医療・介護福祉の現場ニーズに応えるデザイン研究で社会課題解決 千葉工業大学佐藤研究室

ユニバーサルデザインという言葉をご存じでしょうか。
簡単に言うと「誰もが使いやすいデザイン」ということになります。
千葉県と千葉県福祉ふれあいプラザ主催「千葉県福祉機器展」が2025年11月15日、けやきプラザ(千葉県我孫子市)で開催されました。

1階の会場は関連企業による介護機器の展示。
その一角で、千葉工業大学創造工学部デザイン科学科 感性デザイン/佐藤研究室が出展しており、佐藤弘喜先生のサポートのもと、学生たちがデザインのポイントについて紹介していました。

*デイサービスでの機能訓練ツール

デイサービスの現場で機能訓練として取り入れる工作やゲームなどレクリエーションの時間に使用するツールのデザインを研究室の学生たちが担当。
実際に現場で働く人たちからニーズを聞き、議論を重ね、サービスの利用者さんが使うために必要なことを学びながらデザインしています。

考えながら手を動かし、工作していきます。
「できていたことが、できなくなる」ことが、高齢者にとってストレスになります。
「できないと思っていたことが、できた」という達成感を味わう体験。
完成させたものを見えるところに飾っておくことで、自信を持続させることにもつながりそうです。
簡単に作れる工作ではなく、少し手間を増やす工程をデザインしていました。

ひらがなブロック
おはなしカード ネタのタネ
おとあて

「ひらがなブロック」は、出されたお題に合う言葉をひらがなブロックで作ります。
決められた時間内でいくつ言葉を作ることができるか、チームで競います。
ひらがな1文字ずつ1個のブロックになるよう、デザインするのが大変だったそうです。

「ネタのタネ」は、配られたカードのテーマについて一人ずつ話をしていきます。
職員や利用者同士のコミュニケーションの活性化を図るために、お互いを知る機会の創出です。
カードの裏面には様々な花の絵が描かれているのですが、これは「話に花が咲いてよかったね」という工夫になっていました。

「おとあて」は、カプセルの中に色々なものが入っていて、それぞれ振ると違う音がします。
何が入っているか中身を当てるクイズと、同じ音がするものを当てる神経衰弱の2通りの遊び方を提案。
優しい色合いのカプセルですが、音の神経衰弱はなかなか難しそう。
実際に使ってみたところ、難しそうだから間違っても「やっぱり間違えちゃった」と笑えるし、当てたら「凄い!」と自信につながるし、よいレクリエーションになっているそうです。

学生さんの説明から、誰かのために役立つ視点を養い、利用者が楽しく訓練に取り組めるよう様々な工夫(デザイン)がされていることがわかります。

簡単そうにみえますが、実はひとつひとつがとても頭を使い、感情を豊かにする訓練になっています。
デイサービスのイメージが変わりました。

*デイサービス(通所介護):利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、また、利用者の社会的孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施。通所介護の施設に通い、利用者が有する能力に応じ生活機能の維持又は向上を目指し、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練等の利用者に応じた必要なサービスを通所介護施設の利用時間内において提供。
(厚生労働省:https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html

身に付けたくなる装具と義足

お洒落な装具や義足・義足カバーが陳列されていました。
下肢が不自由な方は、麻痺などで動かせない方、足を失われてしまった方など様々です。
下肢を隠すのではなく、装具や義足もファッションとして魅せるものにしていこうという取り組みに、研究室ではデザインを提案しています。
こちらも、これまでデザインの対象とされてこなかった社会課題への取り組みになります。

排泄検知センサを「和」でデザイン

実際に医療現場で使用されている排泄検知センサー ヘルプパッドのデザインを研究室で担当。
このヘルプパッドは、においで尿と便を検知することができ、おむつ交換のタイミングを知らせることができる、介護される側、する側双方にとってメリットがあります。

現場からのニーズで、「和」テイストのデザインに。

展示されていたパッドは、「帯」のイメージでデザインされています。
ピンクの花をモチーフにした優しいデザインからは、言われるまで排泄検知センサとは気づきませんでした。

RanRunには、ホンモノに学ぶというコンセプトがあります。
大学での学びが社会にどう役立つのかを知り、社会課題解決に向けて考える。
佐藤研究室の学びと取り組みは、まさにそれを実践していました。

取材 RanRun編集部

関連記事

https://ranrun.jp/people/prosthetic-leg-art-fashion/

ranrun@ranrun

Recent Posts