ロマコメの魅力 映画『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』

<STORY>
ティーンエイジャーの頃、私はロマコメ映画に狂おしいほど恋をしていた。
ロマコメ映画は孤独への不安を和らげ、甘美な人生が待っていると約束してくれた。
大人になった今はいろいろなことを考えてしまう。
なぜ『プラダを着た悪魔』でアンディはネイトの誕生日に怒られるの?
マグノリアのカップケーキじゃだめ?
ブリジット・ジョーンズが57kg でオーバーウェイトだとバカにされるなら、私はどうなるのだろう。
ロマコメ映画ではなぜ、キャリアウーマンはみんな惨めに描かれるの?
みなが白人で、異性愛者で、誰もが結婚を望む、非現実なおとぎ話の世界。
なのに、なんで私はまだロマコメ映画を観てしまうのだろう。
何度も、何度も。
あなたはどう思う?
ロマコメ映画のこと──。
ラブコメ=ロマコメ映画は多くの人々に深く愛されている一方で、本格的な分析はほとんどなされてこなかった。
本作は幾多の名作映画の実際のシーン映像を抜粋し、「あの映画を観たときの高揚」を観客とともに追体験しながら、「ロマコメ映画とは?愛とは?」というテーマを探求し、自己発見の旅に出るフィルム・エッセイである。
監督はインディポップ・バンドSummer Camp として活動し、本作と同様のスタイルで青春映画について語ったドキュメンタリー『ビヨンド・クルーレス』のサントラも勤めたエリザベス・サンキー。
膨大な数の名シーンを巧みに切り取り、自らのボイスオーバーで個人的な想いを重ねつつ、サウンドトラックも手掛ける。
監督以外の「声」として、『このサイテーな世界の終わり』『ロブスター』で注目を集めるジェシカ・バーデン、前述の『ビヨンド・クルーレス』の監督チャーリー・ラインをはじめとして、Pitchfork、NME、Rolling Stone 等のカルチャーメディアで活躍する批評家やライターたちが集結。多様な視点からロマコメ映画について語り尽くす。
旧来のロマコメ映画を礼賛すると同時に、現代的な視点で問題提起を行う本作。
その言及対象は、「愛」を描く映画のオルタナティブなスタイルとしてのブロマンス≒バディものにまで及ぶ。
愛について語るとき、わたしたちはどのような言葉を持ち得るのか?
そもそも、映画を観て感動するとはいったいどういうことなのだろうか。
相反するふたつの存在が互いの違いを認め、補い合うのがロマコメ映画の定石だとするならば、今あらためてロマコメ映画を語り直す意義は、きっと想像以上に大きいはずだ。
★劇中に登場する名作ロマコメ映画
ラブ・アクチュアリー、(500) 日のサマー、フォー・ウェディング、ユー・ガット・メール、恋人たちの予感、素顔の私を見つめて…、ゴッズ・オウン・カントリー、ラ・ラ・ランド、卒業、プリティ・ウーマン、紳士は金髪がお好き、ノッティングヒルの恋人、ヒズ・ガール・フライデー、プラダを着た悪魔、メリーに首ったけ、40男のバージンロード、ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ、ブリジット・ジョーンズの日記、ルビー・スパークス etc……
2019 年/イギリス/英語/ 78 分
監督:エリザベス・サンキー
製作:ジェレミー・ワームスリー、オスカー・ピムロット、マリア・キアラ・ヴェンチュラ
脚本:エリザベス・サンキー 音楽:Summer Camp、ジェレミー・ワームスリー
編集:エリザベス・サンキー
キャスト:ジェシカ・バーデン(『このサイテーな世界の終わり』『ロブスター』)、チャーリー・ライン、アン・T・ドナヒュー、キャメロン・クック、シムラン・ハンス、ブロディ・ランカスター、エレノア・マクドーウォル、ローラ・スネイプス
タイトル:Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ
公開:2021年8月、APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMAにて配信上映開始
配給:Bunkamuraル・シネマ