• 火. 3月 18th, 2025

東京エディション虎ノ門・東京エディション銀座が「女性が“自分らしく生きる”ことを考えるトークセッション」開催

国連が1975年に3月8日を国際女性デーと定めてから、今年で50周年を迎えました。
それに先駆け、東京エディション虎ノ門と東京エディション銀座が、2つのイベントを開催しました。
社会の意識が変化しつつある一方で、根深いジェンダーギャップや無意識のバイアスが残る現状に触れ、さまざまな分野で活躍する女性たちが一堂に会し、女性の権利や生き方、そして未来について深い議論を交わしました。

“ニュー・ジェネレーション・オブ・ラグジュアリー”をテーマにしたエディション

エディションは、「ニュー・ジェネレーション・オブ・ラグジュアリー」をテーマに、LGBTQ+など多様なバックグラウンドを持つ人々を支援し、自由に自分らしく生きる権利を守ることを目指しています。
国際女性デーを祝し、2023年から開催しているこのトークセッションは、女性として生きる権利や活躍の場を広げるための一環として実施されています。
2025年の今年は、東京エディション銀座にて3/1(土)に第一弾、東京エディション虎ノ門にて3/5(水)に第二弾を実施、アート、エンターテイメント、ビジネス、社会活動など多様な分野で活躍する女性たちを迎えました。
東京エディションのカルチャー&エンターテインメントディレクターの白川麻美さんと*国際協力NGO ジョイセフ事務局次長の小野美智代さんがセッションをリードし、それぞれの経験や視点から女性の権利、立場、そして未来について考える場となりました。

*JOICFP(ジョイセフ)は、すべての女性が健康で、どこにいてもSRHR(性と生殖に関する健康と権利)をenjoyし、自分の人生を自分で選択できる世界を目指す国際NGO団体です。

東京エディション銀座 国際女性デー トークセッション

3月1日(土)に開催された第一弾のセッションでは、国際協力NGOジョイセフ事務局次長の小野美智代さんをはじめ、モデル、女優や歌手としても活躍するSumireさん、レディースモデルとして新たなスタートを切ったIvanさん、書道家の万美さん、アーティスト兼イラストレーターのNARIさん(LITTLE FUNNY FACE)、ライフスタイルブランド「アマテラス」代表の佐藤マクニッシュ怜子さん、DJのHarunaさんなど、異なる分野で活躍する女性たちが参加。
東京エディションの白川麻美さんが進行役を務め、それぞれの経験や考えをシェアしながら、女性としての生き方や権利について意見を交わしました。

50年の歴史とともに進化した女性の権利、残る課題
この50年の間に、ジェンダー平等を目指す法整備や育休制度の改善など、少しずつ女性の権利が確立されてきました。
しかし依然として男女間の賃金格差、管理職や政治分野での女性の少なさなど、改善されていない課題が多く残っています。

小野美智代さんは、「都市部よりも地方都市の方が、男尊女卑の価値観が色濃く残っています。たとえば、震災の義援金やコロナ禍の給付金は“世帯主”にしか振り込まれなかったことで、多くの女性に届きませんでした。それを当たり前だとする日本。世帯主=男性という前提がある限り、女性は経済的に自立しにくい構造になっています。」と話します。

また、「日本は出産や中絶で亡くなる女性が少なく、日本の女性は平均して世界で最も健康で長く生きます。でも、だからといって女性が自分の人生を自分で決めて、自分らしく生きられているか、と聞かれるとどうでしょうか。日本はまだ産むことがキャリアの弊害になっている女性は多く、あまり知られていませんが10代よりも40代の中絶数が多い現状があります。日本は中絶で命を落とすことはないので問題視されないですが、医療従事者が不足している国・地域や中絶が合法でない国では、自分自身で安全でない中絶を試みて亡くなっているのです。2分に1人の割合で、1日にすると約800人もの女性がこの問題で亡くなっている現実を、もっと多くの人に知ってほしいです。」と話し、支援を続けています。

女性としての生き方とその壁
働く環境や業界、立場によって、女性として生きる難しさは異なります。
賃金の格差やキャリアにおける障壁、性別による評価の差など、さまざまな壁を感じながらも、女性たちは自分らしく生きるために奮闘しています。
特に、女性起業家やアーティストたちは、社会的な偏見や期待に対してどのように立ち向かっているのでしょうか。
その声を通じて、次世代に希望と変化をもたらすための気付きとメッセージが発信されました。

大学時代の22歳でブランドを立ち上げた佐藤マクニッシュ怜子さんは、若さと女性であるということが大きなハードルとなったと話します。
「本当に話を聞いてくれているのか?」と疑問に思う場面も多く、ビジネスの相談をしていた男性経営者からは“別の目的”で食事に誘われることもあったそうです。

