• 月. 11月 2nd, 2026

【ドクターハッシー/内科医 橋本将吉の健康コンパス】第19回 生理前のイライラ・不調の正体は?女性ホルモンが脳に与える影響を解説

ドクターハッシーの画像

YouTubeやメディアでも活躍する内科医・橋本将吉先生(ドクターハッシー)が、ヘルスリテラシーを高めるための実践的な 健康知識をお届けする連載。
医師だからこそ伝えられる“正しい情報”を月替わりテーマで解説します。

生理前になると、なんだか気分が沈む、些細なことでイライラしてしまう、集中力が続かない。
そんな経験はありませんか?
「性格の問題かも」「気にしすぎかも」と自分を責めてしまう方も少なくありませんが、実はこれ、女性ホルモンの変化が脳に与える、れっきとした生理現象です。
第19回は、生理前に心が不安定になるメカニズムを、女性ホルモンと脳の関係から、医師の視点でお伝えします。

内科医の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
診療の中でも、「生理前になると別人のように涙もろくなる」「イライラして家族に強く当たってしまう」というご相談を、本当によくいただきます。
今回は、その不調の正体を女性ホルモンの働きから紐解きながら、心を少しでも楽にするヒントをお伝えします。

PMS(月経前症候群)とは何か

PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、生理開始の3〜10日ほど前から現れる、心と身体のさまざまな不調のことです。
生理が始まると自然に軽くなったり消えたりするのが特徴で、イライラ・気分の落ち込み・眠気・むくみ・胸の張りなど、症状の種類や強さには個人差があります。

女性ホルモンが脳に与える影響

PMSが起こる背景には、2つの女性ホルモン、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の変動が関わっていると考えられています。
排卵の後(黄体期)にはプロゲステロンの分泌が急激に増え、生理が近づくにつれて、この2つのホルモンが揃って急激に減少します。
このホルモンの「急降下」が、脳の状態にも影響している可能性があると考えられています。

エストロゲンとプロゲステロンの変動を表すグラフ

エストロゲンには、気分の安定に関わるセロトニン(気持ちを落ち着かせる働きを持つ脳内の神経伝達物質)の働きを助ける作用があるとされています。
生理前にエストロゲンが急に減ると、セロトニンの働きも連動して低下しやすくなることが、イライラや気分の落ち込みの一因ではないかと考えられています。
ただしPMSの原因はまだ完全には解明されておらず、これは有力な仮説のひとつです。

POINT:PMSによるイライラや涙もろさは、「気持ちが弱いから」起こるわけではなく、ホルモンの変動が関係していると考えられています。自分を責める必要はありません。

あなたはどのタイプ?PMSのサインをチェック

以下の項目を確認してみてください。
生理前の1〜2週間にあてはまるものが多いほど、PMSの影響を受けやすい時期かもしれません。

生成AIで作成したイメージ画像

☑ 些細なことでイライラしたり、涙もろくなったりする
☑ 理由もなく気分が落ち込む
☑ 眠気が強くなる、または逆によく眠れなくなる
☑ 甘いものやしょっぱいものが無性に欲しくなる
☑ 胸の張りやお腹の張り、むくみを感じる
☑ 普段より頭痛や肩こりが強くなる

今日からできる、生理前を軽くする3つの工夫

根本的な体質は人それぞれで効果には個人差がありますが、日々の工夫が症状の感じ方をやわらげる助けになる場合があります。

① 生理前は「予定を詰め込みすぎない」
あらかじめ生理前の時期を把握しておき、大事な決断や負荷の大きい予定を避けるだけでも、心の余裕は大きく変わります。

② カフェインと糖分の摂りすぎに気をつける
カフェインは神経の興奮を強め、イライラ感を助長することがあります。
血糖値の急な上下も気分の波を大きくするため、甘いものは食後のデザート程度にとどめるのがおすすめです。

③ 大豆製品を日常的に取り入れる
大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た働きをする成分として知られています。
PMSへの効果が確立されているわけではありませんが、豆腐や納豆、豆乳など、日々の食事に取り入れやすい食材のひとつです。

生活の工夫を続けても症状がつらく、仕事や日常生活に支障が出る場合は、月経前不快気分障害(PMDD)など医療的なケアが必要なケースもあります。
一人で抱え込まず、婦人科に相談することも大切な選択肢です。

周囲にどう伝える?角が立たない伝え方のヒント

PMSのつらさは、自分だけが理解していても、周囲との関係の中でうまくいかないことがあります。
少し先に一言伝えておくだけで、心の負担が軽くなることも少なくありません。

① パートナーや家族には、「そういう時期がある」とあらかじめ伝えておく
「生理前でホルモンのバランスが変わりやすい時期だから、いつもよりイライラしやすいかも」と事前に伝えておくだけで、相手も心構えができ、すれ違いを防ぎやすくなります。

② 職場では、無理に体調を詳しく説明する必要はない
「本調子ではない時期」とだけ伝えて、重要な会議や判断が必要な仕事を調整してもらうのも一つの方法です。
すべてを説明しようとせず、必要な範囲で伝えることで十分です。

③ 自分自身にも「今はそういう時期」と言い聞かせる
周囲だけでなく、自分自身に対しても「今はホルモンの影響を受けやすい時期」と一声かけてあげることで、必要以上に自分を責めずに済みやすくなります。

おわりに

生理前のイライラや落ち込みは、性格や気の持ちようの問題ではなく、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。
次回は、この女性ホルモンのリズムと、11月にかけて強まる「冷え」の関係について、温活・食事術の視点からお伝えします。
まずは「自分を責めない」こと、それが一番の対策です。

橋本 将吉先生プロフィール

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内科医。『西新宿セルフライフ内科クリニック』院長。

登録者数89万人超えのYouTubeチャンネル『ドクターハッシー/内科医 橋本将吉』にて 健康教育を発信している。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念のもと、株式会社リーフェホールディングス(旧株式会社リーフェ)を設立。
医学生向けの個別指導塾『医学生道場』を運営するほか、2022年9月には健康や医学を医師から学べるサービス『リーフェアカデミー』をリリースし、企業や学校等でのセミナーも展開している。
2023年11月には、現役医師の目線から日々を健康に暮らすためのアイテムを扱うライフスタイルブランド「ハシモトマサヨシ」を立ち上げ、乳酸菌飲料「乳酸菌V28」などの商品を展開している。
2026年7月には「西新宿セルフライフ内科クリニック」を開院し、院長を務める。
「櫻井・有吉THE夜会」「林修の今、知りたいでしょ!」「めざましどようび」など多数のテレビ番組に出演。著書に『薬のトリセツ』(自由国民社)、『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』(アスコム)などがある。

リーフェホールディングス:https://li-fe.co.jp/
西新宿セルフライフ内科クリニック:https://selflife.clinic/
医学生道場:https://igakuseidojo.com/
リーフェアカデミー:https://healthcare-academy.co.jp/
ハシモトマサヨシ:https://hashimotomasayoshi.co.jp/

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