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「スポーツで教えられたことが仕事に生きる」

キャリアアップ 2017/06/30

ショートトラックスピードスケートカルガリー五輪金メダリストの獅子井英子さんは、競技生活を引退後、子育てをしながら介護の世界で経験を積み、現在は認知症ケアの高齢者施設で管理職として活躍している。

「道なき道を切り開いてきたパイオニアたち―女性の人生とスポーツ」をテーマにモン・スポ(NPO法人バレーボール・モントリオール会)が主催した「女性スポーツ勉強会」(2017年6月3日@東京都港区)で、獅子井さんは「スポーツで教えられたことが仕事に生きる」と題して現在の仕事について語った。

「スポーツで培った力を発揮し社会で活躍する女性になる」というRanRunが目指すスポーツ女子の在り方の一例として獅子井さんの話を紹介したい。

これから社会に出るスポーツ女子の皆さんに、スポーツで培った力を社会で発揮するとはどういうことか、管理職として活躍する女性のロールモデルとしてぜひ、参考にして欲しい。

1988年カルガリー五輪で公開競技3000m金メダル、3000mリレーで銀メダルを獲得後引退した獅子井さんは、2002年から介護の仕事に就き、現在は特別養護老人ホームで施設長として勤務。認知症ケア専門士の資格を持ち、高齢者介護の世界で活躍している。

 

「頑張ったことが結果に結びつく。努力は嘘をつかない」
競技生活で学んだことが、今、仕事をするうえで活きていると話す獅子井さんは、選手時代を振り返り、スランプを脱しメダル獲得までの経緯を話した。練習してもなかなか結果がついてこない時期、どうすればいいか試行錯誤したことで、「見えなかったものが見えてきた」と言い、結果、五輪メダル獲得につながった。

獅子井さんは競技を通し、「諦めない心」を培ったと語る。
獅子井さんの話を聞き、努力した自分を信じることが心の強さだと感じる。

 

新たなスタート
介護関係の会社に入った当初は無資格だった獅子井さん。
女性管理職のいない職場環境だったが、収入を増やすために役職につきたかったと言う。入社から3年、勉強して資格を取っていった。

当時子供が小さかったこともあり、残業はできず、子供が熱を出せば休まなければならない状況。しかし、その間に資格を取り準備をしていたことで、子育てが一段落した時に管理職として声がかかったそうだ。

目標を立て、それを達成するまでのプロセスを考え、今の自分の状況でできることからクリアしていく。これはスポーツ女子が日頃、競技に取り組むうえでやっていることではないだろうか。その目標達成の経験は必ず強みになる。

スポーツで学んだことが管理職として活きている
獅子井さんが認知症のケア施設に管理職として赴任した当初、仕事量の多さや人手不足もあり、職場の空気が暗かったという。入所者が気持ちよく過ごせる施設を作るには、職員が明るく仕事ができる環境を作ることと考えた獅子井さんは、職場の空気を変えることに取り組んだそうだ。しかし、初めはなかなか協力を得られなかったという。

「目標に向かってまっしぐら」という力をスポーツで培った獅子井さんは、打たれても無視されても負けない根性が備わっていた。
スランプを脱した時のように試行錯誤しながらも、若い職員の改革から始めていった。若い職員達が明るくなったことで、仕事への意識が変わり、結果として事故が減ったそうだ。

次に改革したことは、職員に高い目標設定を課すこと。
スポーツでは、目標を設定し、達成するために努力をする。その経験を職場に応用した。
すると、職員達がそれぞれ考えて行動するようになり、モチベーションアップにつながったという。

スポーツの経験を活かしリーダーシップを発揮する獅子井さんだが、その手法は女性ならではの視点も感じられる。

偏見に打ち勝つ根性をスポーツから学んだという獅子井さん。
目標達成のプロセスを自身が好きな山登りに例え、「山を登ることの素晴らしさを発信していきたい」と語っていた。

超高齢化社会に向かう日本において、介護福祉は重大な課題だ。
獅子井さんのように、スポーツで培った力を違うフィールドで活かし、社会で活躍する道もある。

卒業後の進路を考える時、視野を広げることで、なりたい自分の姿が見えてくるかもしれない。

 

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