ES廃止、人物本位の採用選考 土屋鞄製造所

コロナ禍で満足な「ガクチカ=学生時代に力を入れていたこと」を語れずに悩んでいる就活生は多い。
そんななか、ESを廃止する企業が出ている。
ランドセルや鞄など革製品を製造販売する老舗、(株)土屋鞄製造所(東京都足立区)もそのひとつだ。
2022年度の新卒採用で、志望動機などを記入するエントリーシート(ES)を廃止した。
エントリーシートをマニュアルのように「上手に書く」学生が増えるなか、「学生時代の経験」や「自己PR」といった従来のフィルターを通さず、希望する全ての応募者とまずはオンライン面接をする。
各人の持ち味や個性、考え方、生き方といった人物像を引き出し、見極め、多様な人材を獲得する考えだ。
土屋鞄製造所では2022年3月までに大学や大学院、短期大学、専門学校を卒業見込みの学生を対象に、全国から広くエントリーを受け付けている。
職人、デザイナー職、店舗スタッフなど、約20人を採用する。
ZOOMによるオンライン面接
面接は全て、テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用したオンライン。
学生は全国どこからでも参加可能。
エントリーは、氏名や希望職種などを入力するだけで、気軽に採用選考に進める。
面接の場で自分の強みを自由にアピールし、疑問や不安なども、直接その場で確認し、解決できそうだ。
チャットも活用、学生の身近な相談役に
ツイッターのDM機能を活用して、学生の相談にのってくれる。
内定後は、メールに加えて採用専用のLINEアカウントも活用し、入社までの心配事などを解決するフォロー体制も充実。
「面談」でミスマッチ解消へ
「面接」ではない「面談」を実施。
一次面接を通過した学生と人事担当の双方が、希望に応じて呼びかけ、お互いが聞きたいこと、知りたいことについて話し合う。
時間や回数の制限は設けず、「密」なコミュニケーションで双方をより深く知り合えるようにすることで、ミスマッチ解消につながる。
デザイナー職希望の学生には、指定のフォーマットやテーマを一切設定せず、「あなたらしい人物像が分かるポートフォリオ」の提出が課題。
各作品は、クリエイティブや商品企画担当のスタッフが、一つひとつ丁寧にチェックしている。