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スポーツ女子インタビュー

日女体大バレリーナ バレエの正しい動きはキレイな筋肉がつく

バレエの正しい動きはキレイな筋肉がつく
ピープル 2016/08/19

「バレエの動きは美しい体を作るための動き」と語る呼野美咲(よびの・みさき)さん(日本女子体育大学4年)は、3歳で初舞台を踏み、以来ずっとバレエを続けている。「もっと上手くなりたい」という思いがずっと続けている理由と話す。呼野さんに、バレエの魅力、卒業後の夢などを聞いた。

 

バレエとの出会い

呼野さんがバレエを始めたのは2歳10カ月の時。母や姉が習っていたので、自然の流れだった。スイミングスクールにも通ったが、バレエと水泳では体の使い方が異なることもあり、小学校4年生からバレエ1本に。逆に姉は水泳を続け、トライアスロンに取り組んだ。

 

バレエ教室は、指導者との相性が長く続けられるかどうかを左右する部分も大きい。呼野さんは、新しく入った生徒でもスキルをきちんと見てくれる教室を探し、ご夫妻で指導をしている現在の教室と出会った。

 

バレエとの出会い

 

バレエの魅力

「もっと上手くなりたい」と日々努力を積み重ねているうちにここまできた。レッスンでは、自分の肉体の細部まで神経を張り巡らせ、鍛え続けることに幸せを感じる。美しい音楽の旋律に乗って、手を一つ動かすだけで感動するような喜びがあるという。細かい足の動きなど思い通りの動きができずに悔しい思いをすることも、鏡を見て落ち込むことも、もちろんある。それでも、少しずつ自分の中で成長しているという実感を持てる。呼野さんにとって、永遠の課題に向かって、ピリッとした教室の独得の空気の中で、自分の体と心を高め続けることの素晴らしさが一番の魅力のようだ。

 

また、バレエを通し少しでも磨かれた自分に出会うことができる。舞台で踊る喜びや、踊り切った時の達成感は、何物にも代えがたい。日々の生活での幸せもとても大切にしているが、踊る喜びは格別だと言う。「舞台での幸せは心臓が痛くなるほど強く染み込んでくる」
呼野さんはそう、表現する。

 

バレエの魅力

 

明るい踊りが得意という呼野さんの好きな作品は『ドン・キホーテ』。
なかでも好きな役は、キューピットとキトリ。
キューピットは愛の妖精で、可愛らしく、動きが速く、回ったり飛んだりする役柄だ。
主人公のキトリは、村の人気者の女の子でダイナミックな動きをする。みんなの応援の中で踊れる幸せを感じることができる役だ。

 

速い動きをどう習得していくのか尋ねると、「クラシックバレエは基本の動きの組み合わせです。ゆっくりの動きの中で正確なポジションやラインを確認し、動きを音に合わせる楽しみを感じながら速い動きを習得していきます」と教えてくれた。

 

海外留学と世界コンクール出場

2011年から2年間カナダのバンクーバーに留学した。朝のクラスにも自主的に参加し、1日4クラス受講。少人数のレッスンでスタイルでは敵わないものの、覚えの速さや理解力、やる気を強みに向き合ったそうだ。また踊ることだけの生活で、読書や水泳をする時間もあり、今までの固い自分を少し柔らかくできたと振り返る。週に一回あるコンテンポラリーのクラスの先生から、コンクールに出ないかと誘いを受け、ソロの作品を作ってもらった。自分の踊り方に悩み模索しながらも、「自信を持ってやりなさい」という先生に励まされ、2年連続1位を獲得した。

 

海外留学と世界コンクール出場

 

Youth America Grand Prixに出場し、2011年日本予選3位 NY決戦1位、2016年日本予選2位NY決戦3位になった。今回はメンバーを引っ張る立場にあったが、自分も毎回のリハーサルで学ぶことが多かった。アメリカで、自分を魅せるためにレッスンに対する姿勢から見直し、必死で練習した。

 

Youth America Grand Prixに出場

 

