伝説の連盟公演を作る!第26回連盟公演『THE SQUAD』

「無事に終わってよかったー!!!」連盟公演を終え責務を果たした第29代会長吉澤流星さんの素直な想いだ。関東大学学生ダンス連盟Σ第26回連盟公演『THE SQUAD~小さな革命者たち~』(全4回公演)が3月17~19日、戸田市文化会館(埼玉県)で開催された。大学サークルの枠を超え、総勢400人の学生ダンサーが55日間でひとつの作品を作り上げた。「ファンタジー」に挑戦した今公演は舞台セットにもこだわり、ストリート系ダンスのそれぞれのスタイルが演出の一部となり、来場者に感動を与える公演となった。
「なにこのパンフレット、ステキすぎ!」
入口前には開場を待つ観客の列ができており、学生や家族連れなど幅広い年齢層が受付開始を待っていた。「全公演の客席を満席にしたい」と話していた広報統括の川島さん(「公演に来て生でダンスを観て欲しい!関東大学学生ダンス連盟Σの活動」)の想いは叶ったようだ。
受付で渡されたパンフレットを手にホールに移動する観客の列から、「なにこのパンフレット、ステキすぎ!」と声が聞こえてきた。客席に着くと、「セットも凝ってるなぁ」と学生公演のレベルの高さに驚きの声が聞こえる。
オープニング「The World Of Fantasy~奇跡の力~」
圧巻のステージで幕が開いた。
学生連盟Σに所属するダンスサークルは55団体。
公演に出演する400人はその中から名乗りを上げたダンサー達だ。
客席にはダンサー仲間の姿も多くみられた。
ステージ上のダンサーにエールが飛ぶ。
ジェンダーレス
ストリート系ダンスのスタイルも多様だ。
ロック、ポップ、ハウス、ジャズ、ブレイク、ヒップホップ、フリースタイル、パンキングといったダンススタイルには、それぞれ全く違う魅力がある。
揃った動きで魅せる、迫力のある動きで魅せる、優雅で美しい動きで魅せる。
それぞれのユニットは男女混合で構成。
「ジェンダーレスもまたストリートダンスの魅力」
あらためてそう感じるステージだった。
「勇気をもらった」
終演後、感想を語りながら帰途につく来場者の声が聞こえた。
同じサークルの仲間の頑張る姿を観て、ダンスに対する迷いが消えたようだ。
ダンサー達の本気のステージは、観る者の心を動かした。
ダンサー、スタッフとして関われた幸せ
ダンサーとして出演し、スタッフとして渉外を担当した本庄彩夏さん(日本女子大学新3年)は、「大学ダンスサークルでは経験することのできない規模の舞台セット、照明、映像の中で、ファンタジーのストーリーの一部となり歓声を浴びることができてとても楽しかったです。ダンサーとして2年目の出演でしたが、全く見ず知らずの400人が集まり55日間で公演を作り上げていく中で、ダンスのスキルだけでなく、これからも続いていく素敵な人との繋がりを得ることができるこの連盟公演に、今年も関われたことを幸せに思います」と話す。
本庄さんは渉外という業務を担当して、視野が広がったという。
公演直前に行った2泊3日の合宿の件では旅行社の担当者と、公演フィナーレで出演者全員が着るTシャツの作成ではTシャツ会社の担当者とのパイプ役を務めた。
400人の出演者とΣをサポートする企業とのパイプ役を担う渉外の仕事は、Σを内部から見る視点と、外部から客観的に見る視点の両方が必要だと本庄さん。
「公演を作り上げるのに費やした55日間、400人の出演者と多くの企業の方と関わる中で、自分はΣに何ができるのか、企業の方にΣはどう求められているのか常に考えて行動し続けたことが視野を広げることとなり、自分の成長に繋がったと思います」
次年度、Σは30周年を迎える。Σが今後一層大きくなるために、渉外として、一個人として何ができるのかを考え、自分の力で新たな企業の方と関わりを持てるように頑張りたいと本庄さんは意気込む。
また、3年生となり所属するダンスサークルでは執行代となるため、Σとの関わりの中で得たこと、経験したことをサークルに持ち帰り、ダンサーとして最後の一年を有意義に過ごしたいそうだ。
連盟公演は、全学生のダンスシーンにおける心臓である
第29代会長として最後の大仕事を終えた吉澤流星さん(東洋大学4年)に話を聞いた。
「ファンタジー」という新しい挑戦をすることが決まり、今までの連盟公演とは色々な面で異なり、不安なことが多かったそうだ。
「伝説の連盟公演を作る」というスタッフみんなの想いがひとつになり、公演の成功へとつながった。
公演の準備をする中で、吉澤さんは何度も壁を乗り越えてきた。
その最初が、公演の説明会だった。本来なら連盟公演に出たい学生で満席になるはずの会場が、まさかのスカスカ状態。連盟公演の価値観が下がっていることを肌で感じ、ショックを受けた。3日間、ご飯も食べられないくらい悩んだと笑う。
ダンスイベントが増え、ダンサーが踊りやすい環境が整ってきたことはダンサーとして喜ばしいことだが、それが連盟公演への関心を下げてしまってはいけない。連盟公演は特別な場所。学生ダンスシーンにおける心臓だと吉澤さんは言う。
「僕が22年間生きてきた中で1番悔しい思いをした瞬間でした」といい、だからこそ、「必ずもう一度この場所を伝説の場所にしてみせる」と誓いを立てたそうだ。
とはいえ、初めての執行代での連盟公演はわからないことだらけ。
プロスタッフ、プロダンサー、学生振付師、出演ダンサー、多くの人たちに迷惑をかけては、未熟さを痛感する日々だったそうだ。
そして事件は起きた。
全ての作品が完成し、初めての通し稽古の日、頭から最後まで通すことができなかったのだ。
運営サイドの時間配分のミス。「取り返しのつかないことをしてしまった」吉澤さんはどん底まで落ち込んだ。
「スタッフももちろん甘かった。でも、俺ら出演者ももっとできることあったはずだ!スタッフだけじゃなく、俺らでもう一度この連盟公演を作ろう!!」
1人の仲間の声で、全関係者の覚悟がひとつになったと吉澤さんは振り返る。
この時、吉澤さんは生涯の友を得たと感じた。
「連盟公演には【お金では変えられないもの】がたくさんあります。だからこそ、もっともっと多くの人にこの伝説を感じて欲しいと思います。そして、未来に繋いでいって欲しいです。
それが僕らの生きた証。SQUADがあった証。本当にこの地球上もっとも有意義な55日間でした!!!ありがとうございました!!!」
会長を経験して得たものは【愛】
29代のテーマは「愛で巻き込むΣ」。
「僕は特別仕事をこなす能力があるわけでもなく、容姿端麗でもありません」と笑いながら、「でも、誰よりも愛を持って行動した」と自負する吉澤さん。
この1年、たくさんの困難な課題があった中で、「愛の力が人を動かし、支えあっている」と実感した。不器用な自分が、最後までやり通すことができたのは、間違いなく「仲間の愛」のお蔭だと話す。
Σは人生を変える
言葉では軽く聞こえてしまうかもしれませんが、、この心が証明しています。
人生は一度きり。
どのように生きるかは自分次第。
どんな生き方をしても最後の最後に残るのは【仲間】です。
だからこそ、ここには一生の仲間がいます。
約束します。【Σは人生を変える】