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ボート元五輪代表 岩本亜希子さん 今やっている事に全力を注げ

今やっている事に全力を注げ!元五輪代表 岩本亜希子
ピープル 2015/12/11

アジア大会4回、世界選手権7回、シドニー・アテネ・北京・ロンドンとオリンピックに4回出場し、トップアスリートとして世界で戦ってきたボート競技元日本代表の岩本亜希子さん(アイリスオーヤマ株式会社所属)。現在は、9カ月のお子さんのママとなった岩本さんに話を聞いた。

 

<ボートの魅力>
「水の上は非日常。初めてボートに乗った時の水の上をスーッと立った時の感動に勝るものはありません」水の上で一人ボートに乗った時の圧倒的な解放感、景色、ボートに乗った人にしかわからない魅力を語る。
チーム戦の場合は、「1+1が2にならない。1+1が0.8だったり、3になったりする難しさがボート競技の面白さ」。
シングルで戦うことが多かった岩本さんだが、「チーム戦が好きです」と笑顔をみせた。

 

<ボート競技を始めたきっかけ>
ボートを始めたのは高校生になってから。
バルセロナ五輪水泳競技で同年齢の岩崎恭子さん(当時14歳)がメダルを獲得したことに衝撃を受け、「私も強くなりたい」と思ったという。
姉がボートのインカレで表彰台に上がる姿を見て、自身もボート競技に自分の輝ける場所を見出した。
全国大会に出ると色々な場所に行くことができた。
世界ジュニア代表に選ばれ、夢を叶えていった。

 

<大学生活>
早稲田大学教育学部の学生だった岩本さんは、朝5:30~7:30に練習をしてから大学に登校した。
授業が終わると帰ってまた練習という生活。
学生時代から日本代表として活躍した背景には、勉強との両立での苦労もあった。
練習のことを考えながら授業の時間割を作っていても、日本代表ともなると授業に出られない期間も出てくる。
厳しい言葉をかける先生もいたそうだ。

 

<就職活動>
就職活動では、ボート競技を続ける環境としての企業選びをした。
当時、アイリスオーヤマがボート部を新設するという話を聞き、新しい環境なら今以上の選手になれると考えたそうだ。
クリエイティブな理念に共感し、アイリスオーヤマに就職を希望、1次選考から受けたという。
ボート競技は耐えるスポーツという岩本さん。
面接では、努力を積み重ねてきた勤勉さをアピールした。
また、7分のレースの中で、疲れたところからそれをエネルギーに変えゴールに向かう、自分の弱さに打ち勝つメンタルの強さは、スポーツでも企業でも役に立つとアピールしたそうだ。

 

<健康について>
学生時代から一人暮らしをしていた岩本さんは、身体のことには常に気遣っていた。
自炊の時は、栄養バランスを考え色目でバランスを取った。
栄養は3日でバランスを整えればよいと聞きそれを実践した。
とはいえ、学生時代はリバウンドすることも多く、「10㎏増えた時は服を着こんで必死で隠しました」と笑う。
無理な減量をせず、身体を動かすことで体重を減らした。
躍起になって自分に制限を課すのはよくないと話す岩本さん。
誘惑に負けた時は自分を許すことも大切だという。
自分の中で食べてもOKという食品を決め、何時までなら食べてもよいなどのマイルールを作っていたそうだ。
自分に厳しすぎると、それがメンタルに影響してしまいレースに支障が出ることもあり、かえってよくないと教えてくれた。
現在は、ボート競技の選手である夫のために、栄養バランスを考えながら食事を用意している。

 

<出産>
学生時代からトップアスリートとして鍛えてきた岩本さんも、出産は大変だったと振り返る。
陣痛から出産まで21時間、いつ終わるかわからない戦いは、練習では経験したことのない辛さだったという。
体重制限のあるボート競技、現役選手時代は夏場に無月経になった。
それでも、自分で意識して健康管理することで普通に出産もできる。
今は、子供を育て上げることが岩本さんの目標のひとつだ。

 

<日本代表を経験して>
世界レベルにおいて日本のボート競技はチャレンジする側。
国内でのレースの方がプレッシャーになったそうだ。
とはいえ、オリンピックは特別で自分にプレッシャーをかけたという。
ロンドン五輪の時、イギリスのスポーツ文化の成熟を感じた。
どこへ行っても現地の人から声をかけられた。
ボートレースの会場には仮設の遊園地があり、家族で観戦ができた。
ボランティアの意識の高さも感じたという。
「現地の人は代表選手を通して日本のイメージを作る」と実感した。
日本で五輪が開催される時は、海外から多くの人が日本を訪れる。
「日本国民全員が日本代表」という意識を持ち、もてなすことが大事だ。

 

<スポーツ女子へのメッセージ>
「今やっていることに全力を注ぎ、自分に限界を作らないこと。
スポーツでも勉強でも中途半端にしない。
今目の前にある壁を乗り越えればきっと次につながります。
自分がやってきたことに誇りをもち、私なら出来る!と信じて取り組んでください!」

<モチベーションを上げる時に聴いていた曲>
サザンオールスターズの「轍」

<プロフィール>

氏名岩本 亜希子
生年月日1978年9月25日
出身地長野県諏訪市

・略歴

1994年長野県立岡谷南高校入学
1997年早稲田大学入学
2001年日本体育大学大学院入学
2003年アイリスオーヤマ株式会社入社 人事部所属

・主な戦歴

2000年8月シドニーオリンピック 女子軽量級ダブルスカル 14位
2002年10月釜山アジア大会 女子ダブルスカル 銀メダル
2004年8月アテネオリンピック 女子軽量級ダブルスカル 13位
2005年8月FISA世界ボート選手権 女子舵手なしクオドルプル 9位
2006年8月世界選手権 女子軽量級ダブルスカル 15位
2006年12月アジア競技大会 女子軽量級ダブルスカル 2位
2007年8月世界選手権 女子軽量級ダブルスカル 9位
2008年4月北京オリンピックアジア予選 女子軽量級ダブルスカル 優勝
2008年9月北京オリンピック 女子軽量級ダブルスカル 9位
2009年8月世界選手権 女子軽量級シングルスカル 13位
2009年12月東アジア大会 女子軽量級シングルスカル 3位
2010年11月世界選手権軽量級 女子ダブルスカル(LW2×) 14位/16ヶ国
2010年11月アジア大会 女子軽量級ダブルスカル 銀メダル
2011年5月ヒューゲルレガッタ 女子軽量級ダブルスカル 5位
2011年6月ラッツェブルグレガッタ 女子軽量級ダブルスカル 4位
2011年8月世界選手権 女子軽量級シングルスカル 10位
2012年4月ロンドン五輪アジア大陸予選 女子軽量級ダブルスカル 優勝
2012年8月ロンドンオリンピック 女子軽量級ダブルスカル 12位
2012年8月世界選手権 女子軽量級クオードルプルスカル 10位

(国内大会については省略させていただきました)

 

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