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ラクロス女子インタビュー 東京理科大学

理科大女子ラクロス 練習試合で実践を積むリケジョのやり方

「これが私たちのやり方」練習試合で実践を積むリケジョチーム
ピープル 2016/12/16

「ワ―、1番前だよ!」新体制になって約1カ月。集合写真をお願いすると、最前列に並ぶ新4年生が嬉しそうに声を発した。全員が理系女子の東京理科大学女子ラクロス部。鮮やかな黄色いユニフォームにとびっきりの明るい笑顔。このハッチャケ感が理系スポーツ女子だ。

 

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「1週間なにも手につかなかった」
2016チームを引っ張ってきた元主将の山野美波さん(薬学部4年)は悔しさを滲ませる。最終試合、同点で引き分ければ入替戦に進むことができると臨んだ対東京女子大戦は、1点差に泣いた。新体制を見守る山野さんと、新主将の田村彩女さん(理工学部3年)にラクロスの魅力、主将の想い、学生生活など話を聞いた。

 

ラクロスとの出会い

10年間クラシックバレエをやっていた山野さんは、大学で初めて部活に入った。
ラクロスは大学から始める人が多く、ほとんどの部員はスタートラインが一緒。加えてユニフォームが可愛いとあり、女子大生に人気のスポーツだ。
文系に比べ女子学生の割合が少ない理系大学では、全員女子という部活は居心地がよく、特別な場所となっている。
「理科大で女子が多いのはラクロス部だけ。同じ目標に向かって、かけがえのない仲間ができるところ」と山野さん。

 

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2016主将の山野美波さん

 

 

練習は、火曜・木曜の朝、土曜・日曜の午前と週4日。基本、東京理科大学野田キャンパスが練習場所になっている。朝練の日は、始発電車で大学に通った。朝起きたら、顔を洗い着替えて家を出ないと間に合わない。「現役の時は、ジャージで通学でした」と笑う。
練習後、キャンパス内のコンビニで朝食を買い、授業前に食べる。これは、田村さんも一緒。
神楽坂キャンパスの部員は、屋上で朝練をするようになった。土日の午前、野田・神楽坂・葛飾と3キャンパスの部員が集合し練習をする。

 

学業との両立は確かに大変だ。「レポートとの両立が・・・ね」と山野さん苦笑。それでも、朝練があるので1限は必ず出るし、空いている時間に勉強するようにして、テスト前1週間は部活はオフなのでしっかり勉強にあてることができる。オンオフの切り替えができて、生活にメリハリがつくので、ラクロスをやっていてよかったと振り返る。

 

山野さんにラクロス部の魅力を尋ねると、「同期の絆」と即答。山野さんの同期は7人。山野さんを含め3人が薬学部、4人が理工学部。薬学部は6年制だが、4年制の理工学部の同期は就活や院試があり、「大変そうだったが、お互いが支えあってきました」と語る。

 

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同期、コーチ、先輩、後輩とのつながり、とにかくラクロスが楽しいという山野さん。
ラクロスを通して成長したことを尋ねると、「考えるようになりました」と返ってきた。目標に向けて組み立てることを学んだ。また主将としてコミュニケーションを取る際に、相手によって伝え方を考えることを学んだそうだ。

 

プレーヤーとしては、オフェンスなのでディフェンスが「オォー」と驚くようなオフェンスをするのが好きと言い、フェイクが成功した時が楽しいと話す。

 

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17主将の田村彩女さん

 

 

中学高校5年間水球をやっていた田村さんは、大学では女子にできないスポーツのマネージャーをやってみたいと思っていた。しかし、理科大ラクロス部に居た高校の先輩からの誘いや、ラクロスをやっていた姉の話を聞くうちに自分もプレーヤーとしてやりたいと思うようになった。
チーム競技の魅力について、「自分に足りないものを誰かが助けてくれる。お互いに助け合い、切磋琢磨していくこと」と答える。

 

ラクロス部の魅力について、「同期や先輩、後輩たちと楽しくいられる時間が大きい」と言い、「ラクロスを通して自分が成長していく、大きな変化を感じる」と教えてくれた。

 

