日本の少子高齢化という課題に向き合い、情報サービス事業を展開する「アクトインディ株式会社」代表取締役社長 下元敬道氏インタビューの後編は、経営者としての意識、リーダーシップ、企業の魅力について伺いました。
社員から経営者になり、意識の面で変わったこと
もともと経営者になろうと思っていたので、新卒で就職した時点から「自分がこの会社の社長だったらどうするか」とか、「自分がチームリーダーだったら、課長だったらどうするか」という意識をもって仕事をしてきたつもりでいました。
でも、実際に自分で経営をしてみると、想像とはこんなにも違うのかと様々な面で感じました。
現在の事業に至るまでの失敗や、理想と現実のギャップは?
やってみなければ、わからない
事業自体は、やってみなければわからないと思っていました。
アクトインディの社名にもアクト(Act / 行動を起こす・実行する)と入れているのですが、「やってみること」はとても大事だと思っています。
「いこーよ」に辿り着くまでに2つの子育て関連事業で失敗していますが、それはある意味想定内。
やってみないと、何故うまくいかなかったのかを学ぶことができません。
「いこーよ」を最初からやっていたら、多分失敗していたと思います。
二度の失敗から学んだ反省を活かせていると思います。

スタートは葬儀事業
自分の生きている意味は何なのか
最初に事業をやるうえで、「一過性の価値ではなく10年・20年と続く本質的で永続的な価値を生む」ことをしたいと思い、『葬儀サポートセンター』を作りました。
「残るものは何か」を考えた時に、栄枯盛衰のなかで行きついたのが、人が亡くなるというタイミングです。
「自分の生きている意味は何なのか」
死と向き合った時に、「生」が輝く。
生死の問題はすごく難しく深いですが、「葬儀」や人の「死」というものが、自分の中で普遍的な価値を残していくのによいテーマだと感じました。
インターネットが普及しビジネスがどんどん生まれる時代になっても、葬儀に関するインターネットを使ったビジネスや問題解決というものは誰もやっていなかったので、「これはいける」とその分野に参入したのがスタートになります。

葬儀をやっていて思ったのは、「死」が穢れだと思われているということ。
祖父母が亡くなった時に、親は子供たちに死に顔を見せないようにする。
棺の中に入っている姿をちょっと見て「寝ているみたいだね」と言いながら、子供達を遠ざけるようにしています。
僕は「死」を見せるべきだと思うし、(亡くなった人は)触れると冷たいことを感じさせた方がいいと思っています。
死ぬということがどういうことか、命には限りがあるということを小さい時から教えていくべきだと思うのですが、どんどん子供達が教えてもらえない社会になっているように感じています。
「上の世代への感謝を次世代に引き継ぎ、恩返しする」ということもやりたいと思い、葬儀やお墓のサービスをやりながら、出産とか子育てのサービスも同時に立ち上げました。、
「アクトインディ株式会社」の魅力
会社の文化に合った人の集まり
アクトインディの社名は「act(行動する)」と「independence(独立)」と「individuality(個性)」の3語から取っています。
社長が命令したことを部下がやるというのが一般的な組織図に思われますが、アクトインディは「社員ひとりひとりが個性をもって、独立した立場でアクトする」という会社です。
多くの社員がそれを実践しているところが魅力だと思います。
例えば「いこーよ」の新企画をやるとして、誰かに指示されたから仕方なくやるのではなく、「本当に自分がやりたいことを仕事としてやる中で、判断をして実行しています」と言える社員たちがいる会社です。
社員各人が、お互い個性や得意分野を尊重しあい、「あなたのおかげで自分の個性や特性がより活かされる」という感謝の想いを大事にしています。
こうした「おたがいさま」の企業文化が社員に浸透してきていて、「会社の文化に合った人達が集まっている」のが弊社のいいところだと思います。
リーダーとして心がけていること
なるべく口を出さない
「もっとこうしたら、ああしたら」と言いたくなりますが、言ってしまったら、謙虚な社員は自分なんかより社長の方が正しいという先入観ができてしまいます。
「失敗の経験は大事なこと。経験をしておかないと、どこかでもっと大きな失敗につながるような気がする」ので、「口を出したくても出さないようにすることが、今一番心がけていること」です。

