• 金. 4月 19th, 2024

海外でプレーしてみたいと思ったことはありませんか?本気でやりたいという想いがあれば、夢を叶えることは可能です。選手、指導者の留学サポートなど、スポーツ関連事業に携わるInternational Sports Academy(ISA)の坂井惟史氏に、ご自身の留学経験や現在の仕事について話を聞きました。
前編はイングランドでのサッカーについてです。

小学校2年生の時、Jリーグの開幕戦ヴェルディvsマリノス戦をテレビで観てスーパーゴールに刺激を受けた坂井氏は、直ぐに地元(神奈川県川崎市)で1、2位を競う強豪チームに所属しました。
ヴェルディの練習場が近くにあり、よく観に行っていたそうです。
高校、大学とサッカーに励みながら、海外でプレーする夢を描いていたという坂井氏。

憧れていたサッカー選手を尋ねると3選手の名が挙がりました。
いずれも外国人選手。

Jリーグでは元名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ選手のファンで、引退試合を観に行って、一緒に写真を撮ってサインももらいました!

海外の選手では、元イングランド代表のデビッド・ベッカム選手の試合を日本とイングランドで計5回は観戦したといいます。
また、元リヴァプールキャプテンのスティーブン・ジェラード選手への憧れから、現在もリヴァプールファンを自称する坂井氏。

サッカーの魅力
サッカーが好き過ぎて、魅力について話し始めると止まらなくなる坂井氏。
敢えて一言でいえば、「熱狂」と表現します。

サッカーほど選手・チーム・サポーターが一体となるスポーツは、他にないと思います。
歴史、伝統、文化、たくさんの物が混ざり合い、一つの大会、一つの試合、一つのゴールにそれぞれの物語があります。
だからこそ本当に興奮しますね。

サッカーを通して成長したこと
チームプレーの中で、協調性や、規律、思いやりといったものを常に学んできたという坂井氏。
小さい頃は身長も低く体も細かったため、人一倍ボールの扱い方には工夫をしていたといいます。
集団行動や集団の中での個性の出し方などは、サッカーで学んでいたのかもしれないと話します。

語学学校留学生活の写真
語学留学時代の写真

イングランドへサッカー留学
スポーツビジネスを学びたいと思っていた坂井氏は、東海大学スポーツ・レジャーマネジメント学科への進学を志しますが、現役合格とはなりませんでした。
浪人することを選択すると直ぐにイギリスへ語学留学。
留学中に地元チームに声をかけられ、イングランドサッカーをリアルに体験します。
さらに海外のスタジアムや公園などを調べるなど受験準備をして、東海大学スポーツ・レジャーマネジメント学科にAO入試で晴れて合格しました。
しかし大学のサッカー部への入部は叶わず、社会人サッカーをやるか考えているタイミングでヘルニアを発症。一度はサッカーを諦めかけました。
でも、治療によってプレーを続けられることがわかりました。

憧れの地イングランドでサッカーをしたいという想いが強くなっていきました。
サッカービジネスとサッカー選手を天秤にかけた時に、今しかできないのは選手だと思い、大学を退学してサッカー留学することを決めました。

無名の選手に、海外チームからのオファーなどはありません。
当時はサッカー留学の情報もなかなかみつからず、インターネットで探しては問い合わせをしていったそうです。
サッカーの経歴としてアピールする材料もほとんどなかったものの、選手のレベルに関係なくチームを紹介できるという会社に出会うことができました。
ちなみに、坂井氏は現在、その会社で働いています。

イギリスで選手として活躍
イギリスで選手として活躍

プレーをするうえで日本と海外で大きく違ったこと
言語が違うことはもちろん、戦術の違いを理解することが大変だったと振り返ります。

サッカーのスタイルが全く違うため、日本にいた時の感覚でプレーするとマッチしない部分があります。試合中のプレーだけでなく、選手同士や監督とのコミュニケーション量が非常に多く、常に意見が言い合える環境でもありました。上下関係が厳しい日本の部活動にはない良い文化だなと思います。

イングランドのサッカーはとにかく強くて速い。
プレッシャーの中で戦うことで、サッカースキルが成長したことは言うまでもありません。
海外生活を通してサバイバル力が身に付いたと笑う坂井氏。

日本では考えられないような理不尽なことにも、何度も遭遇したのだとか。
無言で流すわけにもいかず、問題に直面した時に、自分の考えを言語化し相手に理解してもらうように努めなければならなかったと言います。

日本にいた頃は、「わかってくれないならいいや」と、どちらかというと引いてしまうタイプだったので、この点が一番大きく成長したことだと思います。

サッカーに対する向き合い方が変わった
海外でサッカー生活をするなかで、坂井氏の意識を変えたできごとがあります。
ある日、坂井氏がホームの試合に向かっていると、小さい子どもが坂井氏の方に歩いてきました。
すごく怒っているようでもあり、悲しそうな感じでもあります。
「この前の試合はなんだ! 今日は絶対勝ってくれよ!」
子どもが坂井氏に向かって言い放ちました。

「そんな事わかってるわ!」とその時は思いましたが、よく考えてみるとこんな地元チームの試合に毎回足を運んでくれるサポーターがいることに、あらためて気づかされました。
地元の選手を見て育っていく子供たちがいます。

僕らは彼らの憧れにならなきゃいけないし、自分が思っている以上に、もっともっと戦わないといけない!
足がもげるぐらいやらないといけない!
絶対に負けちゃいけないんだ!
そう痛感させられました。

サッカーがイングランドの文化や教育の一部になっていることを再認識してからは、試合中、練習中だけでなく、普段の生活のなかでもより一層サッカーの事を考えるようになったそうです。
サッカーだけに集中してやるのではなく、サッカーで成功するために、本を読む、トレーニングをする、ちゃんと休む、などサッカーに対してあらゆる視点から考えるようになりました。

イギリス選手時代の坂井惟史氏

サッカー好きにはたまらない環境
イングランドでの生活は、サッカー好きにはたまらない環境です。
毎日の新聞トップ記事はサッカーのネタばかり。
どこのパブ(レストラン)でも常にサッカー中継がされています。
サッカー好きがそこら中にいるので、電車の中でもお店の中でもサッカーの話ができます。
現地で試合観戦に行くと、テレビでは伝わらない迫力に圧倒されたそうです。
しかし、いい事ばかりではありませんでした。
前述のように理不尽なことや日本ではイレギュラーなできごとが、よく起こったといいます。
バスの故障で停まり、途中で降ろされてしまったり、お金を取ろうとして近寄って来る者もいました。

自己管理は本当に大事です。日本がいかに平和で良い国かも再認識できましたね。

つづく

2019年1月掲載記事リライト