スポーツボランティアのススメ「五輪ボランティア体験者の話」

2019年・2020年とスポーツのビッグイベントを控え、スポーツボランティアについての研修や授業を実施する大学が増えてきたようです。世界大会のような大きな大会ではスポーツボランティアにも様々な業務がありますが、競技についての知識を持った人へのニーズが高いことは言うまでもありません。競技経験を活かし、ボランティアとしてスポーツのビッグイベントに関わってみませんか。
日本スポーツボランティアネットワークが2017年1月11日に開催した『Rio2016オリンピックボランティア活動報告』の体験者の話をご紹介したいと思います。
活動報告に登壇されたのは、竹澤正剛氏・島村直子氏・西川千春氏の3名。
竹澤氏は普通のスポーツボランティア活動、島村氏と西川氏は通訳ボランティアとして活動されました。
竹澤氏はゴルフ会場の10番ホールを担当。
主にギャラリー誘導、「お静かに」ボードの掲示、ハザード対応などが業務だったそうです。
ハザード対応というのは、コース内の池にワニがいないかを確認する作業だったとリオならではのエピソードを語っていました。
ゴルフ担当のボランティアの中には、ゴルフ競技を知らない人もいたそうで、日頃接していない競技につながる場合もあるといいます。
もともとゴルフ競技のボランティアは12名募集でしたが、人数が足りておらず7名で担当することになり、大変な面もあったようです。
日本でスポーツボランティア経験10年の竹澤氏は、日頃のボランティア活動と変わらなかったといい、「五輪だからと気負う必要はありません。リオ大会は温かい大会で、結果的にはいい大会だった」と話していました。
東京大会への宿題として感じたことは、「笑顔」で接すること。リオの人たちは、笑顔が素敵だったといいます。現地ボランティアには、英語ができない人もいたようですが、笑顔とボディランゲージで乗り切っていたそうです。
とはいえ、世界大会での会話は基本英語なので、2020年に向けて「英語を頑張りましょう」と竹澤氏は来場者に呼びかけました。
2014年仁川アジア大会でスポーツボランティアに出会い、リオ五輪のボランティア参加を決めたという島村氏。国際交流の仕事をされていて、学生時代にバドミントンをやっていたこともあり、バドミントンの通訳ボランティアとして活動されました。リオでは一般家庭にホームスティして、自転車と徒歩で担当会場まで通勤したそうです。
主な業務は、日本のメディアが選手にインタビューした内容を書記して、海外メディアに渡すというもの。
また、メダルセレモニーで表彰台に上がる前の選手に指示を伝えるという役割があったそうで、日本選手のメダルダル獲得シーンに居合わせることができ、ボランティアメリットを感じたそうです。
島村氏も2020年に向けての課題に「笑顔」を挙げ、日本に来られる外国人観光客に声をかけるなどして、笑顔と英語力のスキルアップについて話していました。
ロンドン在住の西川氏は、ロンドン五輪で通訳ボランティアを経験し、オリンピックボランティアにはまり、ソチ、リオと続いて活動するベテランボランティアです。卓球経験のある西川氏は卓球競技の通訳ボランティアを担当されました。
通訳は、英語に変換する作業が主な業務。経験でスキルを磨いていくものです、
プロの通訳は、公式記者会見や会議での通訳業務を担当します。
ボランティアは、プレスインタビューの記者と選手の通訳、ドーピング検査の担当者と選手の通訳、メダルセレモニーで注意事項を選手に伝える通訳など活躍の場は多いです。
東京五輪も日本での開催であっても英語が基本なので、通訳ボランティアのニーズは高くなります。
西川氏は、リオ大会についてボランティアのトレーニング不足や運営の甘さを指摘する一方、人間力で成し遂げた大会と評します。リオの人は「言葉がわからなくても伝えようとする力が強い」といい、「多様性を受けいれている国」とまとめました。
2020年に向けては、ボランティアの魅力として「ボランティアの楽しさと自己実現」を挙げ、活動への参加を呼びかけました。
RanRunで昨夏掲載した「ブラジルからこんにちは。パラ五輪観戦で出会ったボランティアたち」の中でも、ボランティアについてご紹介しています。
ぜひ、参考にしてください。
RanRun yukiyanagi