言葉は世に連れ変わっていくものですが…
長年日本に住んでいるアメリカ人の知人が、最近アメリカに帰ると、それをとても感じるそうです。
例えば「I’m good. 」という表現。
レストランで、お水やコーヒーのおかわり、その他「○○は必要ですか?」と聞かれ断りたい時に、「No thank you」ではなく、最近は、「I’m good.」というアメリカ人がとても多くなり驚いたと言っていました。
「いいえ、結構です」とはっきり言わず、「I’m good.」。
意味は「私はいいです。大丈夫です」といったニュアンスでしょうか。
日本でも、何か聞かれた際に、「はい」でも「いいえ」でもなく、「あっ、大丈夫です」と答える若者がとても多いですね。
意味は、やんわりと断っている…でいいのでしょうか?
英語でも日本語でも、はっきり言わず、何となく、やんわりと…といった断りの表現が多くの人に使われるようになっているのは、何か面白いと思いました。
ちなみに、話は逸れますが、ビジネスの場面では「大丈夫」は使わない方が良い表現とされています。
理由はYesなのかNoなのかはっきりしないからです。
特に、上司等、目上の方には、このような若者言葉を嫌う方が多いです。
「大丈夫です」ではなく、「はい、お願いします」「はい、問題ございません」「いいえ、結構です」「いいえ、必要ありません」等と、状況に合わせた具体的な言い方をした方が良いでしょう。
マナー講座では3回に渡って、「普段から習慣化し、いざという時にも自然にできるようにしておきたいビジネスマナー」を取り上げます。
今回は「ハキハキとした話し方のポイント」です。
普段からハキハキと明瞭に話すことを意識していないと、面接の時だけはっきりと話そうとしても、余計硬くなって、口が回りませんね。
ポイントをお話ししますので、繰り返し練習しましょう。
同じ内容でも、ハキハキと話すことで、内容がずっと伝わりやすくなり、印象も良くなります
●話す時に口を動かすことを意識していますか?
特に最近気になるのは、口を動かさずに話す人が多いことです。
口を動かさないで話すと、モゴモゴとこもった音になり、言葉がはっきりせず、聞き取りにくい話し方になってしまいます。
何を言っているのか分からないのでは、いくら内容が良くても伝わりませんね。
もうひとつ気になるのは、口を横に開いたまま話す人。
ベタベタとした話し方になり、幼い印象を与えます。
企業からすると、「この人に大切なお客様への対応を任せられるだろうか?」と心配になってしまいます。
ですから、口をはっきりと動かして話すことが大事ですが、その時に「口の形」を意識してみてください。
例えば、「い」の口の形で「あ」の音を出してみてください。
違う音になってしまいますね。
つまり、はっきりと話すためには、正しい口の形を意識することが大切なのです。
日本語には、下に記載した「あいうえお」の5つの口の形があると思ってください。
「か」は「あ」の口の形、「き」は「い」の口の形、「く」は「う」の口の形と同じです。
以下も同様です。
では、動画を見て、どんな風にしたらいいのか確認しましょう。
いかがでしたか?
●発声練習シート!!!
正しい口の形が分かったら、声を出して練習しましょう。
ここに挙げたのは、声優やアナウンサー等、話すことが職業の人達がよく使う発声、発音の練習シートです。
鏡を見ながら、口の形を意識して、ひとつひとつ口をしっかり動かして大きな声で練習しましょう。
あ え い う え お あ お | か け き く け こ か こ |
さ せ し す せ そ さ そ | た て ち つ て と た と |
な ね に ぬ ね の な の | は へ ひ ふ へ ほ は ほ |
ま め み む め も ま も | や え い ゆ え よ や よ |
ら れ り る れ ろ ら ろ | わ え い う え を わ を |
が げ ぎ ぐ げ ご が ご | ざ ぜ じ ず ぜ ぞ ざ ぞ |
だ で ぢ づ で ど だ ど | ば べ び ぶ べ ぼ ば ぼ |
ぱ ぺ ぴ ぷ ぺ ぽ ぱ ぽ |
キャ キェ キィ キュ キェ キョ キャ キョ | ギャ ギェ ギィ ギュ ギェ ギョ ギャギョ |
シャ シェ シィ シュ シェ ショ シャ ショ | ジャ ジェ ジィ ジュ ジェ ジョ ジャ ジョ |
ニャ ニェ ニィ ニュ ニェ ニョ ニャ ニョ | ヒャ ヒェ ヒィ ヒュ ヒェ ヒョ ヒャ ヒョ |
ビャ ビェ ビィ ビュ ビェ ビョ ビャ ビョ | ピャ ピェ ピィ ピュ ピェ ピョ ピャ ピョ |
ミャ ミェ ミィ ミュ ミェ ミョ ミャ ミョ | リャ リェ リィ リュ リェ リョ リャ リョ |
●繰り返すことでだんだん上手くできるようになります。
ここまで読み進め、「そうなんだ!」と理解できても、1度や2度練習しただけでは、残念ながらあまり効果はありません。
短い時間でもいいので、繰り返し練習することが大事です。
始めはしっかりと口を動かしながらゆっくりと、慣れてきたら早口で練習すると良いでしょう。
話すことのプロであれば、長年仕事をしていても、この基礎練習を続けています。
止めてしまえば、すぐ滑舌が悪くなるからです。
そうスポーツと同じですね。
スポーツ女子の皆さんでしたら、繰り返し練習をすることの大切さはよく理解できると思います。
話すことのプロになるのでなくても、面接等の前にこのトレーニングを行っておくと、口がよく動き、また気持ちを落ち着かせる効果もあると思いますよ。
さて次回からのマナー講座は、知っているとちょっと差が付くビジネスマナーをお話しします。
次回は「カバンの扱い方① 会議室に通された時」です。
就活中も、社会人になってからも、知っていると役立つビジネスマナーです。
動画出演者紹介
日本女子体育大学:稲毛優衣さん
<講師紹介>
原 律子
フリーアナウンサー/日本女子大学文学部国文学科卒
学生時代は、山登りに熱中したスポーツ女子
テレビ、ラジオの局アナ、シンガポール日本語放送局DJを経て、
現在、企業研修講師、イベントMCなど
♪モチベーションを上げる曲は、ルイ・アームストロング/ What a wonderful world
(2016年9月掲載記事をリライトしています)