• 火. 3月 10th, 2026

「仕事はひとりではできません。周りとのチームワークを意識しています」
酒類・食品卸売業の伊藤忠食品株式会社(以下、伊藤忠食品)のリテール本部で、企画立案や営業を担当する栗栖さんは、「えらべるおむつギフトカード」の商品開発を手掛け、次の展開に向け準備を進めています。

3月8日は「国際女性デー」。
社会で活躍する女性にスポットを当てる本企画では、消費者の視点で商品開発を進める栗栖さんに、商品開発のこと、働き方のコツ、学生へのメッセージなどをお聞きしました。

食品卸売企業のギフト事業

伊藤忠食品は酒類・食品の卸売業として、全国の小売さんやメーカーさんとのネットワークを活かしながら、消費者の課題解決に取り組んでいます。
インターネットでものごとが動く時代、会社としても従来の事業に加え、新たな柱となる取り組みとしてお取り寄せグルメや体験型サービスなどの分野で、取引先や消費者の新たなニーズに応えるデジタル型ギフトカードを展開してきました。

栗栖さんは、2014年に中途採用でIT系企業から伊藤忠食品に入社した転職組。
配属当初は食品のEC事業(インターネットを通じて商品を販売する)の運営に携わってきました。
EC事業は、伊藤忠食品の量販店や通販事業者などへの従来の営業とは、営業の形態が異なります。

栗栖さんは、企画を立てるにあたり、口コミなどを見ながらどういう商品が求められているのかを常にチェックし、レビューはすべて目を通していると言います。
EC事業部で培った消費者への向き合い方、積んだ知見を基盤に、現在はギフトカード事業でデジタル型ギフトカードの商品開発に取り組んでいます。

栗栖早都子さん

なぜ、おむつ?!商品開発の魅力

ギフトカードは法人向けギフトがメインだったそうですが、デジタル型ギフトカードでそのあり方も変わってきました。
では、なぜおむつギフトカードを開発することになったのでしょう。
栗栖さんの話には、「消費者」というワードが何度も出てきます。

ある自治体から「デジタルギフトの仕組みを活用した子育て支援ができないか」という相談を受けた栗栖さん。
消費者視点に立って、華やかなギフトでなくても、本当にもらって助かるものを必要な時に確実にお届けしたい。
自治体との議論を重ねるなかでたどり着いたのが「おむつ」でした。

出産祝いや子育て支援として、デジタルの仕組みをつかって「おむつ」を届ける方法を模索します。
家庭ごとに「おむつ」に対するニーズが異なるため、メーカーやサイズを選べる仕組みを作りたいという発想から生まれた「えらべるおむつギフトカード」のアイデア。

しかし、食品の卸売業が「おむつ」を取り扱うには、それなりの苦労がありました。
それまで日用品メーカーとのつながりが少なく、仕入れ先の開拓は大変だったそうです。
展示会巡り、取引先との新たな交渉など自分で足を運び、自分たちの熱意や実績を伝え、「後悔させません」とアピールしました。
卸売業として培ってきたメーカーさんとの連携、物流の強み、そこにデジタル型の利便性が掛け合わさり、「おむつ」のデジタルギフトカードの仕組みができました。

ところが、ゴール目前で当の自治体との企画が見送りに。
栗栖さんは、それまでの経過で得た知見やアイデアの社会的価値の大きさには自信がありました。
独自に商品化することに舵を切り誕生したのが、「えらべるおむつギフトカード」です。

多くの人に使ってもらえる商品に育てる

ギフトとして使ってもらえる価格帯設定には、社内で議論を重ねました。
友達や職場の仲間が出産祝いとして使ってもらうには、高すぎても安すぎてもだめ。
社内で議論を重ねて決まったのが、「5,000円」と「10,000円」の2パターンで展開することでした。
功を奏し、おむつギフトカードは概ね好調で、新たな顧客獲得に向け、「20,000円」のラインナップが加わります。

今後の課題は、より多くの人に「えらべるおむつギフトカード」を知ってもらうこと。
「使ってもらうには、まず知ってもらわなければならない」と、栗栖さんは、マーケティングにも余念がありません。
今後、売り上げがもっと伸びたら、広告を打つことも視野に入れており、そのために価格帯の拡大やパッケージの工夫といった改良を進めていくそうです。

栗栖さんに話を伺っていると、仕事に対する大きな熱量が伝わってきました。
そこで、「働く」ということに質問の方向を振ってみました。

伊藤忠食品はどんな職場?

中途採用とのことでしたが、転職のきっかけはなんだったのでしょう。

栗栖さんは前職でECに携わっていた頃、現在の会社とは取引先として関わっていました。
メーカーと小売の間で商流全体を理解し、消費者価値を起点に商品を動かしていく卸売業の姿勢に魅力を感じ、転職を決めました。
現在はその中に身を置き、ギフトカードという新しい切り口で流通全体に価値を還元できる仕組みをつくることに挑戦しています。

中途入社ってどんな感じなのか気になるところ。
栗栖さんは、社風の違いにギャップを感じたと言います。
前職は若い社員が多くスピード感が求められたのに対し、伊藤忠食品は社員の年齢層の幅が広く、なにごとにも慎重に取り組む姿勢が求められます。
あたたかい雰囲気と周囲の面倒見の良さに救われ、とてもありがたかったと振り返りました。

「仕事は一人ではできません。チームワークを大切にしています」
社内での議論、取引先との交渉など、仕事をするうえでコミュニケーションは重要です。
周りとのチームワークを円滑にするために、「フラットに話すことを心がけている」と教えてくれました。
先入観を持たず、上下関係を大切にしながらも、「人」として丁寧に真っ直ぐ向き合うという姿勢を栗栖さんから学びました。

今後の目標を教えてください

ギフトカードを「贈る」だけのものではなく、消費者が新しい商品や体験と出会う入口に育てていきたいと考えています。
ギフトカードをきっかけに、普段は選ばないブランドに触れたり、新しい購買行動が生まれたり、体験価値が広がっていく。
そんな価値の循環を生み出すプラットフォームにしていきたいと思っています。
メーカー・小売・サービスをつなぐ卸売業の立場から、そのための仕組みをつくっていくことが目標です。
商流全体を理解できる卸売業というポジションだからこそ、ギフトカードを起点に新しい価値を生み出せると感じています。

学生へのメッセージ      

「目の前のことをがむしゃらに、ひとつのことを全力で!」
いろいろとやりたいことはあると思いますが、まずは目の前の仕事にしっかり取り組むこと。
私自身、えらべるおむつギフトカードを作りたくてこの会社に入ったわけではありませんが、目の前の仕事に全力で取り組むなかで、たどり着きました。
全力でやっていくうちに、新しいアイデアや自分なりの発見が必ずあります。
それがゆくゆく社会貢献につながったら、とてもいいことですね。

真っ直ぐに、今できることを全力で行う。
そう語る栗栖さんはとてもカッコよく、社会で活躍する女性像を描くことができました。
人との繋がりをなおざりにしないことが、「働き方のコツ」であることも学ばせていただきました。

取材 学生スタッフ 倉谷 碧衣(昭和女子大学 3年

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