「意見を発する女性は疎まれて、女性として求められるロールモデルがいまだに存在していることも感じます。でも、今は時代が変わりつつあることも感じています。メディアが女性の起業家を取り上げる機会が増え、女性たちが声を上げることで、ビジネスシーンの空気も変わり始めました。」

視覚だけで心に訴えかけることができるイラストを通して活動しているNARIさん。

「絵は言葉よりも直接的にメッセージを伝えられるものだから、アート業界では作品の本質を見てもらえることが多く、これまで大きくジェンダーでの差を感じたことがほとんどありません。しかしアパレル業界にいた頃は、性別によって変わる評価のされ方に違和感を持ったこともありました。」

万美さんは、書道は子どもの頃に習っているのは女性が多いのに、プロになると男性ばかりで、賞の審査員もほとんどが男性だと話します。
「今もなお受賞しても賞金が出ないどころか、賞をいただいたお礼として、師匠に30〜100万円ほどの金額を納めるという慣習が続いています。それが払えず辞めていく人も多い。現在はそこから距離を置き、新しい形で書道を発信しています。」

Sumireさんは、「15歳の時からこの業界にいると、女性の立場がどれだけ弱いものか分かってきます。監督に意見を言えば『気難しい女』というレッテルを貼られるなど、男性が多い環境下では、女性が意見を持つだけで敬遠される空気があります。また、体型やキャラクターについて求められることも多く、人からの評価や判断が基準にされているようで、自分自身が幸せでいることを求めるだけでも簡単ではありません」と話しました。

Ivanさんは、今ある本来の自分らしさを手に入れたきっかけについて話しました。

私は女性として生きているけど、世間では“元男性”という目で見られることが多いです。
エンタメ業界では、おねえキャラとして求められることが多く、自分をピエロのように演じなければならないことがありました。でも、同じような経験を持つ誰かの憧れの女性として自信を持って言ってもらえるようになるためにも、私は“女性として生きること”をもっと自由に発信したいです。だから、今回この場にLGBTQ+として参加させてもらったことがとても光栄で大きな意義を感じます。

未来を変えるために私たちにできること

エディションが多様なバックグランドを持つDJを招いて行う様々なイベントで、実際にその場に立つDJのひとりであるHarunaさん。

音楽を通じて多様な価値観を受け入れる場を作ることができたら嬉しいです。そのような場で自分も成長しながら、次の世代に何かを伝えられる存在になれたら嬉しいです。

白川麻美さんの締めの言葉
エディションは自分らしく自由に生きることを何よりも大切にしています。
女性であることを“特別なこと”として捉えなくてもいい社会を作ること。それが私たちの目指すべき未来だと思います。
今、私たちがこうして声を上げることが、次の世代の生きやすさにつながるはずです。 

東京エディション虎ノ門 国際女性デー トークセッション

3月5日(水)に開催された第二弾のセッションは、第一弾同様に小野美智代さんを筆頭に、歌手として活躍するAIさん、クリスタル ケイさん、新たな活動をスタートさせたマリウス葉さん、DJそしてPOOLDE / PEGIONのデザイナーのPELIさん、モデルの立野リカさん、ナイキジャパン ブランドマーケティングディレクター、ウィメンズのアントン ミエさんを招き、白川麻美さんと共に、性教育の重要性、メンタルヘルス、多様性などについてセッションが行われました。

次世代へ繋ぐ“性”教育、そして大人の学びの重要性
日本の性教育は他の先進国と比較して遅れを取っているとされ、その背景には社会的なタブーや教育方針の制限、保護者の主観などの影響が影を落としていることが指摘されました。

小野美智代さん
日本の公教育において一貫した性教育は行われていません。例えば、中学一年の保健体育科の学習指導要領を見ると学校教育の中で性交は取り扱わない方針であることが分かります。学校もやらないし、親もどう教えていいかわからないので、性的トラブルになっている大半が、同意のないものです。相手がノーと言っているのも分からず性交渉し、トラブルになる。もともと昔からあったけれど、ようやくここ最近テレビも報道するようになりましたから、そこはすごく変わりましたよね。

アントン ミエさん
私が小さい時、日本の公立の小学校では性教育はほとんどなかったです。
今、私の子供たちは東京の公立小学校に通っていますが、小学校の性教育が大きく変わっていてびっくりします。性に関して何かモヤモヤすることがある、誰かに嫌なふうに触られて嫌な気分になった、先生に変なふうに見られて嫌な気分になった、というようなことがあったら報告してくださいと。学校とコミュニケーションが取れています。小学校でもこのような環境があることに驚きました。自宅でも性に関しては話をします。
うちは、男の子2人なので、責任を感じる部分もあります。きちんとコミュニケーションをとって、同意がどういう意味なのかを伝えていきたいです。

