クーリエ・ジャポンが発表した「世界が注目した日本人100人」2025年版は、海外メディアが日本人の活動をどのような観点で評価しているのかを示す資料でもあります。
本記事では、社会・アカデミアを中心に、国際報道の評価軸を整理しました。
「世界が注目した日本人100人」とは
クーリエ・ジャポンは、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、ル・モンドなど、世界の主要メディアと提携し、海外報道を日本語で紹介するメディアです。
同メディアは2025年、「社会に影響を与えた」という視点から、「政治・経済」、「社会・報道」、「ビジネス」、「スポーツ」、「作家」、「漫画・アニメ」、「芸能」、「アカデミア」、「映画・音楽」、「クリエイター」、「飲食」、「SNS」という12のカテゴリーに分け、世界各国のメディアで注目された日本人を合計100人選出しました。
2025年、日本では史上初めて女性首相が誕生し、研究者2人がノーベル賞を同時受賞するなど、多くの日本人が世界のメディアに取り上げられました。
「世界が注目した日本人100人」は、国際社会が日本人に期待する役割や価値観を映し出しています。
それは、専門性、社会的責任、そして他者との対話を重視する姿勢であり、今後の日本人の国際的プレゼンスを考えるうえで示唆に富む内容と言えるでしょう。
社会的記憶と国際報道
【社会・報道部門】で選出された近藤紘子(こんどう こうこ)氏は、被爆者としての個人史と、核兵器廃絶運動を結びつけて紹介されています。
広島に原爆が投下されてから80年を迎えた2025年。
スペイン紙「エル・パイス」は、生後8ヵ月で被爆した近藤氏にスポットライトを当て、彼女の半生を綴っています。
同紙が「愛情深く、感情表現が豊かでおしゃべりな人物」と描写する近藤氏は、キリスト教牧師だった父の谷本清氏から託された「平和のために戦い、私たちの歴史が失われないようにしなければならない」という使命を受けて、数十年にわたり国内外で核兵器の廃絶と完全撤廃を訴えてきました。
平和のために語り継ぐ人を評価する国際報道のスタンスがみえます。
アカデミアにおける評価の視点
【アカデミア部門】では、産業技術総合研究所・深津武馬主席研究員らによる研究が取り上げられました。
ほとんど知られていない昆虫の世界の、想像もできない「隠れた宝物」のような発見があったと仏紙「ル・モンド」は伝えました。
深津氏らはカメムシの一種ノコギリカメムシのメスが、拾った「菌」を脚に付けて育て、産卵後、卵に菌をすりつけて菌糸を纏わせることで寄生蜂から守っていることを発見しました。
このノコギリカメムシのメスの成虫の後脚の特徴的な部位は、これまで耳だと思われていました。
この評価は、既存の認識を更新する基礎研究に対する国際的関心を示しています。
文化・SNS分野に共通する評価基準
【漫画・アニメ部門】浦沢直樹氏(漫画家)は、フランスのアミアン漫画祭の主催者が、仏ラジオ局「ラジオフランス」の取材に、「私たちが招待状を送ったとき、彼は世界中から70もの招待を受けていた。交渉には丸3年かかった」と伝えたと紹介されています。
【映画・音楽部門】藤井風氏(シンガーソングライター)は、米「ロサンゼルス・タイムズ」紙が、独自の音楽スタイルで国際的に注目を集めているとして取り上げ、アニメや日本の他の文化的な輸出物とは無関係で、音楽の多様性や複数の楽器を演奏する能力、世代を超えた歌詞が支持されていると高く評価しています。
【SNS部門】Yuji Beleza(ポリグロット・インフルエンサー)は、40か国語を操るインフルエンサーで、街頭で通行人に出身地を尋ね、その国や地域で話されている言語に即座に切り替えて会話する動画を投稿しています。話者の少ない言語にも対応できる点が特徴で、動画内では最初は戸惑っていた通行人が、母語で話しかけられたことをきっかけに表情を和らげ、次第に心を開いていく様子が見られます。
3人に共通するのは、特定のジャンルに閉じない普遍性。海外
メディアは、日本文化そのものではなく、「どのように世界と繋がっているか」という点を重視して報じています。
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