55歳からのキャリア自律を考える
義務と自律的学習のバランス、転職意向、学習環境が与える影響を探る

技術革新や働き方の変化により、「学び直し」「リスキリング」がビジネスパーソンにとって欠かせないテーマになっています。
技術革新の急速な進展や労働市場構造の大幅な変化により、従来のスキルだけでは業務遂行が困難となるケースが増加しており、ダイナミックなスキル再構築が求められる機会も多くなっています。

企業活力研究所は、大企業従業員を対象に「個人学習」の実態を二段階で調査。
特に今回は、月6時間以上学ぶ“学習者” に焦点を当て、その学習内容、動機、周囲の学習環境、企業制度の影響などを詳しく分析しました。

「誰が・何を・なぜ学んでいるのか」を知ることは、これからのキャリア設計に直結する重要なヒントとなります。

【 I:調査結果のポイントと評価 】

① そもそも従業員の学習時間はどれくらいか?(一次調査)

大企業(従業員300名以上で「学び直し」施策を実施している企業の従業員800名を対象に実施。
その結果、週0〜1時間が最大ピーク(43.8%) で、学習時間の多い層は決して多数派ではありません。
ただし、週5時間・週10時間といった“中・小ピーク”も存在し、一定数は積極的に時間を投じていることが明らかになりました。年代差は小さく、どの年代でも同じような分布が見られます。

② 月6時間以上学ぶ「学習者」とは?(二次調査)

一次調査の結果に着目し、週に1時間を超える学習量の人について、追加調査を行うという観点から、月に6時間以上の個人学習を行っている人を「学習者」と定義。
学習内容や環境、企業側の対策などについて、追加の調査を実施しました。

総学習時間によって以下の4タイプに分類されました:
非学習者:0〜5時間
短時間学習者:6〜15時間
長時間学習者:16〜30時間
特別長時間学習者:31時間以上
ここでは、特に学習量の多い層の行動特徴 が浮かび上がっています。

③ 学習時間は“忙しさ”と関係がない?

意外な結果として、超過勤務時間の多さと学習時間の多さに直接的な関連は見られませんでした。
30時間以上残業していても、月30時間以上学ぶ人が一定数存在します。

④ 総学習時間の約6割が“自律的学習”

義務的学習と自律的学習の比率を見ると、どの層も自律的学習が約60% と同程度。
学習時間が多い人ほど“自主的な学びを積み増す”傾向がある点は、注目すべきポイントです。

⑤ 転職意向が学習量に影響?

学習者のうち約 17% が1年以内の転職を検討中
特に月31時間以上学ぶ“特別長時間学習者”では、転職検討者の約26% がこの層に該当します。
転職の可能性が、学習のモチベーションになっているケースがあると推察されます。

⑥ 学習内容の多くは「業務スキル向上」

自律的学習の内容を分類すると、最も多かったのは:業務スキル向上のための学習(A)

短時間でも特別長時間でも、この傾向は変わりません。
一方で、注目すべき点として、デジタル技術の学習は“まったく行わない”人が約3割。
デジタルスキルの重要性が高まる中、この数字は企業・個人にとって今後の課題と言えます。

⑦ 周囲の「学ぶ人」が学習時間を押し上げる

学習者の6割以上が「周囲に学習者がいる」と回答。
さらに、学習時間が長いほど、

  • 上司自身が学習している
  • 共に学ぶ仲間がいる

という割合が高く、学習する文化や環境が強い影響を持つ ことが示唆されます。

⑧ 年代によって有効な制度が異なる

年代別に見ると、学習促進に効果があると感じた企業制度は:

  • 20代:キャリアカウンセリング制度
  • 40代:週休3日制度

さて、GREAT世代(50代以上)の「これからの学び」をどう考える?

今回の調査から、学習量を左右する要因として、みえてきたもの。

  • 個人の自律性
  • 周囲の学習文化
  • キャリア意識(転職含む)
  • 年代ごとの制度の受け止め方

55歳からのアップデートライフにおいても、

  • 共に学ぶ仲間をつくる“環境づくり”
  • “自律的な学びの継続”

が成果を生むポイントになりそうです。

<調査方法>

一次調査
<調査期間>  2023年8月
<調査機関>  一般財団法人企業活力研究所
<調査対象>
・従業員数300名以上の企業であって、その従業員の「学び直し」を促進する対策を実施している企業に勤務する男女としました。
・正社員と契約社員を対象とし、役員、派遣社員、公務員は対象外としました。
・管理、事務、販売、技術、生産に関わる一般職員(係長クラス以上でない者)は対象外としました。4<有効回答数> 800名
<調査方法> インターネット調査

二次調査
<調査期間> 2025年1月
<調査機関> 般財団法人企業活力研究所
<調査対象>
・従業員数300名以上の企業に勤務する、20代以上の男女としました。
・正社員と契約社員を対象とし、役員、派遣社員、公務員は対象外としました。
・管理、事務、販売、技術、生産に関わる一般職員(係長クラス以上でない者)、および研究職に関わる職員は対象外としました。
<有効回答数> 1,367名
<調査方法> インターネット調査

(注)一次調査では、「学習」につき、明確な定義を設けませんでした。
二次調査では、「学習」につき、定義を『中長期的に自身の業務遂行に必要となると考えられる内容についてのもの。ただし、当面の業務遂行のために必要な内容は含まれない。』としました。

【企業活力研究所について】
1984年設立。2013年に一般財団法人に移行。我が国経済の着実な発展とゆとりある社会の実現に向けて、産官学の多様なネットワーク形成の支援を行うとともに、経済・社会上の諸問題や企業活動をめぐる政策のあり方について幅広く調査研究・提言活動を実施しています。
○ 研究所ホームページ: https://www.bpfj.jp/


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