岩手山信仰と「女人結界」の歴史を今に伝える 網張薬師社で9月5日に例祭
かつて、女性はここから先へ進むことができなかった――。
日本百名山のひとつ、岩手山。
その南麓にある網張薬師社は、霊泉の守護とともに、岩手山信仰における「女人結界点」として祀られてきた歴史を持つお社です。
岩手県雫石町の休暇村岩手網張温泉では2026年9月5日(土)、網張温泉の守り神に感謝し、人々の発展と健康を祈る「網張薬師社 例祭」が執り行われます。
当日は式典に加え、大沢さんさ踊り保存会による演舞奉納や紅白餅をまく「散餅の儀」なども予定されています。
源頼朝の時代にさかのぼる岩手山信仰
網張薬師社の歴史は、鎌倉時代までさかのぼります。
1189年、源頼朝が奥州平泉攻略のため北上した際、岩手山の山頂に観世音、阿弥陀如来、薬師如来の3体を奉ったことから始まる岩手山の山岳信仰。
その流れをくむお社が、網張薬師社です。
特に霊泉「網張元湯」の守護と、岩手山信仰における女人結界点として祀られてきたと伝えられています。
近世には盛岡藩の「領内総鎮守」として南部氏の崇敬を受け、祭礼が行われていました。
現在の薬師社は1984年に再建されたものですが、ご本尊は、明治時代にこの地が湯治場として開かれた頃から建物とともに引き継がれてきたものといわれています。

「女人結界」が伝える山岳信仰の歴史
日本では古くから、山そのものを神聖な場所と捉える山岳信仰が各地に存在してきました。
その歴史の中では、一定の場所から女性が山へ入ることを禁じる「女人禁制」や、その境界となる「女人結界」が設けられた地域もありました。
網張薬師社も、そうした岩手山信仰の歴史を今に伝える場所のひとつです。
時代が変わり、人と山との関わり方も変化しました。
それでも、かつてそこにどのような信仰や暮らしがあったのかを伝える場所が残されていることは、地域の文化を知る手がかりになります。

さんさ踊りの奉納や紅白餅まきも
2026年度の例祭は9月5日(土)午前9時から開催。
今年は「大沢さんさ踊り保存会」による演舞奉納が行われるほか、午前11時からは厄を祓う紅白餅の「散餅の儀」が予定されています。
また、日帰り温泉館「薬師の湯」の入浴料が当日は半額となり、大人700円が350円、小学生350円が150円に。
「天空のリフト」も大人半額、小学生以下無料となるほか、焼き鳥や焼きそばなどを販売する屋台も登場予定です。
長い年月を経て受け継がれてきた信仰の場所が、現在では地域の文化に触れ、人々が集う場所にもなっています。
温泉を楽しむだけではなく、その土地が歩んできた歴史を少し知ってから訪ねてみる。
いつもの旅とは少し違った風景が見えてくるかもしれません。



2026年度 網張薬師社例祭

日時:2026年9月5日(土)
9:00~ 例祭式典
11:00~ 散餅の儀(紅白餅まき)
会場:網張薬師社、温泉館「薬師の湯」ほか
主な催し
- 「大沢さんさ踊り保存会」による演舞奉納
- 紅白餅まき
- 「薬師の湯」日帰り入浴料半額
- 「天空のリフト」大人半額・小学生以下無料
- 軽食屋台
- 日帰り入浴回数券の特別販売
休暇村岩手網張温泉

岩手山のふもと、十和田八幡平国立公園内に位置する「休暇村岩手網張温泉」。
約1,300年の歴史を持つとされる硫黄泉のほか、岩手山や網張の森をフィールドに、登山、ハイキング、キャンプ、スキーなど四季を通じたアウトドアを楽しむことができます。
所在地:岩手県岩手郡雫石町長山小松倉14-3
公式サイト:https://www.qkamura.or.jp/iwate/


