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トップアスリートの就活に学ぶ 「アスリートの人間力」

「社会人アスリートとして企業で働く」「アスリートを支える企業で働く」
学生アスリートとして競技に取り組んでいるスポーツ女子にとって、卒業後の進路を考える時のひとつの指針になるのではないでしょうか。

 

「アスリート・キャリアサポート シンポジウム」(東京都主催)が11月2日、東京ビッグサイト 産業交流展2016メインステージで開催されました。これは、東京都のアスリート・キャリアサポート事業のひとつで、アスリートを実際に採用した企業の人事担当者とアスリートが登壇し、パネルディスカッションを行い、企業にアスリート雇用のメリットを発信する企画です。

 

世界を目指すトップアスリートも、生活の基盤がしっかりしていないと、競技生活を続けるのは困難です。JOC(日本オリンピック委員会)は、企業への就職を望む現役トップアスリートと競技活動に理解を示す企業とのマッチングをする就職支援制度「アスナビ」を実施しています。これまで90社130名のアスリートが「アスナビ」を通して採用が決まったそうです。就職を希望するアスリートは、企業の担当者達の前でプレゼンを行い、自己アピールをします。

 

トップアスリートが就活の時にアピールした「強み」、採用した企業がアスリートを採用してよかったと感じていること、これはスポーツ女子の皆さんも就活の参考になるはずです。
パネルディスカッションの中から、アスリート、企業の言葉をご紹介したいと思います。

 

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ウエイトリフティング リオ五輪48kg級銅メダリストの三宅宏実(みやけ・ひろみ)選手は、いちご株式会社に所属しています。毎日練習ができる環境があったから、メダルを獲ることができたと言います。リオ五輪から帰国した時、会社の人たちが喜んでくれる様子をみて、あらためてみんなと一丸となって戦っている、支えられていると実感したそうです。

 

三宅選手は「大学卒業後の進路で悩み、競技生活継続を諦める選手が多い」と指摘し、環境が整えば、メダルを獲れる選手はもっともっと多いだろうと話していました。

 

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女子7人制ラグビーでリオ五輪に出場した谷口令子(たにぐち・のりこ)選手は、凸版印刷株式会社に所属しています。
凸版印刷の担当者は、アスナビの説明会の時のプレゼンで、谷口選手の「伝える力」に惹かれたと言います。一つの目標を目指して切磋琢磨している姿、ラグビーにかける想いを伝える能力が素晴らしいと感じたそうです。人柄や話しぶりから谷口選手の持つ潜在能力の高さに惚れたと話していました。

 

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女子ラグビーアジア予選の時は、社内でポスター制作を行い、社内Webで情報発信し、国旗にメッセージを寄せ書きして、みんなで応援したそうです。

 

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五輪出場後は、出社数を増やしているという谷口選手は、午前中は仕事、午後に練習という生活です。女子ラグビーについて知ってもらいたいと、社内向けブログを書いているそうです。
企業としても社会人として育てるために、谷口選手を特別視せず、雑務をしてもらっていると話していました。

 

谷口選手は、将来のために業級昇格試験にチャレンジするそうです。
企業で仕事をしながらの競技生活を大変だと思ったことはないと言い、自分自身を成長させられる環境への感謝とともに、出会いの大切さを語っていました。

 

凸版印刷の担当者は谷口選手を応援することで、「社員の一体感」やオリンピアンを持てる企業だという「自社への誇り」、社員の自己啓発による「個の活性化」などに期待をしているそうです。

 

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カヌースラローム カヤックシングルでリオ五輪に出場した矢澤亜季(やざわ・あき)選手は、昭和飛行機工業株式会社に所属しています。
昭和飛行機の担当者はアスナビのプレゼンの時、「矢澤選手の目力が凄かった」と言います。
「私を採用して」と目で訴えてきたと感じたそうです。

 

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昭和飛行機は多様な事業展開をしていることで、社員の一体感を持つことが課題でしたが、矢澤選手の存在がその一体感を産むことにつながりました。
矢澤選手採用時は、東京五輪出場を目指すつもりだったそうですが、リオ五輪出場を決め早くも成果が出た事例となったようです。

 

矢澤選手が昭和飛行機に入社したのは、卒業から1年後です。それまでは生活環境も厳しく、競技を続けるか迷ったと言います。アスナビを通じて就職してからは、競技中心の生活ができるとともに、カヌーという競技について伝える機会も増えたそうです。

 

企業の方も、カヌースラロームという競技のことがなかなかわからなかったが、リオまで応援に行ったそうです。

 

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1年の3/4は海外に出ている矢澤選手の出社日は、年間約30日。競技優先ではあるが、企業として最低限のスキルは勉強してもらっているといい、ワードやエクセルなどパソコンスキルを通信教育し、英語力を鍛えているそうです。
出社した時は清算業務など事務処理をし、休日は地域とのコミュニケーション作りとして子供達へのカヌー教室を実施したりしています。
矢澤選手は、出社した時に社会人として勉強したり、同僚と会話したりすることで、自分の世界が広がった感じがすると話していました。

 

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アーチェリー(パラ)リカーブでリオパラ五輪に出場した上山友裕(うえやま・ともひろ)選手は、三菱電機株式会社に所属しています。

 

三菱電機は、国内からグローバル事業へとビジネス拡大を図るうえで、異種の血の混合への期待について、担当者が語っていました。
アスリート採用への期待として、「心技体の精神」「目標達成意欲」「集中力」「チームワーク」をあげ、アスリートの求心力の強さと、机を並べて仕事する仲間を応援することで、社員相互の一体感を得ることができるそうです。

 

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三菱電機には、シンクロナイズドスイミングの丸茂圭衣選手も所属しています。丸茂選手は社内でリオ五輪出場の報告会を行い、上山選手はパラ五輪出場の壮行会を行うなど、社員が五輪を身近に感じる機会となっています。

 

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三菱電機では、アスリートも勤務中心での採用をしています。上山選手は、年に1、2回大きな大会があるため、その前は競技中心の勤務になりますが、それ以外は勤務中心の生活をしています。
社員経験もある上山選手に対し、「目標達成意欲はビジネスパーソンも同じです。いい見本になれると思っています」とビジネスパーソンとしても期待していると話しました。

 

上山選手は、「三菱電機は全国に拠点がある企業なので、転勤があります。異動先で打ち解ける材料として、アスリートの名前を使って欲しい」と言います。

 

三菱電機の担当者は、「引退後も仕事をしやすい環境を整えておくことが大切」といい、「現役の時に不安を解消してあげることが、アスリートとしてのパフォーマンスを上げることにつながる」と語ります。
「スポーツの持つ力」には、特筆すべきことがあるとも言っていました。

 

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JOCキャリアアカデミー事業ディレクターの八田茂氏は、学生アスリートに対して「企業で採用されるとはどういうことか」を伝えているそうです。

 

スポーツ女子の皆さんの中には、社会人アスリートとして競技生活を続けたいと思っている人もいますが、多くは、競技を引退して普通に企業で働くための就職活動をすると思います。

 

「どんな働き方をしたいか」を考える時に、競技にかける想いを知っている皆さんだから、世界で戦うアスリートを支える企業にアピールできることもあるかもしれません。

 

企業の担当者が語るアスリートの持つ「強み」は、皆さんの中にも培われているのではないでしょうか。