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鳴海璃子の代表作にしよう!-映画『無伴奏』プレミア試写会報告

映画「無伴奏」キャスト

キャー!女性に埋め尽くされた会場内から黄色い歓声が上がる。
映画『無伴奏』ホワイトデープレミア試写会が2016年3月14日、一橋ホール(東京都千代田区)で開催され、上映前のトークイベントにメインキャストの成海璃子、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜と矢崎仁司監督が登壇した。

『無伴奏』は直木賞作家小池真理子の半自叙伝的同名小説を映画化した作品。1970年代前後の仙台を舞台に、多感な女子高生 野間響子が少女から大人へと成長する出会いと別れを描いている。ただ、その出会いは危険な香りに誘われ始まった。当時のファッション、街並みなどが再現され、4人が集うバロック喫茶「無伴奏」がノスタルジックな空気を漂わせる。
テーマは「愛と死とエロス」と矢崎監督が言うように、なかなか刺激的なシーンが多い。
上映前ということもあり、含みを持たせた登壇者同士の会話が笑いを誘っていた。

矢崎監督の話に笑いをこらえる遠藤新菜さん

原作者 小池真理子のファンだという矢崎監督は、『無伴奏』は「人が人を好きになることをつきつめたいと挑んだ作品」と説明する。
観客へのメッセージを求められ、「池松壮亮と会った時、僕らは裸になればいいので、成海さんの代表作にしようと言われました。少女だった成海璃子が大人になる作品にしたいと思いました。変化する瞬間の人は美しいです。少女から大人になる美しい変化を観て欲しい」と語った。

矢崎監督

主人公 響子を演じた成海璃子さんは、演じた感想を訊かれ「脚本をもらった時から、響子は全てを背負って生きていかなくてはならないと知り、覚悟が必要だと思って役に挑みました」と答えた。今回の作品が初の本格ラブストーリー主演となったことについて、「現場では渉を好きになろうとしていました」と役作りについて語った。

成海璃子さん

響子が恋する渉役を演じた池松壮亮さんは、斉藤工さんとのシーンについてどのような演技指導があったかと問われ、「言われるがままに」と笑いを誘った。同じく成海璃子さんとのシーンについて問われると「その場の空気で」と言葉少なに答えていた。

池松壮亮さん

ミステリアスな祐之介を演じた斎藤工さんは、矢崎監督と会った時に「祐之介がいる」と言われたそうで、具体的な演技指導はなかったものの、「内側から助言をもらったような気がする」と語った。
撮影中のエピソードについて「寒い吹き抜けのシーンが多く、衣装を着ていないシーンが多く、人肌を欲し、人って温かいと感じました」と観客の期待を煽る。
可愛らしいリップクリームを塗っていたそうですねとMCが突っ込みをいれると、色々な味のリップクリームをつけていたそうで、「好きな味はマンゴー味」と明かした。

斎藤工さん

自由奔放なエマを演じた遠藤新菜さんは、雑誌『non-no』の専属モデルとしても活躍している。高校生の時に女優というチャンスを掴み、演じてきた遠藤さんだが、この作品を通し心情が変化したそうだ。外から観ていた人達を近くで感じるようになり、あらためて頑張らなきゃ!と思うきっかけになったと語った。
現場でプレッシャーは感じていたが、エマという役柄もあり、それを出さないようにしていたそうで、共演者の皆さんがくだけた感じで仲良くしてくれましたと撮影中の様子を伝えた。

遠藤新菜さん

ストーリーをちょっとだけ・・・
学園紛争が起きていた時代、今の学生には想像がつかないかもしれない。主人公の響子は高校生ながら時代の空気に感化され、「制服廃止闘争委員会」を結成する。校内で革命を訴えビラを撒き、大学生に交じってデモに参加し、シュプレヒコールを上げる。響子のそれは、背伸びした大人の真似ごとに近い。
そんな時、当時流行だったバロック喫茶に入り、渉・祐之介・エマの3人に出会う。大学生の渉に惹かれ、ファーストキス、そして初体験へと響子は恋にのめり込む。
しかし、渉と祐之介にはなにか秘密めいた空気が漂う。単に少女の切ない恋物語とは違い、今でいうBLの要素が絡み、急展開していく。
ノスタルジックな映像と映画のテーマ曲となっているパッヘルベルの「カノン」、登場人物のファッションが織りなす「無伴奏」独特の空気が漂う作品だ。
R15作品であることを追記しておく。

映画『無伴奏』 3月26日(土)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー
配給:アークエンタテイメント
(C)2015「無伴奏」制作委員会