みます。全身でバランスをとる競技なので、銃を構える練習を1日に何時間も続けるのだそうです。
自衛隊に入隊してから射撃を始めた小西さんは、元々保育士志望でした。従妹に誘われ自衛隊の入隊試験を一緒に受けたところ合格したことが、そもそもの始まりだといいます。
自衛隊の訓練で銃を持ち撃ったところ、競技にスカウトされました。自衛隊体育学校で競技の腕を磨き、五輪を目指すことになりました。
「人生は、自分が経験から何を学ぶかだと思います」とは小西さんが学生に向けて言った言葉です。
メンタルトレーニングについての質問には、「辛くなってからが勝負だと思っています」と返答。ダメだと思ったところが勝負だと小西さんはいいます。そこからどう戦うか、諦めずにやった人にしか結果は出ません。「絶対、人には負けないと思うこと」と小西さんは力強く語ります。
また、「集中するにはどうしたらいいか」の質問に対し、最近の射撃大会は会場内で音楽が鳴るなど様相が変わってきていると前置きし、自分に暗示をかけていると小西さんは言います。他の選手も同じようにやりにくいはずなので、「私はできる」と自分に暗示をかけ試合に集中するようにしていると話していました。
陸上競技で三段跳びと走り幅跳びの選手である宮坂楓さん(ニッパツ)は、横浜国立大学を卒業後、ニッパツ入社までの半年間はアルバイトをしながらの競技生活でした。今思えば、卒業時の考えが甘かったと振り返ります。遠征費を稼ぐためのアルバイト生活は、競技だけでなく日常も気持ちが安定しなかったといいます。
どうやって会社を探せばよいのか就活の方法がわからなかった宮坂さんは、関係者の紹介でJOCのアスナビの制度を知りエントリーをしました。企業との面談では、自分の目標とする記録を達成するための具体的な方法を説明することで「自分の成績の伸び代」をアピールしたそうです。
現在は、週2~3日の時短勤務という環境で競技生活も安定し、2016年三段跳び・走り幅跳び 日本ランキング1位という結果を出しました。
会社では総務部広報グループで社内報の編集やウェブサイト関連の業務をしています。応援に来てもらうためのPRチラシ・告知ポスター・ビデオレター制作にも参画しているそうです。
「成績を残すことで会社のPRにつなげることができれば」と企業に所属するアスリートの役割について語っていました。
RanRun yukiyanagi