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「社会福祉ヒーローズ トーキョー 2022」ファイナリスト決定

社会福祉の第一線で活躍する若手7人

コミュニケーションツールロボット パロ
キャリアアップ 2023/02/01

全国社会福祉法人経営者協議会(東京都千代田区)は、社会福祉の現場の第一線で活躍する若手職員を表彰する「社会福祉ヒーローズ」賞の受賞者(ファイナリスト)7人を決定した。
平均年齢は31歳(2023.1.26時点)。
それぞれ、<ロボットやICT機器を活用した介護DX><TikTokで職員採用><子ども主体の保育の環境づくり>といった介護・福祉業界の常識にとらわれない活躍、さらに<発達障がいの子ども支援><障がい者雇用の促進>といった福祉課題の解決を目指す実践が評価された。

 

未来の日本社会を支える若者に“福祉の仕事の魅力”を発信 ゲストは松本まりかさん
“日本一の福祉ヒーロー”を決める全国大会「社会福祉ヒーローズ トーキョー 2022」が2023年2月28日(火)、東京で開催される。
ファイナリスト7人は会場のステージに登壇し、地域での活動や実践している挑戦(介護・保育・障がい者支援等)について、プレゼンを行う。

オンラインで生配信し、大学生や専門学生、現場の職員に視聴を呼びかけ、未来の日本社会を支える若者に“福祉の仕事の魅力”を発信。

審査方法は、学生らオンライン視聴者や会場の有識者などの投票形式。
最多得票者に最優秀賞「ベストヒーロー賞」を授与し、福祉業界の“日本一のヒーロー”が決定する。
当日はゲストとして、福祉にご関心をお持ちの人気俳優・松本まりかさんが登壇。

松本まりか

 

「社会福祉ヒーローズ トーキョー 2022」ファイナリスト7人の活動内容(順不同)

特養に介護ロボット・ICT活用し高品質なケアとスタッフの働きやすさ実現!業界のDX化促進

春田 綾香さん 介護職員
友愛十字会(東京都世田谷区)

パワーアシストスーツ

春田さんは、勤務する特別養護老人ホーム「砧(きぬた)ホーム」で、介護ロボットとICT機器(情報通信技術)を、2016年から積極的に活用。高品質で安全なサービスを利用者に提供すると同時に、職員の負担軽減にも繋げている。
同施設が取り扱うのは、移乗リフトやセンサー付きベッド、パワーアシストスーツ(写真)、コミュニケーションロボット、見守りセンサーなど全7機種87台と多彩。
「業界一クラスのハイテク施設」と、春田さんは胸を張る。

春田さんが挑戦するのは、「介護業界のDX化」への貢献。
「東京都次世代介護機器のモデル事業」に選ばれている同施設では、月に一度、各メーカーと話し合い最新機種をいち早く取り入れるほか、施設の公開見学会では全国の法人に向け各機器をスムーズに導入していくためのノウハウを“伝授”。
また、ロボットを活用した介護の仕事の魅力について、中学校や福祉科のある高校で学生に紹介したり、就活イベントで福祉に興味のある方々に発信している。

業務効率化とサービス向上の双方を叶える最新テクノロジーを導入した介護について発信することで、春田さんは人手不足が深刻な介護業界を変える一手にしたいと考えている。

TikTok・Instagramのフォロワー数、業界随一!「介護の仕事」の魅力を発信し、人材採用

稲葉 夏輝さん 相談員・介護福祉士
福住山ゆりの里(兵庫県丹波篠山市)

SNSのフォロワー数が、業界随一(TikTok(ティックトック)約1.5万フォロワー、Instagram(インスタグラム)約2万フォロワー、2023.1現在)を誇る、介護老人福祉施設「やまゆりの里」。
2017年からSNS担当となり、“施設の日常生活”を発信することでファンを増やすのが、稲葉さんの役目だ。

SNSの活用にあたり、稲葉ら職員の根幹にあるのは、「入居者さまの願いを叶え、笑顔になっていただきたい」という思い。
家と変わらない日常(料理や畑作業)や、プライドを守った排泄(おむつ使用率ゼロ)、心も身体も元気になる入浴(全員個浴)、夢を叶える活動(旧友との再会)などを実践する。

「利用者の夢を叶える介護」をテーマにした職員の取り組みにより、利用者の笑顔が徐々に増えている。
この、職員による夢を叶えるストーリーと利用者の自然な笑顔が、SNS上で共感や感動を呼び、フォロワーが急増。知名度アップに加えて、採用面でも反響が生まれている。
SNSを見たことがきっかけで、青森や東京、福岡など全国各地から就職の希望があり、約4年間で15人の採用が実現した。

