• 金. 5月 10th, 2024

先達に学ぶ第4回は、スケート・ショートトラック元日本代表 桜井美馬さんが勤務する東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社 人事企画部ダイバーシティ推進室室長の岡田公代さん。「東京都女性活躍推進大賞」受賞(2015年)、「名古屋市女性の活躍推進認定企業」優秀賞受賞(2014年、東海東京証券)など、女性の活躍推進に力を入れる同社の取り組み、岡田さんが考える「女性の活躍とは」、仕事のやりがい、学生へのメッセージなどを伺った。

ダイバーシティ推進室とは
岡田さんの言葉を借りると、「社員それぞれが、組織の中で強みを活かして力を発揮できるよう、サポートするところ」。年齢や性別にかかわらず、誰もが活躍できるための環境整備をしている、女性3人のチームだ。社員全員に「ダイバーシティバイブル」を配布し、意識の共有を図っている。

女性の活躍とは
企業で活躍するのは、男性も女性も変わらない。
「活躍とは、企業の中で自分がやりたいことを実現すること。人それぞれ、活躍の仕方がある」と岡田さんは語る。例えば、管理職としてマネジメント力を発揮する。同社では、2017年3月末までに女性の管理職比率20%を目標に掲げている。若手の登用も多く、実績があれば若手でもチャンスはあるそうだ。
もうひとつには、特定分野で専門性を発揮するキャリアもある。同社では、特定のコースも設定されており、処遇も管理職と遜色ない。
日本企業において、出産・育児といったライフイベントが、女性の活躍の場を狭めてきた経緯は否めない。東海東京フィナンシャル・ホールディングスでは、早くから女性のキャリア形成に関する環境整備に取り組んできた。チャレンジしたくても時間的な制約等からためらってしまう社員をのバックアップの取り組んでしている。

人材育成
同社では入社3年目までを若手社員と位置付けている。ほとんどの新入社員は、リテール営業からスタートする。顧客の個人宅を訪問するため、入社1か月は、マナー研修で挨拶の仕方、名刺の受け渡しなどの社会人としての基本を学ぶ。支店では、先輩社員が言葉遣いなどの指導をしてくれる。1年目は月に1回は研修があり、金融に関する勉強やフォローアップ研修などで、証券パーソンとしての専門性を身に着けていく。
資産運用の話は、細やかな気配りが必要とされるため女性の担当者を求めるニーズは多いのではないかと岡田さんは言う。
入社4年目からは中堅社員として、同期との一律の研修から各自の業務にあわせた専門性の高いものになっていく。また、女性向けにはキャリアデザイン研修が行われる。結婚、出産などのライフイベントを想定するとともに、自分の強み・弱みを把握することで、「どういう自分でいたいか」を考えるのだという。
ライフイベントが発生するタイミングは人によって様々。キャリアデザインも人それぞれ、色々なパターンが考えられると岡田さんは言う。

育児支援
育児休業取得者のほぼ全員が復職する。育児休業は最長子どもが3歳になるまで取得できる。休暇取得中も月1回社内の情報誌を送付し、上司や職場とのコミュニケーションを取りやすい環境を作っている。
復職後は、子供が小学校3年生の3月末になるまで「育児短時間勤務」を利用できる。出勤時間を遅くするか、帰宅時間を早くするかを選択し、勤務時間を2時間短くする制度だ。2人のお子さんを育てる岡田さんも、育児短時間勤務を利用した。自分の経験も活かし、女性のキャリア支援、育児支援の環境を整えている。
育児休暇、育児短時間勤務によるキャリア形成の遅れに対し、昨年から育児短時間勤務の再取得制度を設けた。子供が保育園に通う間は、フルタイム勤務が可能になる人もいる。しかし、小学校低学年は子供の帰宅時間が早く、迎えが必要な場合もあり、フルタイムの勤務が困難になる。キャリア形成のロスを少なくするため、フルタイム勤務が可能な時期はフルタイム勤務に戻し、希望があれば育児短時間勤務を再取得できるようにしたという。

証券会社の魅力
法学部出身の岡田さんだが、会社説明会で金融の仕事に関心を持ったという。色々な企業の戦略を知ることができる魅力を感じたそうだ。今後はどんな展開が想定されるかを自分で考える面白さがあるという。
また、リテール営業ではたくさんのお客様に会うことができ、その多くは社会経験豊かな人達で、色々なことを学ぶ機会になったという。
結婚・出産などのイベント後も仕事を続ける姿勢は、お客様の信頼につながり、新規の資産運用のご相談をいただくケースも多かったそうだ。お客様から子育てに対するアドバイスをいただいたり、応援していただいたり、子供の話でお客様との距離が縮まった。

管理職という仕事
岡田さんは、チームメートに、色々なことを経験してもらうように心がけているという。業務の目標をチームで共有し、1人1人が参加意識を持てるようにしているそうだ。メンバーそれぞれが、業務遂行のためによく動き、お互いに気配りをするチームができあがっている。

今後の目標を尋ねると、営業・育成を経験してきたので、違う分野でも経験を積んでいきたいと教えてくれた。

スポーツ女子へのメッセージ
スポーツとビジネスは重なる部分があります。皆さんは地道な練習をコツコツと継続してきたと思います。ビジネスにおいても、当たり前のことをコツコツと継続することが大切です。試合ではチームで戦略を立てますが、企業においても同様で、チームで戦略を立て課題を解決していきます。仕事もプライベートも、損得ではなく、楽しんで欲しいと思います。

<岡田公代氏プロフィール>
出身地 愛知県
所属  東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社
人事企画部ダイバーシティ推進室
役職名 室長

<経歴>
1998年入社、リテール営業として愛知県の店舗に配属。
30歳で営業課長に昇進、第1子出産。その後は若手育成に携わる部署に異動となり34歳で第2子出産。2014年から現職。


取材 RanRun編集部 Yuki Yanagi

(2016年3月取材記事リライト)