今後のアクトインディについて考えていること
ワクワクするものを作る
会社のオフィシャルサイトに「未来図」というのがあります。
未来図を更新しようというプロジェクトが立ち上がり、参加したい人が15人くらい手を挙げました。
最終的な判断基準として決めたことは、「ワクワクするかどうか」ということ。
無限に可能性がありますが、弊社としては「ワクワクするものを作っていく未来」が共通見解であり、一過性の流行を作っても消えてしまうので、「将来的に邪魔になるものを作ってもワクワクしないよね」というふうに議論が進んでいます。
未来図はいつから?
どんな未来にしようか
オフィシャルサイトを作る時に他社のサイトを参照していて、「沿革」というのはあるけれど「なんで未来を語らないのだろう」と思い、それで未来図を作りました。
どんどん年数を更新していて、その都度、「どんな未来にしようか」と面白楽しくなるように未来図を掲げてきました。
根底に流れているのは「今の教育がこのままでいいのか」ということ。
大人が決めた道の上を歩いていくのではなくて、「子供達がもっと個性を発揮するためにはどうすればいいか」を考えている人が多いです。
(今の未来図には)2030年に「学校法人設立から10年、新しい教育が世に広まり始める」と書いてあり、「2020年に学校法人設立するのですか?」と周りから訊かれて、「そうみたいですね」って笑っています。
「アクトインディが作った新しいコンセプトの図書館が世界の子供達に人気」とあれば、「どんな図書館を作るか」を考える方向付けをしたりして、面白おかしく書きながら社員達も愉しんでいるようです。
これから社会人になる(女子)学生へのメッセージ
自分の価値観を持つ
アクトインディは、「従業員とその家族、取引先、お客様、その他かかわりを持つ心のある人々に幸せを提供できる会社であること」をミッションとして掲げています。
今の世の中、「成功」「勝ち組」といった単語で定義が作られていて、その定義にみんな惑わされていると感じています。
女性の場合、例えば「将来、結婚して子供を持ちたい」と思っている人がそれを実現したら素晴らしいことです。
逆に、ビジネスの世界で男性に負けないくらいバリバリやっていて、「今のところ結婚には興味ないです」という女性ももちろんいます。
周りから何か言われたとしてもそれは周りの価値観なので、それに惑わされるのではなく、「自分の価値観」を持って、「自分の幸せ」や「未来」を描いていって欲しいです。
誰に何を言われようと、「自分がどういう信念・価値観を持ち、何を大事に生きていくか」ということを大事にして欲しいですね。

下元 敬道(しももと たかみち)41歳
1976年12月、高知県生まれ。 青山学院大学経営学部卒業。商社、ネット広告企業を経て2003年に26歳で独立し、アクトインディ株式会社を設立。 独立の思いは「ネットを使って世の中に価値を発信し、課題解決をしたい」。
当時、情報不足が問題となっていた葬儀業界の課題を解決したいと考え、ネットを活用して優良な葬儀社を紹介するサービスを日本に定着させた。この事業を経験して「情報の活性化が、業界と利用者双方から喜ばれる」ことを確信。その思いを持って子育て層・子ども向けサービスに着手し、2008年に「子どもとお出かけ情報サイト『いこーよ』」をスタート。現在、「いこーよ」は子育て層の8割が利用するサービスに成長している。
「ワクワクすること」や「普遍的な価値」を大切にした取り組み、また社員ひとりひとりの個性を活かす社風など、一般的な就職活動では伺うことのできない会社の内側を知ることができました。
とても楽しく、大きな気づきを与えていただいた素敵な時間をありがとうございました。
取材 RanRun学生スタッフ 原慧理加(東京女子大学)

【会社概要】
社名:アクトインディ株式会社
所在地:東京都品川区西五反田1-27-2 ヒューリック五反田ビル8階
代表取締役:下元敬道 (しももと たかみち)
設立:2003年6月
社員数:90名(時短社員等を含む。2018年8月3日現在)
主な事業:子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」(https://iko-yo.net)の企画運営、子どもが参加する体験イベントの企画運営
URL:https://actindi.net
子会社・関連法人:せいざん株式会社(シニア向け事業)、一般社団法人次世代価値コンソーシアム
受賞歴:
・「東京都オープンデータアプリコンテスト」東京都知事賞(主催:東京都)2018年
・「第11回 キッズデザイン賞」キッズデザイン協議会会長賞(主催:キッズデザイン協議会、後援:経済産業省、消費者庁、内閣府)2017年
・「Ruby bizグランプリ2017」(主催:Ruby biz グランプリ実行委員会/島根県)2017年
・「第4回グッドライフアワード」実行委員会特別賞(環境省)2016年

【子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」の概要】(https://iko-yo.net)
「いこーよ」は、家族でお出かけする場所を見つける情報サイト・アプリ。
お出かけ情報の他にも、子育て情報、家庭生活に役立つトピックス等随時発信し、子育て世代に不可欠なサービスとして利用されている。
ユーザー同志の「口コミ」欄もあり、子育て層に役立つリアルなお出かけ情報が満載。
アプリ版はGPS地図と連動し、目的地や現在地の周辺の施設やイベント情報が瞬時に見つけられる。
■年間利用者数(UB) :約5,600万人 (2018年8月現在)
■掲載スポット数 :約65,800件 (2018年8月現在)
■ゼロ歳から9歳の子どものいる「子育て世代」の利用率:約8割※
※分母:平成22年国勢調査の0-9歳の親:1,335万人、分子:SP年間UB(約2,900万)から端末の買い替えによる重複及びターゲット外流入を排除した数字(UBの40%) 計算式:2,900万UB×40%÷1,335万人≒87%
■サービス開始:2008年12月
