「生きるってそういうことですよね」あどけない笑顔の中に、芯の強さを感じさせる。
10月29日公開の映画『秋の理由』にヒロインのミク役で出演の女優 趣里さん。NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の大塚寿美子役でご存知の方も多いだろう。
ケガによりバレエを断念し、職業として女優という道を選択したという趣里さんに、バレエから得たもの、女優という仕事、映画のことなど話を聞いた。
「バレリーナで食べていきたかった」いきなり本音をさらけ出す。
4歳からバレエを始め、バレリーナになるためにイギリス留学した。
17歳でやめた理由はアキレス腱と足首のはく離骨折。
日本に帰ってバレエを続ける道もないわけではなかったが、「やるならちゃんとやりたい」とバレエをやめる決断をする。
中途半端なことはしたくなかった。
帰国して大学受験をした。
―バレエを通して得たもの
バレエの魅力は「苦しさの対局にある美しさ」と答える。
バレエの美しい動き、表現は、毎日の厳しい練習の積み重ねで作られる。
厳しい練習だけでなく、舞台に立つためには激しい競争の中で勝たなければならない。
精神的にも鍛えられたという趣里さん。
「ちょっとやそっとのことじゃ、きついなんて思わなくなった」と振り返る。
―芝居の勉強へ
大学受験を終えた後、自分を見つめなおした趣里さんは「表現者」でありたい自分に気づき、芝居の勉強をするために演劇の学校に入った。
学校では「自分を出すことの恥ずかしさ」を取り払うことを学んだ。
現在、年に数本の舞台に立つ趣里さんの基礎がここで磨かれた。
―女優という仕事
「女優はお客様がいてできること」といい、好きなお芝居を仕事としていくことへの責任について話し出した。
自分の芝居を観た人が「楽しい」と感じてくれることの「ありがたみ」を忘れてはいけない。
お客様への感謝を忘れないようにと、常に心掛けているそうだ。
「楽な仕事と思われがちかもしれないですよね」と苦笑しつつ、「甘えたことも頑張ったことも、最後は自分に返ってくるので、自分を奮い立たせることが大切」と語る。
照れながら「生きるってそういうことですよね」と言った。
芝居を観てくれた人が「楽しかった、感動した」と言ってくれた時は、自分が目指したものを受け取ってもらえたことに幸せを感じる。
とはいえ、このまま続けられるのか不安になることもある。
自分で決めた道ではあるが、ぶれそうになる時もある。
「でも、一筋の希望を忘れない」といい、自分に戻ることができる。
監督が伝えたいことを自分を通して表現したい。
表現を続けられる人でいたいと語った。
映画『秋の理由』ヒロイン ミク
福間健二監督の最新作『秋の理由』で、独特な空気を持った女性ミクを演じている趣里さん。
詩人でもある福間監督の作品は、観る人の心の在り方で受け止め方が違ってくる。
役作りについて尋ねると、「スッと落ちてきた」といい、監督の空気感をそのまま演じた。
ミクは自分とは異なるタイプの女性、相手に率直にものを言えて、行動的なところが羨ましいと教えてくれた。
福間監督の「言葉」や「人との距離感」が美しい作品。
「日本の美しさ」や「その人の人柄」も描かれている。
観た人がどう感じたか知りたいといい、「観た人の感想を聞かせてください」と趣里さんからの熱いメッセージがあった。
―ライフスタイル
体が資本の女優という仕事。
気を付けていることを尋ねると、「最近、発見したことがあるんです」とニコッと笑う。
「ストレッチ!」
バレエをやっていた時は、欠かさずやっていたストレッチも忙しいと忘れがち。
「リンパを流したり、意識して体を動かすと顔も違ってきますよ」と話す。
食事についても気を遣っている訳ではないが、野菜不足だと体が重くなるので、ビタミンを摂るようにしているそうだ。
サプリメントで補う時もある。
好きな食べ物は、すっぱいものや辛いもの「お酢や梅干しが好きです」とのこと。
モチベーションを上げる曲はビートルズ
イギリス留学でバレエをやっていた頃、音楽プレイヤーに入っていたのはビートルズの曲ばかりだった。今でもビートルズの曲を聴くと、バレエをやっていた頃を思い出し、初心に帰ることができるそうだ。
―スポーツ女子へのメッセージ
自分自身も、これから乗り越えなければいけないことがたくさんあると思います。
将来に向かって、一緒に前を向いて頑張りましょう!
学生のパワーを私にくださ~い!
映画『秋の理由』
10月29日より新宿K’s cinemaにてロードショーほか全国順次公開!
監督 福間健二
出演 伊藤洋三郎 佐野和宏 趣里 寺島しのぶ
配給・宣伝 渋谷プロダクション
©『秋の理由』製作委員会
撮影協力
ヘアメイク&スタイリスト:山崎惠子
ニットプルオーバー/ トゥービー バイ アニエスベー
パンツ/ ニコル ホワイト
イヤリング/ ラフィア
リブ・ショートブーツ/ KEIKA
取材 RanRun編集部 Yuki Yanagi
2016年10月掲載記事リライト