「真の企業の価値とは」② 自社の価値が経営に表れている企業

こんにちは、学生スタッフの園部です。
武井則夫氏(社長業コンサルタント・一般社団法人 企業価値協会 代表理事・株式会社リアルM 代表取締役)が「企業選びのポイント・真の企業の価値とは」というテーマでご講演いただいた中で、自社の価値が経営に表れている企業の事例をご紹介くださいました。
企業のユニークな取り組みについて、皆さんにシェアしちゃいます!
①石坂産業株式会社
産業廃棄物処理の業界についてどのようなイメージを持っていますか?
石坂産業株式会社は、本やテレビでも取り上げられているので、ご存知の方もいるかもしれません。
埼玉県にある産業廃棄物の処理をしている会社です。今の社長さんは女性の方で、お父様から会社を引き継がれたそうです。
今でこそ、メディアに取り上げられ、順風満帆なように思われますが、ここに至るまでには険しい道のりがあったそうです。
1999年に、ダイオキシン問題が発生しました。
実際には当時、新しい設備を投入したばかりで、それもダイオキシンの排出をしない最新技術の設備でした。
しかし、石坂産業は地域のダイオキシンの発生は石坂産業の産廃処理に起因していると、事実無根の風評被害を受けてしまいます。
地元住民に出ていけとまで言われてしまったそうです。
そこで石坂産業は大改革に出ました。
巨額をかけて、新たな工場を設立。普通の産廃処理場は屋根がありませんが、石坂産業は屋根を作りました。屋外にちりもほこりも出さないためです。
それから、工場内の重機も通常はディーゼルエンジンを使用するところ、石坂産業は電気のコードで動かすようにしました。排気ガスを出さないためです。
ここまですると利益はなかなか出ません。
しかし、それでも石坂産業の改革は終わりませんでした。
工場の周りにピクニックができるような森を作り、工場見学も実施するようになり、子どもたちをはじめ、地域の人々が遊びに来ることができる施設づくりに努めたそうです。
今ではなんと年間3万人も施設に来るのだとか。
さらにはホタルが宿るビオトープも整備し、加えて地元住民のためのフリースペース「くぬぎの森交流プラザ」を作って開放しています。
災害時には緊急避難場所にもなっていて、非常食や携帯電話の充電設備も完備しています。これはすべて、地域住民のためです。
一度は出ていけといわれたこの会社が、それでもこの地に残るために、いかに地元に好かれるかをとことん考えて生まれ変わりました。
今でも、石坂産業は産廃処理業界のイメージを変え、「廃棄物」という言葉そのものをなくしていきたいというビジョンを明確にもって経営されています。
②安城自動車学校
皆さんの中にも、自動車免許取得のために自動車教習所に通われた方は多いと思います。
愛知県にある安城自動車学校は、普通の自動車学校とは少し違った取り組みをしています。
この自動車学校の事業コンセプトは「安全快適社会創造業」。
ただの運転免許取得教育業ではないのです。
車と人が共存して安全に過ごせる社会を作ろうという明確な想いをもって、経営を続けています。そして、「日本で一番事故のないまちづくり~地域から信頼され尊敬される人財の集団~」という明確なビジョンを持っています。
例えば、「生命のメッセージ展」。
自動車は便利であると同時に一瞬にして人の尊い命を奪ってしまうもの。理屈で言ってもなかなか心に刺さらない、そんな背景から誕生しました。
ここでは、交通事故に巻き込まれて亡くなった方の実寸大のパネルを作り、その人が履いていた靴とともに、その人がどんなことをして、どんな夢を持っていたのかといったことも一緒に展示されています。
他にも、「親感謝プログラム」というのもあります。
免許を取ったら親に感謝の気持ちを込めて、手書きでメッセージを書いてもらうといったことも行っています。
それから、社員に対しても、誕生会や社長・幹部との食事会を開いて社員同士の距離を縮めます。さらには、「頑張るパパママかっこいいプロジェクト」なんていうのもあるそうです。
同僚社員がある社員の子どもの誕生日にメッセージを送っています。
「君のママは会社ですごいんだよ!」
そんなメッセージを受け取ったら、子供もすっごく嬉しいですよね。
さらに、内定者には社長が家庭訪問をして、大事なお子さんをお預かりしますというご挨拶をするそうです。どんなに遠方に実家があっても必ず訪問しています。
社員だけでなく、社員の家族のことも大事にする社風が表れていますね。
③坂東太郎
みなさんは、北関東に80店舗を展開する和食ファミリーレストランの「坂東太郎」に行ったことはありますか?
このファミレスもちょっぴりユニークな会社です!
社訓は「親孝行」。
「親」というのは、自身の親・上司・先輩・お世話になった人すべてを指します。
「孝」は、相手に理解してもらうまで誠心誠意尽くすということ。
「行」は、自らの行動で実行し続けるということだそうです。
人が育つ・人を育てる、人づくりに徹している企業なのです。
さらに、「初任給の一部はお世話になった親に渡しなさい」という教えもあるそうです。
感謝の気持ちを持つというのは、アスリートも同じ。
アスリートも感謝のエネルギーが強く、誰かを喜ばせたいという強い想いをもってプレーしています。
そういった点ではスポーツをしている私たちと通ずるところがあるかもしれませんね。
坂東太郎のお店のテーブルには、「お母さんへ」と題した家族連れのお母さんに宛てたメッセージが貼られているのですが、ご存知でしたか?
メッセージには、「子どもは汚す名人だから、片付けなどは気にしないで、外食する時くらいは家族でゆっくりしてください。スタッフが片付けます」という内容が書かれています。
お客様への気遣い、人を大切にするこの会社のカラーがよく出ている取り組みですね。
さて、この続きは「就活への向き合い方」へつづく・・・
東京外国語大学 園部洋奈
武井則夫氏プロフィールはこちら