「介護はクリエイティブで、笑顔を増やせる仕事。きつい、汚いなど大変そうな業界のイメージを、TikTokとInstagramを使って一新させ、介護の仕事を“なりたい職業ナンバーワン”にする」。この思いが、稲葉さんを動かす原動力になっている。

クラス制廃止、異年齢保育などで「子ども主体の保育」を実現する保育園づくり

村上 太志さん 副園長
伸成会(岡山県笠岡市)

県内初の「社会福祉ヒーローズ」に選出された村上さん。
勤務する「富岡保育園」で、「子ども主体の保育の実現」をテーマに、業界の常識であった「一斉保育」を覆す改革を進めている。
例えば、異なる年齢の園児が同じ空間で暮らす「異年齢保育」を、2017年に導入。
これまで大人主導で活動していた子どもたちが、自ら考え判断し、行動するように変化していった。

また同年からクラス制や担任制も廃止し、“オープンフリー環境”の保育を実現。
一人ひとりの子どもに様々な保育者が多様な価値観をもって関わることが、子どもの人権を守り、管理や評価に偏らない子ども主体のサポートにつながっている。

村上さんはこうした取り組みを積極的に発信するため、地域住民にお便りを手配りしたり、ブログや動画配信、ラジオ出演などの活動に取り組んでいる。
改革当初は、保護者や保育園の仲間から疑問視する声もあがったが、今では多くの共感を得るようになった。
実は、余命2カ月の宣告を受けた病を患った過去をもつ村上さん。
しかし、そんな病魔にも打ち勝ち、さらなる保育改革のため、「保育園を中心とした“まちづくり”」という次のプロジェクトを進行中。

増える発達障がいの子どもの支えに・・・馬と触れ合う「ホースセラピー」の普及に挑戦

菅野 宏美さん 児童指導員
いわみ福祉会(島根県浜田市)

県内初の「社会福祉ヒーローズ」として選出された菅野さん。
障がいのある子どもを支援する放課後等デイサービス「ワークくわの木かなぎライディングパーク」で、馬と触れ合うことで心身を癒す療法「ホースセラピー」に取り組んでいる。
現在、同施設では16頭の馬を飼育し、年間で延べ約3,000人もの小・中・高生が「ホースセラピー」体験をしている。
乗馬や馬の世話などを経て、主に発達障がいのある子どもの「やさしく、思いやりのある心を育て、勇気をもち、たくましく生きる力」を身につけるきっかけづくりを行っている。

文部科学省は、小・中学生の1クラスに3人、児童生徒の8.8%が発達障がいの可能性があることを、2022年12月に発表した。
こうした背景を受け、「ホースセラピーを通じて子どもたちを支えたい。もっと知識と技術を磨いて、まだメジャーではないアニマルセラピーの普及にも貢献していきたい」と、菅野さんは高い志をもっている。

幼少期から動物好きだった菅野さんが「ホースセラピー」と出会ったのは、東京農業大学で動物介在療法を学んだ時。
当時抱いた感動を忘れず、出身地の神奈川から島根へと移住した菅野さんの挑戦は、まだまだ続く。

障がい者のスタッフがチャレンジ&成長できるレストランを運営、才能開花を後押し

三重野 孟さん 支援員
博愛会 (大分県杵築市)

県内初の「社会福祉ヒーローズ」として選出された三重野さん。
現在、知的障がいのある約20人のスタッフがイキイキと働く、日本最大級の海鮮バーベキューレストラン「キツキテラス」(カキ小屋)で店長を務めている。
就労支援員の三重野さんが、店舗運営で最もこだわるのは、「利用者(店舗スタッフ)のチャレンジ精神を引き出す」というスタイル。

例えば、利用者それぞれの能力に応じて、調理やホールスタッフ、食器洗浄などの役割分担をするのが業界の常識だが、三重野さんはあえて「いつもと違う仕事」をスタッフに課すことがある。
上手く進まない時も支援員がしっかりサポートすることで、障がいのある方々の隠れた才能が開花することを後押しし、できることが徐々に増えていき、さらに「自分もやってみたい」とスタッフ同士で切磋琢磨するという結果が生まれている。