理工学部3年の田村さんは、建築を専攻。1、2年生の時は授業でパンパンだった。学科によっては1日実験、そしてレポートという日が続く。「その分、トラックを使ったラクロスの練習で、大きな声を出してハッチャケる人が多いかな」と笑う。「大学の中での充実感、他大学にも仲間ができることも魅力です」。

 

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強いチーム作り

リーグ3部に所属。16チームは2部昇格への入替戦目前まで迫る、これまでにない強さを発揮。それには、主将山野さんなりのチーム作りがあった。

 

山野さんは、「やりたがり」を自負する。主将は自分のやりたいことを実行に移せる。チームに足りていないと感じたことにフォーカスし、取り組んできた。チャレンジすることが好きだという山野さんは、今までにやったことのないことに挑戦した。

 

春のイベント

春休みの練習期間は長い。変化を加えないとモチベーションが下がる。
2泊3日の構内合宿を実施した。午前練習、午後練習試合、夜ミーティングなどのスケジュールを組み、最後はみんなでバーベキューをした。野田キャンパスならではの合宿だ。また、大阪の大学と交流戦を行った。
春休み期間にイベントを多くしたことで、練習も意欲的になり、メンバーのモチベーションを保ち続けることができた。

 

新歓対策

日本ラクロス協会との面談で、チームの課題としてメンバーの継続を指摘されたという。これまで大量に声をかけ新入部員を入れていたが、スポーツが好きな子にフォーカスすることにした。サークルとは違い、「勝つ」ことが目標であると明示した。ラクロスに興味を示した子をスカウトした。結果、今年の1年生は事情があって辞めた1人を除き18人全員が続いている。
チームを強くするためには、1年生を育てること。1年生が上達すると、上級生への刺激につながる。コーチが新歓の大切さを教えてくれた。

 

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実践練習

理科大ラクロス部の特徴は、練習試合の多さ。
理系だから練習時間が少ない。フィジカルトレーニングなどしている時間はない。相手によってプレーを変える、状況に応じたメンタルを持てるように、練習試合を行い、実践トレーニングを積む。「これが理科大ラクロス部のやり方です」と豪語する。

 

16チームで練習試合係を務めた田村さん。主将の要望に沿った相手チーム探しに奔走し、1日2~3試合を組んだ。16年度は、公式戦含め全115試合を戦った。
毎年32~35%だった勝率が16年度は46%に上がった。「勝ちきる」ことを目標に据え、試合に臨んだ成果だ。勝つ経験を積むことで、モチベーションをアップしてきた。リーグ戦は、いつも通りやればいい。

 

理科大女子ラクロス部にABチームはない。ぎりぎりまで全員で練習し、戦える人をたくさん作る。1年生のモチベーションは、そのままチームのモチベーションになることもわかった。「今年の強さ」を次につなげ、勝率目標50%を目指す。

 

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田村さんに個人の目標を聞いてみた。「後輩たちがラクロスやチームと本気で向き合い、みんなが楽しいと思える環境づくりをしたい。プレーヤーとしては、自分が起点となってチームの得点力をあげることかな」とはにかんだ。

 

山野さんから「17チームらしく、自分がやりたいチームを作ること」のアドバイスを受けた田村さんは、主将として「2部昇格を目指し、それぞれが自信を持って強気なプレーをする中で、ラクロスを楽しむことも忘れずにいること。笑顔で勝ち続けるチームにする」ことを目標に掲げる。そのためには、「まず、私がいい顔でプレーすることが大切」と言い、常に意識するようマイノートの表紙に記した。

 

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薬学部4年の山野さんは、コーチとしてラクロス部に関わっていく予定だ。

 

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取材したこの日は、上智大学女子ラクロス部との練習試合。
どちらも新体制になったばかりのチームで、多くの課題をみつける機会となったことだろう。

 

モチベーションを上げる曲

山野さん 自分達で作った「モチベーションアップPV」に使用したSPYAIRのアイムアビリーバー
田村さん クリフエッジ/雨ニモマケズ風ニモマケズ、カラーボトル/情熱のうた

 

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