ボートインカレ観戦 一員になったような感動

ボートの第49回全日本大学選手権大会が2022年9月7日(水)〜11日(日)、戸田ボートコース(埼玉県戸田市)で開催された。
11日の決勝日は最高気温29度と天候に恵まれ、久しぶりの有観客試合ということで、学生だけでなく、家族や友人、OBやOGなど、多くの人が応援にかけつけた。
大声での声援禁止やソーシャルディスタンスの確保といった規制はありながら、会場は熱気で溢れていた。
また、今年は大学スポーツ協会(UNIVAS)により、五日間の全レースがインターネットで中継されており、注目度の高い大会になった。
コースの両岸には全国各地の大学や企業が所有する艇庫が並ぶ。
レースに出場するために艇庫からボートをコースに出すいわゆる「岸蹴り」、部員や関係者がクルーを見送る光景が印象的だった。
艇庫から見守る部員、観客席から応援する家族など、会場にいる全ての人が熱い思いを持って、レースを見守っている。
自転車でボートに伴走するマネージャーが、レース終了後に自転車を止めて泣いている姿を見て胸を打たれた。
終了後は、「ナイスファイト!」の声をかけながら部員たちがクルーを迎え入れ、自分たちで艇庫にボートを戻していく。
このような流れで、レースは順調に進んだ。
今大会のレース結果と選手コメントをお伝えする。
<総合>
女子総合 | 男子総合 | |
1位 | 早稲田大学 | 日本大学 |
2位 | 立命館大学 | 富山国際大学 |
3位 | 仙台大学 | 明治大学 |
<シングルスカル>
女子シングルスカル優勝は早稲田大学の武井愛奈選手。
「今はすごく幸せな気持ちです。早稲田で総合優勝を狙っていたのですが、いつも応援してくれる人たちや、私の力が必要だといってくれた先輩たちが喜んでくれている姿を見られたことが、一番幸せでした」
3位に入賞した黒木 秀里選手(鹿屋体育大学)は、「中盤まで負けていたので、負けたくないという気持ちでやり切りました。最後まで出し切りました」とコメント。
女子 | 男子 | |
1位 | 早稲田大学 | 富山国際大学 |
2位 | 仙台大学 | 日本体育大学 |
3位 | 鹿屋体育大学 | 日本大学 |
4位 | 中央大学 | 龍谷大学 |
<ダブルスカル>
女子ダブルスカル優勝は、早稲田大学。
「本当に優勝できて嬉しいです。去年獲れなかったので、一緒に同じメンバーで獲ることができたのが一番嬉しくて。(猪野選手には)2年生ながら、色々と助けてもらったので、本当に感謝しかないです」 茂内 さくら選手
「私は、(茂内選手と)最後の大会に一緒に組ませてもらったことが本当に幸せだと思います。優勝できてよかったです」猪野 日向子選手
女子 | 男子 | |
1位 | 早稲田大学 | 日本大学 |
2位 | 東北大学 | 富山国際大学 |
3位 | 明治大学 | 立教大学 |
4位 | 富山国際大学 | 東京経済大学 |
<ペア>
女子ペア優勝は、一橋大学。
「日本一をずっと目指してきたので、本当に嬉しいです」甲斐 耀選手
「とても緊張しました。スタートでは少しミスがありましたが、相方の甲斐(選手)のことを信じて『いける』と思いながら漕ぎ抜きました」飯島 佐和子選手
女子 | 男子 | |
1位 | 一橋大学 | 日本大学 |
2位 | 立命館大学 | 明治大学 |
3位 | 早稲田大学 | 富山国際大学 |
4位 | 富山国際大学 | 一橋大学 |
<舵手つきフォア>
女子舵手付きフォア 優勝は立命館大学
「たくさんの応援ありがとうございました!」
松田 京子選手、鈴木 伶奈選手、阿南 美咲選手、志賀 早耶香選手、越智 楽々渚選手
女子 | 男子 | |
1位 | 立命館大学 | 日本大学 |
2位 | 早稲田大学 | 早稲田大学 |
3位 | 神戸大学 | 日本体育大学 |
4位 | 仙台大学 | 金沢大学 |
<クォドルプル>
女子クォドルプル優勝は中央大学。
「この決勝のレースが終始辛いレースではありましたが、最後の最後まで諦めずに、この4人で戦い抜けた結果、1位を取れたので、よかったです」溝口 心華選手
「今年で3回目のクォドルプルの出場でしたが、やっと優勝できて最高の気分です」神 杏奈選手
「私は(神選手と)同期で、一年の時からずっと優勝できずに、悔しい思いをしていたので、今年、最高のクルーで優勝することができて、本当に嬉しいです」橋村 心選手
「とても緊張しましたが、最後までみんなで声を掛け合って勝ち切ることができてとても嬉しかったです」上野 美歩選手
女子 | 男子 | |
1位 | 中央大学 | 日本大学 |
2位 | 仙台大学 | 明治大学 |
3位 | 明治大学 | 富山国際大学 |
4位 | 早稲田大学 | 龍谷大学 |
<男子フォア>
1位 | 日本大学 |
2位 | 京都大学 |
3位 | 東京経済大学 |
4位 | 大阪大学 |
<男子エイト>
1位 | 日本大学 |
2位 | 同志社大学 |
3位 | 明治大学 |
4位 | 東北大学 |
全ての表彰式が終わると、選手たちは各々の艇庫へと戻っていった。
4年生はこの日を以て引退となる。
一橋大学端艇部の艇庫前では、応援部が選手たちを労っていた。
今回16名で参加した金沢大学ボート部が、積み込み作業をしていた。
戸田ボートコースは間近で観戦することができる。
目の前を通り過ぎていくボートはとても迫力があり、クルーが掛けあう声も聞こえてきた。
すぐ傍で部員やマネージャーが、自分のことのように喜んだり、涙を流して悔しがったりしている。
ボート初観戦の私も、会場内の一体感に圧倒されつつ、自分もボート部の一員になったような感覚を味わい、感動を共有させてもらった。
ルールがシンプルなことも魅力のひとつで、観戦の経験がなくてもわかりやすい。
一度、会場に足を運んでみてはいかがだろうか。
取材 学生スタッフ REAMO(昭和女子大学3年)