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日本社会の抱える闇が心をえぐる衝撃作 映画『楽園』

2019/10/04

『悪人』『怒り』を生み出し、多くの賞を受賞した作家・吉田修一と前後編を合わせた興行収入が36億円を超えた大ヒット作『64-ロクヨン』の監督・瀬々敬久が監督脚本を手掛けるサスペンス大作映画『楽園』が10月18日公開になる。
綾野剛・杉咲花・佐藤浩市をはじめとする個性派キャストで描く日本社会に潜む闇は、若い世代に観て欲しい作品だ。

 

12年前、青田が広がる田舎のY字路で起きた少女誘拐事件からすべてが始まる。

容疑者となった一人の青年、

被害者少女が行方不明になる直前まで一緒にいた少女、

お互いの不運な人生に共感し心を開いた矢先に、同じ十字路で少女が行方不明となった。

疑念をかけられた青年が取った驚くべき行動とは。

青年の容疑を晴らすため少女がたどる彼の真実とは。

 

同じ集落で村おこしの計画がこじれ、村八分になり孤立し壊れていく男によって起こる事件。

同じ集落、Y字路から始まる2つの事件。

そしてこの3人がたどる運命とは。

 

原作者である吉田修一は、『楽園』だけでなく瀬々監督が手掛ける作品を観て「何が起こっても人は生きていかなければならない」ということが表現されていると言っている。

 

私自身、『楽園』を観て物語の中心人物に降りかかる不遇な現実、そしてそれに立ち向かっていく姿や葛藤から「生きていかなければいけない」という表現を強く感じた。

周りにいる人間が、彼らの苦しみや悲しみに手を差し伸べることができたら、彼らを救うことができたのではないかと考えた。

 

実際に自分の周りでも苦しんでいる人がいるかもしれないと思うと、周りをみてそれらの苦しみに寄り添っていきたいと思う。

 

またこの作品では、地方の過疎化、限界集落、老老介護など現代日本が抱える問題を浮き彫りにしている。

特に印象に残ったのが、「天狗の舞い」が行われる火祭りだ。

地域のコミュニケーションの場でありながら、都会に出る若者たちの影響による人手不足を顕著の表現していた。

日本では、祭りを受け継ぐ後継者不足によって昔から継承されてきた伝統的な祭りが消滅していると聞く。

 

非現実世界を作ることができる映画の中で、実際に日本が直面している大きな課題を扱うことで、観る側に問題提起しているように感じた。

こうした問題を意識することなく生活している人々が、映画を観ることで少しでも関心を持ち、考えるきっかけになればと思う。

村八分になり孤独を深めていく男が土を食べるシーンがある。

自分が暮らしてきた土地を愛し、誰にも受け入れてもらえない苦しみを「土を食べる」という行動で表現する。

彼が事件の加害者であることは事実だが、彼を加害者に創り上げたのは周囲の人々である事も確かである。

加害者であるとともに被害者でもある。

こうした事件を生まないために必要なことは、相手や周りの人々とのコミュニケーションを取り、助け合う関係を築き上げることだ。

 

人は一人では生きていくことはできない。

この作品から学ぶことは多くある。

自分なりの考えをめぐらしながら、作品を楽しんで頂きたい。

主題歌は、大ヒット作「君の名は。」の主題歌のカバーなどで注目を浴びた上白石萌音が歌う「一縷」。

彼女の透き通った声が、懐かしさと共に映画の世界へと引き込んでいく。

そして、「一縷」の作詞・作曲・プロデュースを手掛けたのが大人気グループ「RADWINPS」の野田洋次郎である。
多くのアーティストに楽曲を提供し人気を博す野田が映画に花をそえている。

昭和女子大学3年 土屋里恵

 

<出演>
綾野剛 / 杉咲花
村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明
佐藤浩市

<原作>吉田修一「犯罪小説集」(KADOKAWA刊)

<監督・脚本> 瀬々敬久
<配給>KADOKAWA

© 2019「楽園」製作委員会

2019年10月18日(金)全国ロードショー

<公式サイト>
https://rakuen-movie.jp/

 

 

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