一橋大端艇部 漕手を徹底サポートするマネージャー

朝4時、朝練前の選手に食べさせるオニギリ作りからマネージャーの1日はスタートする。
男女関係なく同じ練習メニューをこなしトレーニングする選手のほとんどは、寮で共同生活をしている。一橋大学艇庫(埼玉県戸田市)を訪れ、新体制になったばかりの一橋大学端艇(ボート)部女子主将立本明莉さん(3年)、マネージャー長岩田知佳さん(3年)に話を聞いた。
(左から立本さん、岩田さん)
寮生活
ボート部の漕手(そうしゅ)は、朝5:30~8:00朝のトレーニングをしてから、国立市にある一橋大学に向かう。1限の授業がある1年生は、4:30~7:00が朝練の時間だ。授業が終わり、寮に戻って夕方のトレーニングメニューをこなす。そんな漕手の生活を全面サポートしているのが女子マネージャー達だ。練習開始の45分前に起床し、オニギリを作る。
漕手が練習を始めると、朝食作りにとりかかる。朝食を食べさせることも大事な仕事だ。大学から戻れば、夕方のトレーニングの間に夕食作りをする。料理を担当するのは、栄養係の女子マネージャー。食事メニューを考え、カロリー計算をして、漕手ごとのウエイトコントロールも行っている。夜、漕手のマッサージもマネージャーの仕事だそうで、16:00~22:00まで部活をやっているような活動ぶりだ。
もちろん、部の運営、シフト管理、ビデオ撮影、事務仕事を担当するマネージャー達もたくさんいる。ボート部は、漕手、コックス(舵手)、マネージャーによって成り立っている。マネージャー長の岩田さんは、大学では部活のマネージャーをやろうと決めていたそうだ。ボート部に入り、伝統の商東戦(一橋大学VS東京大学)幹事を担当してきた。今は、マネージャー長として、シフト管理やミーティングメニュー作成、司会なども担当する。後輩たちの意見を汲み取りながら、漕手のためのよりよい環境作りを行っていく。
主将の役割
高校ではテニスをやっていたという立本さん。大学では本気でスポーツをしている部活に入りたいと自分に合ったところを探し、ボート部に出会った。毎日のトレーニングで、両手の掌はマメだらけだ。「初めは痛かったけれど、ここまで硬くなればもう感じません」と微笑む。女子漕手をまとめる立本さんに、ボートの魅力について尋ねると、「水の上でスーッとスピードを出した時が楽しいです」と答えてくれた。
ボートは、1人で漕ぐシングルの他に、2人、4人、8人とチーム戦の種目がある。自分の技量に全てがかかるシングルと異なり、チームの場合は漕手の意識がそろわないと進めない競技だ。立本さんは、ボートは感覚のスポーツだと説明する。オールを漕ぐ腕の感覚でその日のコンディションがわかるのだという。チーム作りの方法を質問すると、リーダーを担当制にして毎日、誰かがリーダーを務めるようにしていると教えてくれた。みんなが思ったことを口に出すようにして、意思統一を図っているそうだ。女子主将の立本さんだが、ボートは全員で一緒に練習することがあまりない。課題もそれぞれなので、考えていることも異なる。オフの時に、一緒にご飯に行ったりショッピングに行ったりして、女子ならではのコミュニケーションを取っているようだ。
毎年、11月初めに一橋大学で開催される一橋祭で、ボート部は「オムソバ」を販売している。店頭販売をせず、もっぱらカゴに入れて売り歩くという珍しい販売方法を取っているそうで、一橋祭の数ある模擬店の中で売り上げNo.1を誇っている。約80万円の売り上げは、シングル用の艇が買える金額なのだとか。学園祭をも自分たちの活動にしっかり役立てていた。
立本さんに今後の目標を聞くと、「来年のインカレです!」と意気込みを語った。あまり音楽は聴かないそうで、試合の時は、靴紐をキュッと結びなおして気を引き締めていると教えてくれた。
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