「速く泳ぐ」だけではない——
人命救助に直結するスキルを競うライフセービング競技。
全国の大学生たちが2026年2月14日・15日の2日間、日環アリーナ栃木(栃木県宇都宮市)で真剣勝負に挑みました。
「第17回全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会」 (主催:公益財団法人日本ライフセービング協会 併催:プール競技記録会2025)では、大会記録の更新が相次ぎ、学生全体のレベル向上が際立つ結果に。
来たる夏の海の安全を支える若き担い手たちの実力とは——その舞台裏に迫ります。
大学No.1に輝いたのは日本体育大学ライフセービング部
今大会には、37チーム・487名の選手が栃木県宇都宮市の「日環アリーナ栃木」に集まりました。
チーム種目での圧倒的な強さに加え、表彰台の独占や入賞者の多さなど、トップ選手だけでなくチーム全体が存在感を示した日本体育大学が、男女ともに総合優勝を果たしました。
4年生の活躍が目立った一方で、「来年もアベック優勝を狙えるほど下級生の成長が著しい」という声も多く、来年度の大会にも期待が高まります。
女子総合は、2位が東海大学湘南体育会、3位が慶應義塾大学。
男子総合は、2位が早稲田大学、3位が慶應義塾大学という結果となりました。

障害物スイム(50m)
優勝は、東海大学湘南体育会の甚内優那選手と、早稲田大学の関口広太選手。
この種目は参加標準記録を設定せず、泳ぐことが苦手な選手、他の種目でのエントリーが厳しい選手が出場できるよう、誰もがライフセービングスポーツを楽しむことを目的に、2023年度大会につくられた種目です。
両選手とも、日本代表強化指定選手として昨年の11月にはオランダの国際大会に出場している、実績を持つ選手。
特に関口選手は2023年度大会で優勝に輝いており、この種目の初代チャンピオンでもあります。

障害物スイム(200m)
優勝は、東海大学湘南体育会の小田実由選手と石田周也選手。
小田選手は大学1年生ながらも優勝し、今後の大学ライフセービング界を引っ張る存在として期待が高まります。
石田選手は前回大会では惜しくもメダル獲得にはならず、今大会で初のメダル獲得となりました。

マネキンキャリー(50m)
優勝したのは早稲田大学の関口広太選手でした。
競技ルールの変更により、日本新記録や大会新記録が大会ごとに更新される中、今回は特に注目のレースとなりました。
元日本記録保持者である日本体育大学の原柊太選手と、原選手とともに8月に中国で開催された「The World Games 2025」で日本代表として世界と戦った関口選手の対決に期待が集まりました。
さらに、大阪体育大学の西田一生選手や慶應義塾大学の内野隼選手も加わり、メダル争いは激戦となりました。
その中で、関口選手はタッチ差で勝利し、29秒51の大会新記録を樹立しました。

マネキンキャリー・ウィズフィン(100m)、マネキントウ・ウィズフィン(100m)
フィン種目の2種目において、日本体育大学が男女どちらとも入賞の半分を占めており、多くのポイントを獲得。
日本代表として活躍した日本体育大学の山田結選手、原柊太選手がチャンピオンの座を譲らずフィン種目の二冠を果たしました。

マネキントウ・ウィズフィン(100m)
男子では、1位から3位までを日本体育大学が独占しました。
また、ユース(中学生・高校生)からライフセービング競技に取り組んできた大学1年生の選手たちは、器材を使用する種目への習熟度が高く、同世代の選手に比べてメダル獲得や入賞が多く見られました。
(日本体育大学:斎藤優心選手、大久保良祐選手、杉野恵美乃選手/国際基督教大学:富田梨紗子選手)

スーパーライフセーバー(200m)
2017年以来の大会記録更新。
慶應義塾大学の内野隼選手が2分13秒45を記録し、大会新記録を更新しました。
これまでの大会記録は、現在JLAライフセービングスポーツ副本部長であり、日本代表としても活躍する上野凌氏が、慶應義塾大学在学中に樹立したものです。
その記録が、9年ぶりに同じ大学の後輩によって塗り替えられました。

チーム種目
日本体育大学が圧倒的な強さを示しました。
今大会のチーム種目は男女合わせて10種目あり、そのうち 9種目で日本体育大学が優勝 を飾りました。
女子チームは、東海大学湘南体育会、慶應義塾大学、早稲田大学との接戦が続く中で大会新記録を樹立しつつ、各種目でしっかりと優勝を守り切りました。
男子チームはさらに勢いがあり、全種目で他大学を寄せつけず優勝。
いずれの種目でも大差をつけ、大会新記録を更新する場面が印象的でした。


今大会では、チーム種目に限りプールサイドのデッキが開放され、観客が間近で応援できるようになりました。
選手入場時の演出も強化されたこともあり、例年以上に会場全体が一体となって選手を後押しする光景が印象的でした。
出場人数が最も多い日本体育大学をはじめ、大阪体育大学、明治国際医療大学、早稲田大学、東海大学湘南体育会など、多くの大学が仲間を力強く応援する姿が見られました。

