• 水. 3月 18th, 2026

不登校は「特別」じゃない時代へ。14自治体調査から見えた、これからの学びの選択肢

不登校の児童生徒は、いまや全国で35万人以上。
そのうち、およそ3人に1人が専門的な支援を受けられていないといわれています。
教育NPO「eboard」が発表した14自治体の調査から見えてきたのは、不登校支援を広げるために必要な「2つのプロセス」と、これからの学びのあり方でした。
「学校に行けない=終わり」ではない時代へ。
いま、学びの選択肢は確実に広がっています。

不登校は“特別なこと”ではなくなっている

文部科学省の調査*によると、不登校の児童生徒数は35万人を超え、増加が続いています。
特に小学生ではこの10年で5倍以上に増加。
さらに問題なのは、約3人に1人が専門的な支援につながっていないという現状です。

*文部科学省 2025 年 10月発表「令和 6 年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」

「個人の問題」ではなく、社会全体で考えるテーマに

カギは「行政」と「民間」2つのプロセス

今回の調査で示されたのが

  • 制度拡充(行政主導)
  • 民間育成(フリースクール・NPOなど)

この2つをバランスよく進めることが重要とされています。

【A:制度拡充経路】
学校内の体制整備や学校外の公的な学びの場の整備を中心に進める「基本支援型」から、公的運営の
学びの場の拡充とともに、民間(フリースクール等)の質向上をねらいとしたソフト面での支援を行う「公的担保支援型」に移行する。

【B:民間育成経路】
「基本支援型」から民間への支援や利用家庭への支援を行う「民間支援育成型」に移行する。

官民が政策段階から連携する「包括支援型」は最も充実した類型ですが、そこへの一足飛びの進化は困難であり、実際には段階を追って支援を深化させている状況が明らかになりました。

支援は段階的に進む「4つの類型」

自治体の取り組みは以下の視点で整理されています

  • 公費助成の度合い
  • 質的な関与(教育の中身)

自治体ごとに「現在地」が違う
つまり、「一気に理想形にはならない」という現実も明らかに

現場で起きているリアルな課題

(自治体担当者からの声)
●議会の主流派との方針が合わず、全域での統一した導入には調整ハードルが高い。
「公教育を破壊する気か」という声もあった。
●首長、教育関係者の理解を早期に得るためには、一定の権威(大学機関等)が重要。
●民間団体毎に、歴史も含めて発言力の強さの違いがある。
声の大きい団体にどうしても影響を受けやすいが、「あそこの団体のための制度”と思われてしまう」可能性もあり、バランスが難しい。
●民間団体はそれぞれ取り組みの思いも異なり、様々な団体がある。同じ方向を向く、というのは、コミュニケーションも含めてなかなか難しいのが現状。

(民間団体からの声)
●行政が声をかける団体は決まっている。メンバーを見ても、出来レース?と感じることがある。
●意見は聞くけど、結局反映はされない。呼ばれるのも年 1 回あるかないか。結局、民間の意見を取り入れようとしてはいないのではないかな、というのが実感。
●行政内の理解者を作っても、(行政担当者や校長の)入れ替わりで、また関係の作り直し。

制度だけでは解決できない壁

広がる「自治体格差」と支援の多様化
多くの自治体では、文部科学省が示す基本政策にとどまらず、フリースクール等の民間団体への直接・間接的な支援や「学びの多様化学校」の設置、メタバース(バーチャル空間)の活用といった、従来の形に捉われない新たな施策を打ち出しています。
しかし、同様の施策を導入しても、自治体によって事業の進展や成果に差異が生じています。
これは、各自治体が抱える「予算・人員・組織文化」といった目に見えにくい実務上の課題が、施策の成否を分ける要因となっていると分析しています。

学び方はひとつじゃない時代へ

現在は、
・フリースクール
・ICT教材(eboardなど)
・メタバース学習
など選択肢が広がり、「学校に行く」以外の道が現実的に存在します。

これから必要なのは「両輪の支援」

NPO 法人 eboard による 3 つの提言

1・民間団体との早期連携
現在の不登校の増加、人口減少地域における学校の統廃合等を考慮すると、フリースクール等民間団体の存在なくして、不登校の子の居場所や学びの確保の実現は難しい。
【B:民間育成経路】の土台となるフリースクール等団体との関係構築には時間を要するため、【A:制度拡充経路】を強化していく場合でも、並行してできるだけ早期に民間団体との関係づくりを進めていくことが望ましい。

2・地域に合わせた制度設計
フリースクールへの運営費補助やメタバースによる不登校支援等の新しい取り組みは、同じ施策でも予算措置やその運用体制において自治体間に違いが見られ、それが成果の違いにもつながっていた。
施策そのものだけでなく、各自治体が置かれた地理的条件や人口動態、民間団体との関係性等の要素に基づき、近しい条件に置かれた好事例の細部から学び、制度設計することが求められる。

3・学校内・外の両輪支援
校内の居場所と学校外(民間フリースクール等)の支援を切り分けず、一体的に進めること 。
官民問わず、学校外での取り組みが着目されがちだが、本来的には学校や教室がすべてのこどもが安心して過ごし、学べる環境であることが望ましい。
学校外での居場所や学習機会の確保は欠かせないが、安易に「学校に来れないのであれば、学校外で支援すればいい」という考えに偏ってしまっては、学校をさらに「学校に合う子の場所」にしてしまいかねない。
学校外との円滑で充実した連携のためにも、「基本支援型」に位置づけられる取り組みは欠かせないものである。

    不登校という言葉に、ネガティブな印象を持つ人はまだ多いかもしれません。
    しかし今回の調査から見えてきたのは、「選択肢が増えれば、可能性も広がる」という事実です。
    これからの時代は、「どの道が正しいか」ではなく、「自分に合った学び方を選べるか」が大切になっていくのではないでしょうか。

    「eboard」団体概要
    ~「学びをあきらめない社会の実現」へ~
    「周りに塾がなくても、学校に行けなくても。たとえ、学校をやめてしまっても、学べるチャンスを提供したい。」
    NPO 法人「eboard」は、貧困、不登校、発達課題など、さまざまな環境にある子どもたちが学ぶことをあきらめないように、デジタル(ICT)教材 eboard をはじめとしたテクノロジーを活用した解決策を提供することで、全国のこども・家庭をサポートすると共に、公⽴学校、フリースクール、学習支援 NPO と連携して、一人ひとりが自分に合った学びを実現できる社会の実現を目指しています。
    2024 年度には ICT 教材 eboard の年間利用者数は 203 万人を超え、12,000 ヶ所以上の学校・教育現場
    へ提供されています。
    また企業、団体と協働し、聴覚障害、外国ルーツ、発達障害などの子どもたちへの学びのために学習教材に字幕をつける「やさしい字幕」プロジェクトを実施、21 社が資⾦の提供やボランティアで参画。
    これまでに 1,800 名以上がボランティアに参加し、人間による精度の高い字幕つき映像教材を支えています。
    日本 e-Learning 大賞・文部科学大⾂賞、ジャパン SDGs アワード・SDGs 推進副本部長賞など、受賞歴多数。

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