映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』12月13日公開

主人公シュヴァルの、娘そして家族に対する不器用なりの愛がとても愛おしく感じられる作品だ。
最愛の人の死を経験したシュヴァルをみて、遺される側の苦しみも感じた。
無口で自己表現が苦手なシュヴァルは、愛する人のために宮殿を造り上げる。
30年の歳月をかけた彼の宮殿造りは愛に溢れた物語だ。
物語は全体的に絵画を彷彿させる独特の色彩で描かれているが、終盤は理想宮を造り終えて愛する家族を見守るシュヴァルのように、やわらかい雰囲気も加わり内容だけでなく視覚的にも楽しめる作品になっている。
本作を観るまでシュヴァルの理想宮の存在を知らなかったが、細やかで美しく斬新な建造物だ。
フランスを訪れた際には是非実物のシュヴァルの理想宮を見てみたいと思う。
ある郵便配達員が33年の歳月をかけ、たった一人で築き上げた“シュヴァルの理想宮”。 ピカソやアンドレ・ブルトンが絶賛し、フランス政府指定の重要建造物となった奇想の宮殿だ。
寡黙で不器用な男の途方もない挑戦を支えた愛と夢想の物語が間もなく公開になる。
周囲に変人と噂されながらも、途方もない夢を実現した男・シュヴァル。
この風変わりな人物を見事に体現したのは、『レセ・パセ自由への通行許可証』(02)でベルリン国際映画祭男優賞を受賞した名優ジャック・ガンブラン。
夫を傍で見守り支える妻フィロメーヌ役にレティシア・カスタを迎え、ニルス・タヴェルニエ監督が精緻に描き出す映像美で、この驚くべき実話を映画化した。
撮影はほぼ全編を遠し現存する“シュヴァルの理想宮”で行われた。
<ストーリー>
19世期末、フランス南東部の村オートリーヴ。
日々、村から村へと手紙を配り歩く郵便配達員シュヴァルは、妻のロザリーを病気で亡くす。
寡黙で人付き合いが苦手なシュヴァルは、遺された幼い息子のシリルとどう接したらいいのかわからず、しまいには親族から男手一つで子育ては難しいと言われ、別々に暮らすことになってしまう。
1人になってしまったシュヴァルは、新しい配達先で未亡人フィロメーヌと出会う。
フィロメーヌはシュヴァルの不器用だけれど誠実な人柄に惹かれ、2人は結婚、娘のアリスを授かる。
しかし、相変わらず口下手な彼は、アリスとどう接したらいいのか戸惑っていた。
そんなある日、シュヴァルは配達の途中で不思議な形の大きな石を見つける。
アリスの遊び場として、石を積み上げおとぎの国の宮殿を建てることを思いついた。
毎日、シュヴァルは郵便配達以外の時間を宮殿造りに費やし、宮殿は徐々に大きくなっていった。
村人たちに変人と噂されながらも、造りかけの宮殿を遊び場に育っていくアリスと共に、シュバルの幸せな生活は続いていくかに見えたのだが・・・
昭和女子大学 柏原瑞紀
原題・英題: L’Incroyable histoire du Facteur Cheval
監督: ニルス・タヴェルニエ(『エトワール』、『グレート デイズ! ―夢に挑んだ父と子―』)
原案:ファニー・デマレ
脚本:ファニー・デマレ、ニルス・タヴェルニエ、ロラン・ベルトーニ
出演:ジャック・ガンブラン、レティシア・カスタ、ベルナール・ル・コク、フロランス・トマサン
2018年/フランス/フランス語/カラー/ビスタ/5.1ch/105分
字幕翻訳:星加久実
配給:KADOKAWA
(C)2017 Fechner Films – Fechner BE – SND – Groupe M6 – FINACCURATE – Auvergne-Rhone-Alpes Cinema
2019年12月13日(金)全国公開
公式サイト www.Cheval-movie.com