日本ローイング協会が2024年6月15日、パリオリンピック&パラリンピックの壮行会を明治記念館で開催し、男子軽量級ダブルスカル 宮浦真之選手・古田直輝選手(ともにNTT東日本)、女子軽量級ダブルスカル 大石綾美選手(アイリスオーヤマ)・廣内映美選手(明治安田)、PR1M1x 森卓也選手(養和会/CHAXパラアスリートチー)、パラリンピック審判 隈元幸治氏(JARA国際審判員・神奈川県)が記者会見を行った。
![日本ローイング協会主催のパリオリンピック・パラリンピック壮行会に登壇した選手と隈元審判](https://ranrun.jp/wp-content/uploads/2024/06/rowing5.jpg)
女子軽量級ダブルスカルに出場する大石綾美選手は、リオ、東京に続き3度目の五輪出場となる。
五輪初出場の2016年リオ大会は、場数を踏んできた大石選手であっても、気が付けばいつの間にか終わっていたと話す。
夢の大舞台となった東京大会では、全てを出し切り、やりきった。
そして競技生活から引退することを考えたという。
しかし病が見つかった母の闘病生活に寄り添うなかで、自分にできることは「頑張っている姿を見せること」だと気づいた。
アスリートの不屈の闘志に勇気をもらった人は多い。
大石選手は闘う自分の姿が病気と闘う母の力になると信じて、競技生活継続を決めた。
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「日本史上最高位を目指します」
2度の五輪出場を経験した大石選手のメンタルは、さらにパワーアップしたようだ。
意気込みを語る姿勢からも力強さを感じる。
これまでの日本女子軽量級ダブルスカルの世界最高位は9位。
パリ大会では、8位入賞、ファイナル出場を目指す。
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そして、大石選手とクルーを組むのが五輪初出場の廣内映美選手だ。
廣内選手がボートを始めたのは大学に入ってから。
高校までは競泳に取り組んでいた。
競泳の経験がボートにどう活きているかと問われると、2000mを漕ぎきる体力かなと答えていた。
さらに、競技をするうえで他のスポーツの視点は大事だとも話した。
廣内選手がボートを始めた時、既に大石選手は世界で闘う憧れの存在だった。
今、その大石選手と二人で艇に乗り、大きな大会に臨むことの喜びを語る。
「自身最高のパフォーマンスを発揮します」
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大石選手は廣内選手について、「絶対的なパワー、持久力のある選手」と話す。
ボートは漕手同士の漕ぐタイミングが合わないと進まない。
前で漕ぐ大石選手の回転の速さにタイミングを合わせ、後ろからパワーで押し進める廣内選手といったところだろうか。
2度の五輪を経験してきた大石選手が必ず言うのが、「正しい漕ぎ方を続けること」。
基礎練習を徹底して行っている。
いかに上手くオールを水に入れるか。何度も何度も繰り返し練習する。
オールが水に入った瞬間の音で、その違いがわかるそうだ。
経験の大石選手、努力の廣内選手
クルーとして組み始めてまだ3か月。
毎日がとても充実しており、楽しく過ごしていると話す。
大石選手が経験を元に出す課題に、廣内選手は努力でクリアしていく。
2人で積み重ね、日本史上最高位を目指すと話す大石選手は、「組んで日が浅いので、(クルーとして)伸び代が大きいです」と笑顔をみせた。
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男子軽量級ダブルスカル出場の宮浦真之選手は、初めての五輪出場でまだ緊張もないと言い、「全力で楽しみたい」と話す。
古田直輝選手は、前回、アジア・オセアニア大陸予選で優勝するも出場枠の関係で東京大会には出場が叶わなかったことを踏まえ、「努力が実った。楽しんでやりたい」と意気込みを語った。
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PR1M1xに出場の森卓也選手は、パラ陸上の日本代表選手だったがケガにより競技を断念。
しかしボートに転向して3年、五輪出場を掴んだ。
自身をチャレンジャーと称し、「番狂わせを起こしたい」と意気込む。
写真提供:日本ローイング協会
RanRunが取材してきたボート部やラクロス部のほとんどがそうだったように、大学入学を機にそれまでとは違う競技に挑む学生は案外多い。
大学から始めて世界というフィールドを目指せるのも、カレッジスポーツの魅力である。
廣内選手の頑張る姿は、ボート部で頑張る学生たちの活力になることだろう。