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仕事もレスリングもしたかった! 歌田圭純選手

「レスリングを活かせる仕事をしたいと思って消防士になりました」
社会人アスリートインタビュー第13回は、2015年全日本レスリング選手権女子69㎏級2位、埼玉西部消防局に勤務する消防士の歌田圭純(うただ・かすみ)選手に、レスリングのこと、消防の仕事、ライフスタイル、今後の目標などを聞いた。

 

(左)歌田圭純選手 (中)土性沙羅選手 (右)森川美和選手

(左)歌田圭純選手 (中)土性沙羅選手 (右)森川美和選手

 

レスリングとの出会い

「物心ついた時には、レスリングをやっていました」という歌田選手は、3歳からちびっこレスリングクラブに通っていた。ヨット競技の経験を持つ父が、将来ヨットをやるための基礎体力をつけようとレスリングを選んだそうだ。子供の時は「技のことなどはわからないので、どちらかというと楽しみながらの練習」、中学生になって技を使えるようになった。
レスリング強豪校の安部学院高等学校に進学。この頃から社会人に交じってレスリングの練習が始まった。

 

東洋大学に進学し、レスリング部に所属する。女子部員は4人。男子相手に練習する。
高校では決められたメニューをこなす練習だったが、大学では自分で練習メニューを考える。高校でやってきた練習メニューや大学の先輩のアドバイスを参考に、自分が勝つための練習に取り組んだ。

 

歌田圭純選手-01

 

それまで水泳やソフトボールも経験したそうだが、レスリングをずっと続けてこられた理由について尋ねると、「とにかくレスリングをやることが好き」という言葉に尽きるようだ。「自分は個人競技の方が向いていると思う」と自己分析する。

 

ケガ・手術・リハビリ

高校2年からケガをするようになった。脱臼癖がつき、高校3年の全国大会の後で右肩の手術を受けた。練習再開まで半年、試合に出られるようになるまでは1年かかったという。リハビリの期間中、周りの部員と一緒に練習できないことが辛かった。早めに道場に行っては、違う部位を鍛えるトレーニングをして過ごした。手術をした以降は、脱臼することもなくなった。

 

駆け引きの競技

歌田選手の得意技は『腕取り』。相手が寄って来さえすれば腕を取れる。いかに相手に腕を出させるか、そのために自分はどう動けばいいかを考える。選手たちは自分に合った技を作り出し、切磋琢磨していく。

 

レスリングは体重別階級制。歌田選手は昨年、3つの階級で出場した。どの選手がどの階級で出場してくるかを予想しつつ、自分のその時のコンディションに合わせ出場する階級を選択している。それも駆け引きのひとつだという。
歌田選手は、体重を落とす時は試合の一週間前から減量を始める。一番多い時で何kg減量したか質問すると、「6kgかな」ニコリと笑う。

 

レスリング

 

就職活動を意識し始めた大学3年時、レスリングを仕事とする企業選択をするか、競技を引退し就職する人が多い中、「自分は仕事もレスリングもしたい」と第三の道を模索した。レスリングで鍛えた力を活かせる仕事はなにかと考えた時に、体力には自信があったのでと消防を目指した。体力が必要な消防隊の訓練も男性と同じようにこなしている。

 

歌田圭純選手-02

 

消防の仕事

現在、消防隊で業務に就いている歌田選手。消防士の仕事は火災時の消火活動だけではない。学校や事業所など地域の消防訓練、花火大会や祭りなどの警戒、応急手当などを指導する救命講習なども行う。人前で話をするのが苦手だったという歌田選手だが、社会人になって人前で話す機会が増え、他方面にわたりスキルアップできた。
「火災を起こさないための予防対策を指導することにもやりがいを感じています」と教えてくれた。

 

学生の時より、社会に出てからの方が勉強することが多くなった。「基礎から応用まで覚えることが多く、終わりが見えないですね」と話す。「これからも勉強はずっと続く」という歌田選手は、消防学校救急科を卒業したところだ。救急隊で仕事をすることを目標に勉強をしている。救急隊に女性隊員がいることで、搬送される女性が安心するなどのメリットもあるという。
また、育児休暇をしっかり取ることができるなど、女性が働きやすい環境も魅力となっている。

 

誰かのために頑張れる

レスリング中心だった学生生活から、社会人として「自分の安全が第一ではあるが、自分以外の人のために働ける仕事」を選んだ。勉強の仕方を身に着けるのが大変だったが、「レスリングも勉強も、誰かのためなら頑張れる」と歌田選手。
仕事以外の日には、母校の東洋大学にレスリングの練習に出向く。練習相手は男子大学生だ。新しい技を試す貴重な機会でもある。

 

現在、12月の全日本選手権大会に向けて練習に励んでいる。長期的な目標よりも、「1試合1試合を大切に戦っていく」姿勢を大事にしている。

 

歌田圭純選手-03

 

ライフスタイル

実家暮らしの歌田選手、最近は料理もするようになったとか。好きな食べ物は、焼き肉とチョコレート。チョコレートは常備しているタイプだ。牛乳も外せないもののひとつで、以前は、1日に5リットル飲んでいたこともある。

 

友人と毎年1回は海外旅行に出かける。レスリングの遠征で海外に行く機会が多かったこともあり、色々な国に出かけることが好きになった。今秋はセブ島に行って、ジンベエザメと一緒に泳ぐ計画だ。

 

スポーツ女子へのメッセージ

自分のやりたいことを今、やっておくことが大事です。特にスポーツは年齢が関係してくるので、学生のうちにやりたいことをやってください。

 

避難訓練や地域コミュニティとのつながりも希薄になりがちな大学生のために、日頃、気を付けておきたいことを教えていただいた。

 

・出かける前の火の元の確認
・消火器の設置場所の確認
・避難通路の確認
・AEDの設置場所の確認

 

また、いざという時に自分の住所を思い出せなくなるケースも多いため、固定電話に自宅の住所を書いておくことを勧めているそうだ。

 

応急処置、心肺蘇生、AEDの使い方などの救命講習があるのをご存じだろうか。消防本部のHPに講習日程などの情報が掲載されているので、サークルで受講してみてはいかがだろう。とっさの判断力を備えたスポーツ女子が知識を身に着けておくことで、地域貢献できることもあるのではないだろうか。

 

消防署のポスター

 

《プロフィール》
歌田 圭純(うただ かすみ)24才
平成26年3月 東洋大学社会学部 卒業
平成26年4月 埼玉西部消防局 消防士拝命
現所属:狭山消防署消防第2課消防担当

 

《主な戦歴》
2014 全日本レスリング選手権【天皇杯】・・・ベスト8
2014 全日本社会人選手権・・・準優勝
2015 全日本社会人選手権・・・第3位
2015 全日本女子オープンレスリング選手権大会・・・優勝
2015全日本レスリング選手権【天皇杯】・・・準優勝

 

《埼玉西部消防局の紹介》
埼玉西部消防局は、所沢市、飯能市、狭山市、入間市及び日高市の5市を管轄する消防一部事務組合として、平成25年4月1日から埼玉西部消防局として消防業務を開始し、4年目を迎えたところです。
管轄地域は埼玉県の西部、東京都心から50キロメートル圏に位置した、豊かな自然に恵まれた地域で、管内の人口は、およそ78万5千人、面積は406.43平方キロメートルの管轄を有しています。
消防の体制としては、1消防局5署14分署を配置し、消防用車両120台、消防職員数863人体制で各種災害に対応しており、消防組織の規模としては、政令都市並みの消防組織です。

 

埼玉西部消防組合HP
http://www.saisei119.jp/