TOPへ
映画『明日にかける橋 1989年の思い出』主演

いい作品を作るには「言い出す勇気」が必要 女優 鈴木杏

ピープル 2018/06/22

「ありがとう!よく踏ん張った」
仕事と学業の両立で大変だった学生時代の自分に声をかけるなら、ありがとうと言いたいとにっこり微笑むのは女優の鈴木杏(すずき・あん)さん。

子役でデビューして現在31歳。映画、ドラマ、舞台、CFと幅広く活躍し、2017年には第24回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞した。主演した日本版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とも言われる映画『明日にかける橋 1989年の思い出』が、6月30日公開になる。作品のこと、女優という仕事など話を聞いた。

 

「自分がどう生きるかをしっかり考えるきっかけになるといいな」と鈴木さん。
映画『明日にかける橋』は、1989年バブル最盛期の夏から始まり、バブルが弾け経済が低迷するなか、陰惨な事件が続いた実社会を背景に、現代から過去へタイムスリップしてしまった主人公とバラバラになってしまった家族に起こった奇跡を描くSFファンタジーだ。

「難しい作品ではないし、家族の話が軸になっているので、年齢性別問わず観ていただけると思います。自然の多い街並みやゆったりした時間なども感じていただければ」とコメントする。

鈴木さんが演じるのは、2010年の大人になった主人公・吉行みゆき。
1989年のみゆき(越後はる香)は多感な高校生で、親や担任教師に反発し、小学生の弟にまでやり場のない想いをぶつけてしまっていた。

鈴木さんの言葉を借りると、「若い時のみゆきはブルドーザーの様に自分の意見を言って意思もはっきりしている」が、「大人のみゆきは弟の死や家族の崩壊、母の病気等色々なものを背負ってどこか(人生を)諦めていて、でも(生活のために)働かなければならなくて、自分の幸せをさて置き、毎日を過ごす日常がある」。

鈴木さんがみゆきを演じる出発点は、「そうならざるを得ないよね」という共感部分だった。

大人のみゆきは、2010年から1989年にタイムスリップしたことで、当時の自分と向き合い、また自分の知らなかった真の両親の想いを知ることになる。

「自分の思っている以上に、実は父も母も自分のことを考えてくれているのかもしれない」
この作品を通して、鈴木さん自身もそう思うようになったそうだ。

 

「(この作品を通し)家族ってコミュニケーションが取れているようで、実は取れていないのかもしれないと思いました。
家族ってどこか甘えがあるので、しっかり意思疎通を図ろうとかしないですよね」と言い、自身も年齢を重ねるうちに家族に対して思っていることを言えるようになってきたと話す。
また、距離感を持って家族を俯瞰して観ることも、大人になってできるようになってきた。

自分のこともちゃんとケアしてあげて!
大人のみゆきは、弟の事故死という心の傷、病気の母の介護、父の仕事の失敗などを背負いながら、家族の生活を支えるために進学を諦め地元企業で働いている。

もしかしたら、みゆきのような境遇の人は多いのかもしれない。色々な環境や状況から抜け出せないでいる人は多いのかもしれないという鈴木さん。

「無責任なことは言えませんが」と前置きし、「(介護など大変な状況にあっても)ちょっとした自分へのご褒美は忘れないでいて欲しいと思います。ちゃんと自分のこともケアしてあげて欲しいです」とエールを送る。

 

仕事と掛け持ちの学生時代

鈴木杏さんは1996年のドラマ「金田一少年の事件簿」で子役デビュー、現在就活中の大学4年生が生まれた年になる。
2001年のドラマ「金田一少年の事件簿」では、高校生のヒロイン七瀬美雪を演じた。

小さい頃からごっこ遊びが好きだったという鈴木さん、好きなことをやっていたら女優になっていたと笑う。

仕事と学業の両立は大変だったそうで、「仕事が休みだと学校へ行く」「朝学校へ行ってから仕事に行く」のが日常。学校のテストと舞台が重なり寝られない日もあったと振り返る。

それでも「大変ではあったけれど、いい経験をさせてもらいました」と言い、当時の自分に会ったら「ありがとう!よく踏ん張った」と声をかけたいと話してくれた。

今の自分があるのは、当時の自分が忙しさに負けずに踏ん張れたからだ。

 

作品の中で、みゆきが担任の先生に「なんで大学に行かなければならないのか」と食って掛かるシーンがある。

それを見ていた大人のみゆきが、その場に駆け寄り教育論をぶちまける。

「なぜ勉強しなければならないの?」と子供から訊かれたら何と答えるか鈴木さんに質問してみた。

「勉強は何を勉強するかというよりも、大人になってから必要な力を身に着ける訓練だと思います」と返って来た。

集中してものを考えたり、長い時間椅子に座ったり、人の話をちゃんと聞くことも、大人になったら必要なこと。

「学ぶ姿勢を身に着けるのが学生生活なのかな」と言い、さらに、「なにか知りたいと思った時や、問題が起きた時の解決方法を学ぶのが勉強だと思います」と説得力がある。

落ち込みかけた時の対応の仕方を知っておく

女性は体の周期やバイオリズムで精神も左右されたりするので、「落ち込みかけた時の自分なりの対応の仕方を知っておくと、楽ですよ」とアドバイスする。

鈴木さんは汗をかくことで気分がスカッとするので、体を動かしたりサウナに入ったり、あてもなく散歩をしたりして心と体を整えている。

30歳になってから体力を付けようと、キックボクシングに定期的に通っている。1レッスン45分を週1回、汗だくになり精神的にもスッキリする時間を作っているそうだ。

 

女優の仕事の魅力とは

「夢を売る仕事と言われたりしますが、華やかに見える部分は氷山の一角で、内実は凄く地味な仕事です」と言い、「変じゃないとできない」と笑う。
「人前で笑ったり、泣いたり、怒ったりするなんて変でしょ?」と飾らない。

共演者と作品を作っていくうえで、「カッコつけずなるべく素直でいること」を心掛ける。
演劇界では「稽古場は恥をかくためにある」と言われるそうだ。

恥をかくことにビビっていると、いろいろなことにチャレンジができない。
「疑問に思うことはみんなにシェアすることが、作品を作るうえでは大事だったりするので、(恥ずかしいとか思わずに)言い出す勇気が必要」と話す。
どんなチャンスが来ても飛び込んでいける柔軟性が身に付いた。

仕事は、新しい作品に入る度に職場が変わるイメージだと言う。
「作品、役、演出が変わる度に、新しい人と知り合い、出会いも多いことが、この仕事の魅力」と話す。
「人に対する好奇心が強い方なので、新しい出会いに毎回ワクワクしています」と教えてくれた。

 

<撮影協力>
ヘアメイク:宮本愛(yosine.)
スタイリスト:小山よし子

©「明日にかける橋」フィルムパートナーズ

 

「『明日にかける橋 1989年の想い出』
出演:鈴木杏、板尾創路、田中美里、越後はる香、藤田朋子、宝田明ほか
監督・脚本・編集・プロデューサー:太田隆文
6月30日より有楽町スバル座、8月にテアトル梅田、9月1日より静岡県内ほかにて全国順次公開。

RanRun Social

RanRunのソーシャルネットワークは、スポーツ女子インタビュー、大会取材やイベント風景、告知などの情報をリアルタイムでお届けします。