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【RanRun「働く」を考える】ニューインデックス株式会社1

ニューインデックス 津田武氏 人と会うことが仕事 

キャリアアップ 2018/10/08

「ガクセン」という新卒逆求人サイトをご存知だろうか。ガクセンとは学生選抜の略。学生が企業を探して就職活動をするのではなく、企業が学生にオファーを出すという新しいカタチの採用スタイルはメディアでも取り上げられ、話題を呼んでいる。運営するのは、「『あったらいいな』をITで実現」をキャッチコピーにWeb制作やメディア運営を事業展開しているニューインデックス株式会社(東京都品川区)。

同社代表取締役社長の津田武氏に、RanRunの学生スタッフが社長の仕事、「ガクセン」のこと、就活へのアドバイスなどをインタビューさせていただいた。

 

―経営者の仕事は人と会うこと

ニューインデックス株式会社設立から今年10年目を迎えた津田氏。
現在は、「ガクセン」と以前からやっていたWebの受託開発が二本柱になっている。
経営者は会社を上手く回して社員を食べさせていかなければならない。
特に創業者は自分の身銭を切って経営しているという。
顧客から仕事を受注し、受注した仕事を回して供給することで会社は回る。
津田氏の場合は、経営者の中でも広範囲に渡って業務をしている方だと話す。
財務、採用や新規の営業なども自分でやることが多いそうだ。
過去には、Webを受注した時のディレクションも、自分でPhotoshopを使ってWebデザインをすることもあった。
営業を担当していた経験から、自身の仕事を営業の要素が強いと説明する。
会社を作った当初は顧客が全くいなかったので、ほぼ新規開拓で営業に出かけた。

仕事柄人と会うことが多いという津田氏は、「人と会うことが仕事だと思っています」と話す。
1年で新規に交換する名刺の枚数は1,000枚以上。
色々な会社を見、色々な人事担当者の話を聞いてきた。

 

―起業のきっかけ

津田氏は中学生の時に、自身も経営者である父親から「会社を経営するのは面白いよ」と言われたことがきっかけで起業を考えるようになった。
自分で経営するほうが楽しいのかなという感覚が育っていたという津田氏に、会社を作ることへの怖さについて尋ねると、「あったよ、めっちゃ。だってやったことないから」と返って来た。

津田氏が起業したもうひとつのきっかけが、大学時代にメディアを作ったこと。
高校時代を三重県で過ごした津田氏は、都会に行きたいという一心で卒業までの半年、猛勉強した。
1日16時間、赤本を300回やり、2.0だった視力は0.01まで落ちた。
志望校に受からなかったら自殺しようと本気で自分を追い込み、現役で法政大学に合格した。
しかし、死ぬ気で勉強して合格したにも関わらず、入学後は大学に行かずにインターネットに没頭する。
3カ月寝ずにリンク集を作ったところ、個人が作るもので国内3本の指に入るようなメディアになった。
広告収入が1年で1000万円くらいになり、それを資金に現在の会社を立ち上げた。
社会貢献したいという思いで、飛込み営業で10社くらいのクライアントを持ちHPを作った。
当時はまだ企業がHPを持たない時代だったため、学生ながら月収で当時2、30万円ほど稼いだという。
「自分で何かをゼロから起こして、値段もルールも全部自分で決めるのが面白かったですね」と振り返る。

 

―没頭することで見えてくる世界がある

自分のやりたいことが見つからないという学生がいるが、それは常に自分主体で物事を考える人に多いと津田氏は言う。
「好きか嫌いかはどうでもよくて、未知の世界を見続けるっていうことが大切です」と言い、没頭しているとだんだん見えてくる世界があると話す。
「(没頭できることに出会う)タイミングは誰にでもあるんじゃないかな」と津田氏。
自分なりにわかっている「自分の範囲」があっても、あえて違うことをやってみてはどうかと提案する。
自分で限界を決めてしまうと、その中でしか物事を判断できなくなる。
いつもの自分に逆らってみると、見えるものがあるかもしれないと語った。

会社経営には、存続させるためにぶれてはいけない軸がある。
しかし、「普通はこうだろうな」ということに逆らってみることで、幅が広がった。
年間に経営者1000人以上と話をすると、その場その場を凌いできた経験の話が多く、彼らが語る言葉ひとつひとつに魂がこまっており、腑に落ちることが多いと津田氏は言う。
彼らの言葉を聞き続けたことで、自分の視点が広がっていることに気づいたそうだ。

 

―学生へのアドバイス

「学生の時に覚えていて欲しいのは、焦るなっていうこと」。
学生時代から色々と動いていた津田氏でも、将来に渡って本当にそれをやるのか、将来何をすればいいのかなど全くわからなかったと言う。
社会に出なければ社会のことはわからないし、自分がどうなるかもわからない。
わからない自分を責めたり、他人と比較したりせずに、考え続けること。
そして、ひとつのことを我武者羅に取り組んで欲しいとアドバイスする。

行動力抜群の優秀な学生に会う機会の多い津田氏だが、中には将来何ができるかわからないという学生もいる。
自信をつけるために5個も6個も学生団体に所属し、どこでもそつなくこなすのだが、返って本当の自分がわからないということになっている。
そんな学生に津田氏は、「やるかやらないかはあなたの判断だけど、5個あるうちの4つは捨ててください。そのかわり、死ぬ気でやって下さい」とアドバイスする。

例えば居酒屋でアルバイトをしているなら、それを100%やってみる。
店長よりも誰よりも自分が店に貢献している、ファン(お客さん)を自分が一番持っているという状態を目標にしてみる。
これは学生でもできることだが、社会人でもできない人はたくさんいる。
覚えていくという経験数は必要なことだが、「誰よりも死ぬ気でやり続けられるかどうか」が大切だと津田氏は言う。

登山を例にとり説明を始めた。
登山ルートが3種類あったとして、最初のAの道は単調でつまらないと3合目で降りてしまったとする。
Bの道に行くとハードだと感じ、自分には合わないと降りてしまう。
最後にCの道を行こうとしたら、その道は迷いやすくて危険だと言われ、登るのを止めてしまう。
結局この人は、永遠に頂上まで登ることはないのだ。

これは、現在の転職業界の縮図だと指摘する。
転職を繰り返し、履歴書には会社名だけがたくさん載り、人生の居場所や社会の居場所が無くなって40代を迎える。
「頂上に登ると、実は全部の道が見えるんだけどね」。

新卒の離職に対しても、部活を例にとり説明する。
運動部に所属すると、殆どの人は3年生になってレギュラーになれるかどうかという経験をしている。
それをわかっているはずなのに、就職して3年経つ前に辞めてしまう人がいる。
「社会に出た時はどれだけ上司が嫌な人でも、3年間は辞めない方がいいよ」とアドバイスしているそうだ。

 

後編へつづく

 インタビュー 池澤実幸(東京女子大学3年)
原慧理加(東京女子大学3年)
峯尾陽香(昭和女子大学4年)

 

<津田武氏プロフィール>

氏名 津田武 (つだたける)
生年月日 1978年12月5日
出身 三重県
現職 ニューインデックス株式会社代表取締役社長
株式会社ヤセル代表取締役社長
趣味 ヒトカラ、糖質制限
2001年に法政大学経済学部卒業。
渡米して2004年にUniversity of Dallas MBA卒業。
新日鉄ソリューションズ株式会社に入社。
2008年にニューインデックス株式会社を設立。

 

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