優勝選手/チーム
障害物スイム(50m)(女子) 甚内 優那 / 東海大学湘南体育会
障害物スイム(50m)(男子) 関口 広太 / 早稲田大学
障害物スイム(200m)(女子) 小田 実由 / 東海大学湘南体育会
障害物スイム(200m)(男子) 石田 周也 / 東海大学湘南体育会
マネキンキャリー(50m)(女子) 甚内 優那 / 日本体育大学
マネキンキャリー(50m)(男子) 関口 広太 / 早稲田大学 ※大会新
レスキューメドレー(100m)(女子) 中島 星南 / 東海大学湘南体育会
レスキューメドレー(100m)(男子) 原 柊太 / 日本体育大学 ※大会新
マネキンキャリー・ウィズフィン(100m)(女子) 山田 結 / 日本体育大学
マネキンキャリー・ウィズフィン(100m)(男子) 原 柊太 / 日本体育大学
マネキントウ・ウィズフィン(100m)(女子) 山田 結 / 日本体育大学
マネキントウ・ウィズフィン(100m)(男子) 原 柊太 / 日本体育大学
スーパーライフセーバー(200m)(女子) 浜地 沙羅 / 慶應義塾大学 ※大会新
スーパーライフセーバー(200m)(男子) 内野 隼 / 慶應義塾大学 ※大会新
障害物リレー(4×50m)(女子) 東海大学湘南体育会
障害物リレー(4×50m)(男子) 日本体育大学
マネキンリレー(4×25m)(女子) 日本体育大学
マネキンリレー(4×25m)(男子) 日本体育大学 ※大会新
メドレーリレー(4×50m)(女子) 日本体育大学
メドレーリレー(4×50m)(男子) 日本体育大学 ※大会新
プールライフセーバーリレー(4×50m)(女子) 日本体育大学 ※大会新
プールライフセーバーリレー(4×50m)(男子) 日本体育大学 ※大会新
ラインスロー(12.5m)(女子) 日本体育大学
ラインスロー(12.5m)(男子) 日本体育大学
大会の様子
年間シリーズの優勝は男女共に、日本体育大学ライフセービング部!!!
年間シリーズは、オーシャン(海)・プール・SERCの3大会の結果を総合し、年間優勝チームを決定します。
男子は3大会すべてで総合優勝を果たし、圧倒的な強さを示しました。女子はオーシャン(海)の学生選手権で東海大学湘南体育会に優勝を譲ったものの、SERCと今大会で総合優勝を獲得し、年間シリーズの頂点に立ちました。
表彰式では主将と副主将が大学を代表して登壇し、「年間シリーズ優勝は全員で勝ち取ったもの。ここまで多くの方々に支えていただき、感謝している」とコメントしました。
また、部員が出場していないレースでも積極的に他大学の選手を応援したり、運営スタッフへの挨拶やサポートを行ったりする姿が見られ、周囲からも愛されるチームであることが印象的でした。

BLSアセスメントは新たな課題発見
BLSアセスメントは訓練用ダミー人形を用いてBLS(心肺蘇生とAED)の手技を行い、その正確さを評価する種目です。
ライフセーバーにとっては、走力や泳力だけでなく、正確な救命技術を身につけていることも欠かせません。
男女それぞれの出場登録選手から抽選で2名が選ばれ、初日に審査を実施。
2日目には結果が掲示され、評価員であるJLAインストラクターからフィードバックが行われました。
評価はA・B・Cの3段階で行われ、A評価は指摘事項がなく、ほぼ完璧に近い技術を示します。
しかし今大会では、男子チームのA評価が少ない結果となりました。
9月の「第40回全日本学生ライフセービング選手権大会」では、AEDの電極パッドの貼付位置や密着不足が課題として浮き彫りになりました。
今大会でも同様に、
(1)貼付位置の誤り
(2)密着不足による浮きやしわ
(3)コードや衣服の巻き込み
といった問題が多く見られ、引き続き改善が求められる点となりました。
一方で、早稲田大学ライフセービングクラブ女子は高い技術力を示しました。
「第40回全日本学生ライフセービング選手権大会」を含む過去3大会でA評価を獲得しており、今大会でもその期待に応えてA評価を獲得。
これにより、4大会連続(2024年度インカレ/プールインカレ/2025年度インカレ/プールインカレ)でA評価を達成した唯一のクラブ として、大きな称賛を集めました。
大会概要
大会名称:第17回全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会 (併催:プール競技記録会2025)
主催:公益財団法人日本ライフセービング協会
日程:2026年2月14日(土)~15日(日)
会場:日環アリーナ栃木(栃木県宇都宮市)
後援:スポーツ庁、栃木県、宇都宮市、公益財団法人日本水泳連盟
協賛:ソニ-生命保険株式会社
参加者数:37チーム 487名(学生大会の参加者数)
大会ページ:https://ls.jla-lifesaving.or.jp/lifesaving-sports/event-schedule/no17-student-lifesaving/
大学No.1を決める戦いの裏側には、夏の安全を支える準備があります。
競技としての進化とともに、社会的な役割も担うライフセービング。
この春、新しい一歩を踏み出す学生たちにとっても、「スポーツ×社会貢献」という選択肢を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
