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PMS(月経前症候群)を知っていますか?

Byranchan

11月 3, 2022 #PMS, #婦人科

女性特有の悩みを解決して素敵な日々を送りませんか①

ここ数年、耳にすることが多くなった「PMS」。
女性の20人に1人がPMSで悩んでいると言われていますが、あなたはPMSについてどの程度知っていますか?
女性の健康をサポートする大塚製薬の協力のもと、かしわの葉レディースクリニック 院長 岡村麻子先生に女性特有の悩みーPMS、生理痛、婦人科受診―について、お話を伺いました。
3回に渡ってご紹介します。

―最近PMSというワードをよく耳にしますが、いつ頃から注目されるようになったのでしょうか―

PMS(Pre Menstrual Syndrome:月経前症候群)は、今から90年ほど前にアメリカのロバート・T・フランクが、症例とともに月経前緊張症と発表したのがはじまりです。
月経前7~10日ごろに精神的緊張症状などが現れる女性が多く、月経開始とともにその症状が消失することを発見しました。
それからおよそ20年後、イギリスのグリーンとダルトンが、精神症状だけではなく月経前に起こるその他の多くの症状をまとめて「PMS(月経前症候群)」とすることを提唱しました。

日本は、アメリカやイギリスに比べて、PMSを含めた女性特有の疾患の認知度が低かったため、経済産業省が働く女性の健康推進を発表、それを受けて多くの団体や企業が女性の健康に力を入れるようになり、ここ5年ぐらいでより注目されるようになりました。

PMSの症状は、家庭でも仕事でもマイナスの影響が出ています。
「家事が手につかない・嫌になる」「子供に申し訳ない」「育児が手につかない・嫌になる」「学校に行きたくない」「仕事が手につかない・嫌になる」「仕事をやめようと悩んだことがある」人は41%に及ぶという報告もあります。
つまり、注目され改善される必要がある疾患だといえます。

―PMSにはどのような症状がありますか―

月経前の3~10日に始まり、月経が始まるとだんだん収まる不調を、PMSと呼びます。
PMSの症状は200種類以上あるとされています。
代表的な症状は以下のようなものです。

①精神的症状
憂鬱な気分になる、イライラする、怒りっぽくなるなど、普段よりも情緒不安定になります。
ぼんやりして仕事に集中できない、記憶力が低下するなどの不調も、PMSの症状である場合があります。
②身体的症状
乳房の張りや痛み、疲れやだるさ、頭痛や腰痛などがみられます。
肌荒れ・ニキビやむくみ、体重が増加など、外見に表れる症状もあります。
やけに眠くなったり、逆に眠れなくなったりすることもあります。
過食がとまらなくなることもあります。

PMSの中でも精神症状が主で、それが日常生活や対人関係に大きく支障が出るほど重症な場合はPMDD(月経前不快気分障害)と呼ばれ、精神疾患の一つに分類されます。

―自分がPMSに当てはまるのか、セルフチェックの方法はありますか-

PMS症状チェックリスト(PMSラボ参照)を使ってチェックされるとよいでしょう。
月経前3~10日の間に症状が続き、月経がはじまると症状がやわらぎ、毎周期同じ症状が出るようであればPMSを疑います。
月経とともに基礎体温を付けたり、手帳に症状を記載するのもおすすめします。

―PMSに対して、食事や運動などの自分でできる対処方法はありますか―

PMSは排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が関係していると考えられますが、実はその原因ははっきりとわかっていません。
自律神経の不調(心身を興奮モードにする交感神経とリラックスさせる副交感神経のバランスの乱れ)や疲労・ストレスなども関係するとされています。
そのため、体の調子を整えることは基本になります。

東洋医学的には、気・血・水のバランスを整えます。
PMSは気の滞り(気滞:きたい・気鬱:きうつ)、血の滞り(瘀血:おけつ)、水の滞り(水滞:すいたい)ととらえられます。

バランスを整えるには、それらを動かして改善することが必要です。
自分でできる対処法として、①規則正しい睡眠や生活 ②適度な運動(長時間の座りすぎに注意!)③禁煙 ④バランスのよい食事(主食・副食・主菜・副菜:糖質制限に注意)の心掛け、甘いもの・辛いもの・塩辛いものを控える ⑤刺激物(アルコール、カフェイン)を控える ⑥呼吸法 ⑦アロマテラピー、などがあげられます。

また、食事だけでは摂取量確保が難しい栄養素は、サプリメントを活用することも有効です。
ビタミンB6、亜鉛、カルシウム、エクオール、γ(ガンマ)-トコフェロール、γ(ガンマ)-トコトリエノールなどはPMS症状の改善に取り入れたい栄養素です。

ビタミンB6、カルシウムはイライラの軽減が見込め、亜鉛はPMSのひどい人は慢性的に欠乏傾向があるとされています。

エクオールは大豆を食べると体内で生成される成分で月経周期に伴う女性ホルモンの変動を整えて不調を和らげることが期待されます。

γ-トコフェロール、γ-トコトリエノールは大豆油や米油に含まれる成分で、ナトリウムを体外に排出してむくみを軽減させる働きを持つとされています。

月経前はプロゲステロンが分泌され妊娠の準備期でもあるため、栄養や水分をためやすく「太りやすく、むくみやすく」なります。
むくみが強い人はイライラや落ち込みなどの感情が出やすいとされています。

γ-トコフェロール、γ-トコトリエノール、エクオール、カルシウム含有食品(γ-トコ複合食品)1)がPMS症状に有効と発表され、症状改善が期待できるかもしれません。

自分で対処しても改善しないPMSのつらい症状に悩んでいる人は、我慢せずに婦人科や心療内科、精神科受診をお勧めします。

1)樋口智子ほか : 日本女性医学学会雑誌; 29(4): 578-587. 2022

岡村麻子先生

かしわの葉レディースクリニック 院長 岡村麻子先生

取材 RanRun学生スタッフ MIKA