これを受け、小野さんは「学校で男女一緒に生理(月経)の話と精通の話をすることが、ユネスコも推進しているグローバルスタンダードの性教育ですが、日本で実際に学校で男女一緒の教室でそれをやると保護者から『生理の話を男の子がいる前でしたなんて、とんでもない』とクレームが入ります。そういう親が実は多いと聞きます。だから親たち、大人たちへの性の教育も同時並行で実施する必要があると思います」と話しました。

クリスタル ケイさん (写真右)
性教育もそうですけど、今は次世代の幼い子たちが自然と、『あ、これはみんなで一緒に学ぶものなの』という考えになったら、だいぶ世の中が変わると思います。
私には子供はいないけどもしいたら、弱い者いじめはダメだよと教えると、守らなくてはいけない、優しくしてあげなきゃいけないというところから、大きくなったら自然と、女性の生理ってこういうことでお腹が痛いとか、他者への思いやりが身に付いていくのではないでしょうか。

メンタルヘルスへの意識向上とカウンセリングの重要性
話題は、日本におけるメンタルヘルス対策の遅れと、その重要性についても。

AIさん
周りの人たちが悩んで悩んで、みんな鬱になるわけです。“鬱”っていう言葉をこんなにも聞いた年はないぐらい。
みんなから届くのは、『助けて』『もう死にたい』『どうしようもない』みたいなメッセージが多い。だから、最近は歌でも死なないでって書くことが多くなっている。
とにかく人が死なないようするには、どうしようっていうこと。気力がないと、何か変えようと思ってもできないじゃ ないですか?
だから、みんなを元気にさせないといけないと思っています。

マリウス葉さん
心の問題や、トラウマがあってもカウンセリングを受けないというのが日本の現状。自分がちゃんと信頼できて、話しやすいなというセラピストを見つけるまで、いろいろな方と話してみた方がいいと思います。いい出会いがあったら、メンタルヘルスは回復するから。
日本の学校って、我慢が素晴らしいみたいなことを教えますよね。だから、たとえ体がサインを出しても、それを無視することを学ぶんです。
それで大人になった時に、ストレスを感じても我慢しないといけないっていう思考になるんだと思います。

性の多様性とジェンダー平等
日本では現在でも、「男らしさ」「女らしさ」という固定観念が根強く残り、女性がキャリアを重視すると「家庭を顧みない」と批判されたり、男性が育児に積極的だと「男のくせに」と言われたりすることがあるのは事実。
その社会的プレッシャーと共に、本来、性はグラデーションで良いにも関わらず性別を固定化し役割を助長していると言えます。

AIさんは「“男の子なんだから”と言う表現を家族がすることがある。“男子はもっとしっかりしろ!”みたいなことだと思うのだけど、それは昭和の表現じゃないですか?今の時代、ジェンダーで分ける必要はないと思います。家族も多分口癖みたいな感じで、自分も親から言われてきたことだから、『しっかりしてほしい』という思いから言ってというのも分かるけど、その“男の子だから”っていうフレーズがどうしても引っかかります」と話しました。

PELIさん
私はファッションや音楽という、割と頭が柔らかい人が多かったり、セクシャルマイノリティと呼ばれている人の比率が一般的な職業より多い業界にいるので、生きにくさには気がついていないだけかもしれません。
でも、これは日本の中でもとても特殊な環境にいるのだとも自覚をしています。なので、もう少し職種や地域、カルチャーなどが違う環境に身を置いていたらこれも一転してしまうんだろうなと。
そして、最近危険だなと思う事は“多様性”という言葉が一気に広がり過ぎて、一過性のブームやおしゃれ、トレンドになりつつあることです。
全員違う生き方があり、カルチャーや宗教、家庭、年代などそれぞれ人には背景があるから、思想や信じているものが違うのは当たり前。それを真っ向から否定したり、押し付け合うんじゃなくて、一人でも傷つく人が減る方向に、歩み寄りながらバランスを取りませんか?と私は思います。

白川麻美さんの締めの言葉
エディションの国際女性デーのイベントは必ずジェンダーをミックスして、いろんな業界のいろんな人を集めています。本来、それが当たり前なのです。それぞれ人生も、好きなことも生き方も違うものです。最終的には、人間としてリスペクトされているか?されてないのか?それが男性だろうが、女性だろうが関係ないと思うんですね。
一人一人の生き方が重要で、私たちにできるのはただひとつ“リスペクト”です。

“自分らしく生きること”を何よりも大切にし、女性であることを特別視しない社会を作ることが、エディションの目指す未来です。 ー 白川麻美

情報、画像提供:東京エディション

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