• 月. 4月 29th, 2024

おうち時間の過ごし方 読書の秋におススメの2冊

コロナ禍で学生生活の過ごし方も様変わりしました。課外活動も活発に行うことができない状況が続いていますが、皆さんは「おうち時間」をどう過ごしていますか?
スポーツの秋が定番のスポーツ女子も、読書の秋を堪能してみませんか?
インターン生のAOIさんが、この夏休みに出会った素敵な書籍2冊をご紹介してくれました。

『逃げるな 新人外科医 泣くな研修医2』中山祐次郎著

 幻冬舎文庫 2020年4月3日発売

著者の中山祐次郎さんは現役の外科医で、これまでに『泣くな 研修医』という、医学部を卒業後2年間、医師になるための研修に励む医学生たちの日常を描いた本を出しており、その続編です。
主人公の雨野隆治は、東京の病院でプライベートの時間を削ってまでもがん患者をひたむきに治療する外科医という設定です。
ある日、彼の実家九州に住む父が突然重篤ながんを医師から告げられたことを母から知らされる場面が出てきます。
家族は現実を受け入れることができない中で、雨野は患者の治療と同様に父の病気を冷静に分析していくというストーリーです。
私の友人が今年から研修医として働く事になったのがきっかけで、手に取った本です。
研修医は一人前の医師になるためにどのような経験を重ねていくのかが気になりました。そのエピソードに加えて、雨野の異変に気付いて彼をサポートする先輩や恋人の支えにより、彼の心情が変化していくのが、この小説の注目ポイントだと思いました。

https://www.gentosha.co.jp/book/b12984.html

『銀婚式』 三田寛子著

中央公論新社 2016年11月16日発売

著者はタレントで梨園の妻(歌舞伎役者の妻)でもある三田寛子さんです。
私は成駒屋(なりこまや)という、日本を代表する歌舞伎の屋号の役者さんが好きで、歌舞伎を観劇するのが趣味です。
実は、三田寛子さんが結婚したお相手が中村芝翫(なかむら・しかん)という歌舞伎役者で、成駒屋の人気役者なのです。
テレビで歌舞伎役者のドキュメンタリー番組を観た時に、歌舞伎の世界では奥さんがいつも役者さん達を裏で支えている姿が印象的でした。
また歌舞伎座の上にある、歌舞伎グッズを扱うお店で、役者の奥さんが書いた本は珍しいなと思い、読んでみようと思いました。
この本のタイトルである「銀婚式」は結婚して25年たった時のお祝いです。
この本が出た2016年当時、三田さんは25年間、歌舞伎の世界で妻、女優、母の役割を果たしてきました。
もともとアイドルタレントとして15歳の時に上京したそうです。
本書の中で私が一番好きな三田さんの言葉は、「故郷に錦を飾るまで、生まれ故郷の京都には絶対に帰らない」です。
歌舞伎の世界では、役者をしている男性が一番偉いとされているため、奥さんは「縁の下の力持ち」として家業を支えるとのこと。
例えば歌舞伎の舞台に関しては、例え相手が息子であろうと、女は舞台に関して感じたことなどを口出ししてはいけないそうです。
現代社会では「男女は平等」と教えられています。
そのような社会で日々の生活を送る私にとっては、歌舞伎の世界は「亭主関白で窮屈そう」と感じてしまいました。
しかし、三田さんは「時代錯誤であっても、これも素敵ではないかと考えて家業を支えている」と述べておれます。
歌舞伎を愛する心、周りの方からの叱咤激励、三田さん自身の持つ強い信念があるからこそ、口にできるのだと感じました。
三田さんには3人の歌舞伎役者の息子さんがいらっしゃいますが、育て方を工夫しているなぁと思いました。
歌舞伎役者の方は生まれた時から歌舞伎を引き継ぎ、幼い頃から歌舞伎一筋で育てられるものだと思っていました。
しかし三田さんは、スポーツをしたり、大学生活を過ごさせるなど、いろいろなことを子供たちに経験させて、そのうえで本人たちに歌舞伎の道に進むことを決めてもらったそうです。
最近は私と同じか、少し若い10代の歌舞伎ファンも増えています。
この本が出てから5年たった今も、歌舞伎の裏側を支える三田さんの3人のお子さんの育て方や、三田さんが京都で過ごしていた子供時代のお話しなど共感できるところが沢山あると思うので、ぜひ読んでいただきたいです。

https://www.chuko.co.jp/tanko/2016/11/004917.html

RanRun編集部 学生スタッフ AOI

(2021年9月掲載記事リライト)