博愛会は、障がいのある方々の雇用の受け皿として、大分県内にリゾートホテルや飲食店など12施設を運営。
三重野さんは「障がいのある方も挑戦できる職場をつくることで成長できるはず。このスタイルをもっと他の施設でも導入していきたい」と意気込む。
こうした“チャレンジできる環境”のレストランは、県内でも評判の店舗に。
利用者自身も成長し、新規に就労支援事業A型として雇用に結びついた方が続々と増えている。

障がいをもつ方と一緒に働く意味を学生と議論…本当の意味での「障がい者雇用」促進へ

弓場 洸紀さん 支援員
佑啓会(千葉県袖ケ浦市)

知的障がい者を支援する施設を運営する「佑啓会」において、新卒採用を担当する弓場さんも、県内初の「社会福祉ヒーローズ」として選出された。
弓場さんは、「障がい者と一緒に働く意味」について、学生の頃から考えてもらうというプロジェクトを実践中。
具体的には、「地域共生社会」や「障がい者雇用」といったテーマに添ったグループディスカッションを実施。
法人説明会やインターンシップに集まった、福祉専攻やそれ以外の学部の学生らで行い、過去2年で計6回、参加者は延べ1,000人以上。
目的は、「障がい者が働きやすい世の中にすること」。
「議論を重ねる事で、自分たちの施設はもちろん、それ以外の企業に就職した場合においても、知的障がいのある方と一緒に仕事をすることになった時に、適切なコミュニケーションができる」と、弓場さんは考える。

企業や行政機関において、一定割合、障がい者の雇用を義務づける「障害者雇用促進法」が施行されているものの、実際には障がいのある方は、比較的、生産性の乏しい仕事を任されることが多い現実もある。
だからこそ、「1人でも多くの学生が現状を知り、さらにその解決方法を社会に出る前から考えてもらい、本当の意味で“障がい者雇用の推進”に繋げていきたい」。このような思いを胸に、弓場さんは学生たちと日々向き合っている。

障がい者ひとりひとりにとことん寄り添い、今後の生活や人生を一緒に模索!

萩野 美鈴さん 生活支援員
川崎聖風福祉会(神奈川県川崎市)

主に精神障がい者を対象に、自立訓練の支援を行う入所施設「桜の風もみの木」の現場で働く萩野さんの挑戦は、「障がい者一人ひとりにとことん向き合い、今後の生活や人生を一緒に模索していくこと」。そして、その活動を通じて、「精神障がい者の支援が魅力的な仕事であると伝えること」だ。
自立訓練と言うと、料理や洗濯、掃除、金銭管理などの一般的な生活スキルを練習するが、この支援の本質は「その人がその人らしく幸せに生きるにはどうしたらいいかを、一緒に考え見つけていくこと」だと、萩野さんは考えている。
例えば「食事」一つとっても、個々に合わせた支援を行う。
料理が得意で自分で用意する人もいれば、症状により疲れやすいため配食弁当を注文したり、カップ麺ばかり食べてしまう人は一緒にスーパーに行って栄養バランスを考えたり、長期入院により電子レンジの使い方が分からない人と一緒に練習をするなどだ。

「10人いれば 10 通りの過去・目標・課題、さらには強みがあります。自分の思い込みを捨て、10人それぞれに向き合ったサポートこそが重要」と萩野さん。
萩野さんは、「精神障がい者の支援という仕事は、まさに多くの人の人生に関わることで、自分自身も成長できます。福祉系学科の大学出身ですが、学友の大半が福祉の道に進まなかったことを、今の仕事を魅力的に感じているがゆえに残念に思っています。一緒に働く仲間を増やすために、社会福祉ヒーローズ賞に応募しました」と話す。

ベストヒーロー賞選出方法
7人のファイナリストは、日本一をかけてプレゼンコンテスト(2023年2月28日 東京大手町)に登壇。
有識者や専門家で構成される審査員、学生たちがその内容を聞いて、「日本一、社会福祉をチェンジする情熱にあふれていた人」に投票し、グランプリ(ベストヒーロー賞)が決定する。
http://www.shafuku-heros.com/

 

ゲスト 松本まりかさん
1984年9月12日生まれ。東京都出身。
2000年に女優デビューし、ドラマ『ホリデイラブ』で注目を集める。
主な出演作品は、『教場Ⅱ』(フジテレビ系)、『最高のオバハン 中島ハルコ』(東海テレビ)、映画『夜、鳥たちが啼く』など。
今後、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)、映画『アイスクリームフィーバー』に出演予定。

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