「ダンスは私の身体の一部であり、人生です」社会人アスリートインタビュー、整体師、ヨガインストラクターでプロのダンサーとして活躍する尾形直子さん。7月の公演を前にダンスのこと、整体・ヨガのこと、学生へのメッセージなどを伺った。
ダンスとの出会い
「ダンスをやりたいと思ったのは、小学校5年生の時です!」劇団四季のファミリーミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』の観劇で衝撃を受け、いつか自分もステージの上で踊りたいという気持ちが芽生えたという。
ピアノ教師の母の元、小さい時からピアノのレッスンが中心だった尾形さんにとって、ダンスをやりたいとカミングアウトするまでに時間を要したという。
中学でバレーボール部に入っていても、ダンスをやりたいとは言えなかった。
それでもミュージカルのDVDを観まくり、ダンスへの想いを温めていたそうだ。
高校生になってやっと告白し母を説得。
音楽高校に通いながら、ダンススタジオでタップダンスの教室に入り、ジャズダンスへと広げていった。
幼少期からダンスを始める人が多い中で、出遅れたスタート。
悔しい思いをすることが多かった。
日本女子体育大学舞踏学専攻に進学し、大学の授業が終わるとダンススタジオのレッスンに通った。
大学2年の時にコンテンポラリーダンスと出会い、その魅力に引き込まれた。
レッスン費を稼ぐためにアルバイトをし、卒業後はプロのダンサーになると決めた。
プロダンサーへの道
ダンサーになることしか考えていなかった尾形さんは、就職は想定していなかったが、卒業目前に私立中学・高校で体育の非常勤講師をしないかという話が舞い込んできた。
球技ができてダンスを教えられることが条件。
バレーボール部出身の尾形さんにとって、自分しかできない仕事だと感じたそうだ。
4月から非常勤講師として週4日12コマの授業を受け持った。
その学校が120周年を迎える年で、記念事業として有志の高校生がダンスを踊ることになっていた。
振付を頼まれ、衣装や曲決めから関わった。
山田うん主宰のダンスカンパニー「Co.山田うん」の公演に出ることになった。
尾形さんにとって、どうしても入りたかったカンパニーだ。
公演に向け3か月のリハーサル。
アルバイトをして、授業に向かい、夜はリハーサルという日々が続いた。
公演が終わり、初めて舞台出演料をもらった。
こうしてプロダンサー尾形直子が誕生した。
講師の仕事
授業でダンスを教えるうえで辛かったことがある。
生徒に評価をつけなければならないことだ。
生徒の中にはダンスをやりたくない子もいる。
音に合わせて体を動かすことの楽しさを知って欲しいと思った。
ダンスの授業では、中学生は教師が振付をする。
高校2年生になると創作ダンスになり、自分達で振りを作る。
映像を観ながら研究し、アレンジを加えながら振り付けすることから始めた。
ダンスの入り口を広げてあげることで、「自由とは何か」を考えるきっかけにして欲しかったという。
教え子の中からダンサーになっていった生徒達がいる。
「劇団四季や宝塚歌劇団、コンテンポラリーダンスのカンパニーなどで活躍しているんです」と嬉しそうに教えてくれた。
整体師の資格取得
尾形さん自身がダンスをするうえで、見せることにばかり意識を向けていたためか、ケガをすることが多くなった。
ケガをしないために、身体の仕組みが気になりだしたそうだ。
身体の構造を知ることで、動きが変わったという。
手に職を持ちたいと考えるようになり、身体のことを知りたいという思いも加わり、整体師の学校に入った。
ダンサーとして参加した作品が国内のダンスコンペティションで賞を受賞。
その後長期のツアーに出ることになった。
学校や生徒たちに迷惑をかけてはいけないと講師の仕事を辞職し、リラクゼーションサロンでアルバイトをした。
ダンサーの活動をメインにするつもりだったが、整体師として人の身体を診ることに興味が出てきたという。
この時、インドで日本人向けのビジネスホテルを造ることになった企業が、整体師として店を開く日本人を探しているという情報が入った。
インドでの生活
自分の店が持てるうえに、前例のない新しいビジネスということに魅力を感じた尾形さんは、インド行きを決めた。
ダンス公演が終了した2010年12月から2年間、インドでサロンの店長として整体師の生活が始まった。日本人出張者のためのホテルだったが、駐在員の人達が整体を待っていたそうだ。
仕事は土日と平日の夜がメインのため、平日の昼間は一人で出かけることも多かった。
インドの生活は資源が限られており、電気や水などのインフラもきちんとは整備されていない。
水をはじめ、全てのものにありがたさを感じた。
人口が多いためか、意志を貫かないと埋もれてしまい前に進めない。
ガツガツとした競争心の強さが経済発展につながっているのではないかと尾形さんはいう。
嫌な面も含めて、また行きたい国だと話す。
インドでヨガの修行もした。
ヨガと聞くと独得のポーズを想像しがちだが、それはヨガの一部に過ぎない。
ヨガにおける物事の捉え方、考え方も広めていきたいと語る。
現在、ヨガのインストラクターとして教えているが、ヨガを続けることによって起きる気持ちと体の変化を楽しんでほしいと話す。
ダンスとは
インドから帰ってから、整体師、ヨガのインストラクターをしながらダンサーとして活躍している。
ダンサーの身体のケアをする整体師としてダンスカンパニーに参加することもあり、世界を渡り歩く。
尾形さんにとってダンスとは身体の一部であり、人生そのものだ。
考えてみれば、ヨガ、整体、インド、食べるもの、選ぶもの、考え方など全てが「ダンス」のための経験だったように思う。
全てがダンスに向かって活かされているという。
尾形さんは、世の中の動きや社会の中で感じる違和感や問題点にも目を向け、踊りを通して表現することもある。
ストレートに伝えることよりも、あえてコミカルに表現したりすることで、観客に考える余地を与えたいのだそう。
次回公演「カトルカール」(7月2日16:00/19:30)で尾形さんが踊るテーマは「黄金比」だ。
人が心地よいと感じるバランスを探り、表現する。
学生へのメッセージ
今が大事です。あれこれ考えずに、先ずは飛び込んでみること。行動することで、そこから見えてくるものがあるはずです。置かれた状況で自分に何ができるかをみつける。その積み重ねが大切です。
モチベーションが上がる曲
ハナレグミ/ オアシス
<プロフィール>
尾形直子(おがた・なおこ) ダンサー/整体師
日本女子体育大学卒
ダンサーとして、山田うん、田畑真希の作品に参加し国内海外の公演に出演。
その後整体師としてインドに渡りサロンを運営。
帰国後ダンス活動を再開し、多方面の音楽家と活動を共にする。
身体の動きの可能性を追究、細胞まで息づく動きに挑み続ける。
Co.山田うん、ベルギーのダンスカンパニーRosasの専属整体師としての経験をもつ。