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RanRunマナー講座 MFF×RanRun 医療系学生のためのセミナー①

医療学生も知っておきたい「いいコミュニケーションを取るコツ」

キャリアアップ 2017/12/29

CSという言葉を知っていますか?企業に就職を志望している就活生なら知っていると思いますが、CSとはCustomer Satisfaction(顧客満足)のことです。医療業界においても、このCSを意識した患者さんとのコミュニケーションが大切です。

 

医療系学生団体MFFとWebマガジンRanRunのコラボセミナー、「医療系学生のためのいいコミュニケーションを取るコツ」を2017年12月16日、東京都しごとセンターで開催しました。医学部・歯学部・薬学部・看護学部・理学療法学部・福祉学部など多様な医療系学生が参加しました。

 

「医療の現場を目指している人に、もっとコミュニケーションの大切さを知ってもらいたい」と、今回のセミナーを担当したMFFの笹木愛さん(明治薬科大学3年)は言います。

 

第一部では、フリーアナウンサーでRanRunのマナー講座でもお馴染みの原律子先生が、体感ゲームをまじえて「いいコミュニケーションを取るコツ」を講義してくださいました。

フリーアナウンサー 原律子氏

 

CSを考えるうえで、いいコミュニケーションをとることは重要課題になります。たった1人の対応時の感じがいいか悪いかで、その企業の評判を左右しかねない時代です。

医療もサービスという観点に立ち、患者さんへのCS向上を図っていくことが、病院経営において重要になります。

 

いいコミュニケーションをとるために意識して行うポイントについて、原先生は4つの項目をあげました。

①表情 (笑顔を作る)

②アイコンタクト (相手の目を見て話をする・話を聴く)

③話し方・言葉遣い (ゆっくり、はっきり、ていねいに話す)

④聴き方 (頷く、相づちをうつ、相手の言葉を繰り返す、共感の言葉をプラスする)

 

 

ビジネスシーンにおいては、「笑顔は作るもの」

普段の生活の中での「笑顔」は、嬉しい時や楽しい時などの感情の表れですが、ビジネスの場面では「笑顔」は作るものになります。
挨拶をする時、会釈をする時、話をする時、相手に好印象を与えるための手段です。
目尻を下げ、口角を上げ、柔らかい表情を意識的に作ることで声も優しくなると原先生は言います。

 

口を動かし、ゆっくりはっきりと話す

患者さんや高齢者に話をする時は、はっきりと口を動かすことを意識するようにと原先生はアドバイスします。

活舌練習の様子

「あいうえお」の口の動きをみんなで練習します。
アナウンサーは、活舌をよくするために口の筋肉を動かして柔らかくし、声をはっきり出すトレーニングを怠らないと原先生。

2人1組になって、自己紹介の練習をしてみました。
「おはようございます」「担当の〇〇です」「よろしくお願いします」と笑顔を作り、ゆっくりはっきりを意識して話します。

二人一組で自己紹介の練習

セミナーに参加したMFF副代表の若林雛子さん(昭和大学2年)は、「笑顔を作るということ、目尻は下げて口角は上げるということ、はっきりゆっくり大きめの声で、口の筋肉は動かした方がいいということを知りました。また、笑顔でいることの大切さ、アイコンタクトをとることの大切さ、話し方の大切さを学ぶことができました。あと、受け入れてもらうことの大事さも学ぶことができました」と感想を述べています。

笹木さんも、相手の話を聴く時には口角を上げて笑顔を作ることで印象が変わるという話が印象的だったと言います。

 

原先生は講義の中で、参加者の理解が深まるよう「体感ゲーム」を取り入れました。

3人1組になり、話し手・聞き手・オブザーバーの役をやります。

話し手は、「最近困ったこと」について聞き手に対し話をします。話す時間は2分。

 

1回目は、聞き手が頷きも相づちもなしで、ただ黙って聞いています。

3人1組で対話の練習

話し手は、話しにくそうで1分も話すことができませんでした。

 

2回目は、聞き手が話を聴きながら頷きと相づちを入れます。
話し手は1分以上、話を続けることができました。

対話の練習 話しやすい雰囲気を作る

3回目は、聞き手は頷きや相づちに加え、話し手に共感の言葉を言ったり、相手の言葉をくり返したりといったスキルを入れます。
すると会話が弾むようになり、どの組も時間がオーバーしても会話が続いていました。

会話の様子を見守っていたオブザーバー役は、1回目の時は話し手が話しにくそうで見ているのが辛かったと感想を言っていました。

 

参加していた北方達也さん(防衛医科大学校1年)は、「聞き手の反応によって話し手の受ける印象が180度変わるということを実際に体感でき、新鮮だった」と言います。

 

笹木さんも、この体感ゲームで聞き手の態度で全く話しやすさが違うことを実感したそうです。「まずは何度もチャレンジしてみて、話し手が話しやすくなるように心がけていきたい」と話してくれました。

 

「コミュニケーションをとる時に、大切なポイントが思った以上にあり驚きました。今日、教えていただいたことを今後に活かしていきたいです」と、刀根若菜さん(横浜薬科大学1年)。

 

コミュニケーションスキルについて学ぶ学生たち

第2部は、看護歴33年という国立病院で働くベテランの副看護師長さんが、現場でのコミュニケーションについてご自身の経験を話してくださいました。

話を聞く時は自分の気持ちをまっさらにして、相手に心を傾けて聴くようにしているそうです。コミュニケーションは技法だけでなく、まず相手に関心を持って真摯に向き合うことが大切だと説きます。

 

参加した三澤紋子さん(慶應義塾大学2年)は、「たくさんの患者さんを受け持つ中で、優先順位を決めボイスアウトできない人との時間を確保することも大切だということが印象的でした。患者さんはアドバイスよりも傾聴を求めているということを念頭においたケアが重要だと学びました。将来ナースを目指す身として今後役立てていきたいお話でした」と感想を述べています。

看護師に必要な傾聴について話を聞く看護学生

 

副看護師長さんは「人には役割分担が必ずある」という話をされました。

患者さんは技術面ではある程度経験を積んだベテラン看護師を求めますが、若い看護師からはその若々しい声や笑顔から元気やパワーをもらっていたりするのだそうです。

笹木さんは、副看護師長さんの言った「自分には自分の貢献できる場所がある」という言葉が強く胸に響いたと話してくれました。

 

MFFの笹木愛さんにインタビューするRanRun学生スタッフ

 

コミュニケーションスキルと聞くと、いかにうまく話すかというイメージが先行しがちですが、原先生も副看護師長さんも、「話し方」ではなく「聞き方」に重点を置いて講義されていたことが意外でした。

 

今まで笹木さんは、コミュニケーションスキルは自分で身につけるものだと思っていたと言います。今回のセミナーで「コミュニケーションスキルを“学ぶ”機会は貴重な経験になりました。やってみてよかったです!」と力を込めます。

医療学生のためのコミュニケーション講座参加者

 

笹木さんは今回のセミナーで、主に広報と司会を担当。
広報の際、いかにコミュニケーションが大事かを伝えることの難しさを実感したそうです。
「医療の現場を目指している人に、もっとコミュニケーションの大切さを知ってもらいたい」という笹木さんの強い想いを感じました。

 

セミナーの後の懇親会では、参加者の皆さん、原先生と副看護師長さんに仕事について熱心に質問していました。

 

取材 峯尾陽香(昭和女子大学3年)

 

 

 

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