メンバー24人でお互いに注意し合い、意見を出し合って細かい所まで揃うよう努めた。1人が数ミリでもズレたら構成の面白さは伝わらない。そして全員のパワーや気持ちが揃わなければ、観客や審査員にその世界観を伝えられない。1人1人がキラキラした素敵な集団を作った。NYでのコンクール本番後、コンクール最終日に行われる数人しか出ることのできないガラ公演の出演に選ばれた。全員が高い集中力で臨み、仲間との一体感を感じ、心から楽しむことができたそうだ。本番は一回しかないという怖さと大切さを改めて学ぶ機会になった。

 

1人が数ミリでもズレたら構成の面白さは伝わらない

 

ダンサーの体を作る努力

外国人は居るだけでスタイルがいい。日本人は体を作り上げることが求められる。気を付けていることはなにか聞いてみた。
体を作る時は、1、2週間朝食だけで間食にゼリーという時もある。日々のレッスンで脚の筋肉のよけいなものを落とし、必要な筋肉だけが残るそうだ。
バレエといえば、トゥシューズを履いてつま先立ちで踊る優雅なイメージが強い。しかし、そこには地道な努力がある。つま先で立つために、足の指を鍛える運動をしているのだ。
スッと立ち、下すのにも技術を要する。足の裏や脚の内側の筋肉が鍛えられるそうだ。

 

「バレエで正しい動きをしていれば、キレイな筋肉がつく」とは、呼野さんの先生の言葉だ。バレエの動きそのものが、美しい体を作るための動きになっている。正しい知識もなく、無理やりやってしまうと違う筋肉がついてしまうのだそうだ。

 

ダンサーの体を作る努力

 

舞台本番に向けたメンタルの作り方

本番前のゲネプロ(本番と同じように舞台上で行う最終リハーサルのこと)では、自分の納得のいく動きができず、メンタル的に落ちることが多い。本番までの空き時間に、もう大丈夫と思えるくらい練習をして、「ヨシ!」という思いで舞台に立つ。
本番前のルーティンとしてやっていることが、みんなへの挨拶だ。「頑張ろうね!」「よろしくね!」と笑顔で声をかけることで、気持ちが落ち着くという。あとは、本番の緊張感とお客様の空気感を楽しむのみ。舞台へと足を踏み出す。

 

現在大学4年生の呼野さん

 

将来の夢

現在大学4年生の呼野さんは、保健体育の教師を志している。模擬授業の時に、「受験科目ではないが、人として豊かに生きることを教えられることがステキな教科」だと気付いた。保健では「自分の人生を明るく生きるための授業」を体育では「仲間と共に一生懸命取り組む姿勢や、必死さから味わう達成感を知る授業」ができる。バレエで学んだこと、感じたことを活かして、生徒達がステキな人生を歩む手助けをしたいと言う。

 

体だけでなく、落ち込んだり悔んだりしてもめげずに必死で取り組む態度など、バレエは「心」もたくさん鍛えてくれた。これから社会に出て、教師としてのパフォーマンスに必ず役立つはずだ。

 

母は幼稚園教諭、姉は小学校教諭をしており、教師という仕事を傍で見てきた。
プロのバレエダンサーになるか、就職してバレエを続けるかを考えた時、「社会人になってもバレエを続けられる」ことを伝えたいと思い後者を選んだ。

 

将来の夢

 

7月の発表会では古典のバレエ作品とコンテンポラリー作品を1つずつ踊った。あまりコンテンポラリーに触れる機会は無いが、大学で舞踊学を専攻する呼野さんは、課題の創作ダンスでバレエの要素がありつつ、今まで触れてきたコンテンポラリーやジャズなどを融合したような作品を創った。「自分の中でコンテンポラリーの原点は、尊敬するダンサーの金田あゆ子さんにあります。クラシックバレエの美しさを最大限に使い、それ以上に自分を良く見せるところまで体を使い魅せています。優雅さ、暖かさ、芯の強さがある彼女の素晴らしさをアイディアに、いつか自分の踊りを作り上げていきたい」と語る。

素敵なバレエの写真は呼野さんご本人に提供いただきました。

RanRun yukiyanagi

 

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