• 月. 6月 24th, 2024

追い続ければ夢や目標は達成できる バトントワラー矢島琴葉

バトントワリングという競技を皆さんはご存じだろうか。
私自身も過去にやっていたバトントワリングについて、競技を多くの人に知ってもらいたいと思い、今回、競技歴12年の矢島琴葉(やじま・ことは)さんに取材させてもらった。

「バトンを使った表現は無限」
バトントワリングの魅力をこう話すのは、大学1年生の矢島琴葉(やじま・ことは)さん。
小学校1年生の時にバトントワリングを始め、競技歴は12年になった。
他の競技と比べ認知度があまり高くないバトントワリングだが、矢島さんが長く続けてこられた競技の魅力について話を聞いた。

始めたきっかけは母からの勧め
4歳の頃から幼稚園で新体操を習っていた矢島さん。
小学校入学と同時に、お母さんから「新体操での経験を生かした他の習い事を」と勧められたのがバトントワリングだった。

バトントワリングとは、シャフトと呼ばれる金属の棒の一端にボール、もう一端にティップという小さな重りが付いたバトンを回したり、空中に投げたり、自由自在に操りながら演技をする競技。
コンタクトマテリアルと呼ばれる身体の近くで素早く様々な技を繰り出す技術、エーリアルと呼ばれる空中に高く投げ、その間にスピンやアクロバティックな動きをする技術、ロールと呼ばれるバトンを手で握らず身体の上を転がすように回転する技術などいくつか技に種類がある。

技の難易度の他に、ドロップと呼ばれるバトンを床に落とした回数、膝・肘や手足の先がしっかりと伸びているか、さらに団体の場合は振付が揃っているかや投げたバトンの高さが揃っているかなど、作品の完成度も評価対象になる。
新体操も手具を投げたり転がしたりするという部分や団体では曲に合わせ皆で振りを揃える部分が似ている。
ただ、新体操は5つの道具を使うがバトントワリングはバトン1つのみだ。

競技者から見たバトントワリングの魅力
「バトンを使った表現が無限にあることだと思います。バトンを使って表現することで、一人一人の個性や魅力を引き出せたり、バトンを通じて思いを伝えることができます。それがバトントワリングの魅力だと思います」と、矢島さん。
作品や仲間を大切にする思いなど、これまで積み上げてきた感情を表現することができる。
さらに、作品に入り込むように演技することで作品一つ一つに込められたストーリーを伝えることもできるという。

バトントワリングの種目には、個人と団体がある。
個人種目では、特に自分に合った練習方法や得意不得意などを研究する必要があるため、新しい自分を知るきっかけ、向き合う機会につながっていくそうだ。
個人種目には1本のバトンを用いて競うソロトワール、2本用いるトゥーバトン、3本用いたスリーバトン、2人で演技を行うペア、パレードで船頭するようにマーチに合わせるソロストラット、音楽に合わせるダンストワールがある。

団体種目では、年齢や性格、技術レベルもバラバラなメンバーと共に一つの作品を作る。
「仲間たちと一つの作品を作り上げるまでに、かけがえのない思い出やドラマが生まれます。それが団体種目の魅力です」
矢島さんは、そう答えた。

バトントワリングの団体は4人以上という決まりがある。
団体種目でメンバーをまとめていく際、矢島さんは何を意識していたのだろうか。
色々なメンバーが集まって作られたチームなので、一人一人が感じた様々な思いや意見に耳を傾け、感じ方や捉え方が多様であることを意識して接することを心掛けていると話す。
「色々な考え方がある中で、メンバーをまとめることは難しい。だからこそ、一つ一つの意見を大切にし、より良い結論を出すことで、チームがまとまることに繋がると思います」
特別にまとめる役割があるわけではない。
メンバー一人一人が意見を出し合い、チームのためにできることを考えて行動している。

バトントワラ―のライフスタイル
個人団体を合わせると年間1~6つほどの大会がある。
練習時間は、通常レッスンが週1回2時間、大会の有無に応じて土日をメインとしたイベントレッスンが行われている。
特に団体の大会は、全国大会出場へ向けハードな練習が行われる。
夏休みなどの長期休暇では、練習時間・日数共に増え、長い場合は午前中から夜まで練習を行ったこともあるそうだ。

実はバトントワリングは、笑顔で踊り続けなければならない競技だ。
矢島さんも習い始めた頃は、1曲笑顔で踊りきることが難しかったそうだ。
先生から出された課題を、練習場だけでなく自宅でも行ったことで、基礎体力が上がった。
体力が上がったことで、心から楽しんで演技をすることができるようになり、自然と笑顔で踊り続けることに繋がったという。

ハードな練習で欠かせないのが食事だ。
練習の間にご飯休憩があり、矢島さんは母が作るお弁当を食べることが多かった。
「好き嫌いなく、とにかく沢山食べていた記憶があります」と笑った。
特に猛暑の中での練習は夏バテしやすいため、バランスよくしっかり食べ、熱中症対策を心掛けていたそうだ。
バトントワリングは、練習中でのケガも多い。
一度ケガをしてしまうと同じケガを繰り返してしまうことがあり、痛みが長引き技や演技に影響が出てしまうため、ケガへの恐怖心は否めないようだ。

矢島さんには、今も忘れられない辛い経験がある。
それは大会で思うような結果を残せなかったこと。
小学校3年生から、憧れの先輩と同じチームに参加することになった矢島さん。
全国大会出場を目標に掲げ練習を重ねたが、目標を果たすことはできなかった。
「あの悔しい経験が自分を強くしてくれたと思っています」といい、今でも大会後の先輩の涙が忘れられないと語った。

そんな矢島さんの強い味方は支え合う仲間の存在だ。
「常に私の周りには心強い仲間がいて、辛いときも支えてくれました。上手くいかない時は、自分のことのように悔しがってくれたり、練習に付き合ってくれたりしたメンバーや先生の存在はとても大きいです」と話す矢島さん。

バトントワリングをやっていた中での嬉しい瞬間について、「新しい技ができるようになったときや、大会で良い結果が残せたときです」と言うが、これは矢島さん自身だけでなく、仲間がそうであったときも同じだと話す。

沢山の努力や練習を経て、それが実を結んで結果に繋がった瞬間は今でも忘れられないそうだ。
支え合う仲間と喜びを分かち合う瞬間こそが、競技者にとってのバトントワリングの魅力なのかもしれない。
「(バトントワリングが)一つのことを続ける力や、仲間を思う気持ちを成長させてくれた」と矢島さんは言う。
ずっと続けてきたからこそ叶えられた夢があり、かけがえのない仲間と出会うことができた。

目指す将来の自分像
矢島さんが目指すのは、有言実行型の温厚篤実な人。
自分が発した言葉や行動に責任を持ち、広い視野を持って行動する。
誠実で誰にでも親切に接することができる人になりたいと話す。

バトントワリングを通して、小さなことを積み重ねていく力、周りへの感謝を忘れないこと、何事も結果だけでなく過程も大切にしていくべきだということを学んだ。
この経験は、今後のどんな人生においても必要なことだと感じている。
それを誰かのために役立て、活かしていくことが目標だと矢島さんは話してくれた。

スポーツ女子へのメッセージ
叶わないかもしれないと思った夢や目標も、一生懸命追い続ければ達成できることを私自身、身をもって経験しました。辛くて挫折しそうになった時でも、今では諦めなくて良かったと心の底から感じています。
何か大きな壁にぶつかっても、近くにいる仲間と支え合ってチャレンジしてください。

取材 RanRun学生スタッフ 小林七葉

(2021年9月掲載記事リライト)