「体重制限による無月経、将来出産はできますか」
スポーツ女子へのアンケートには、素朴な疑問から将来への不安などについて書かれたものもみられました。日本体育協会公認スポーツドクターで、埼玉医科大学産科婦人科講師の難波聡(なんばあきら)先生にお話を伺いました。
【減量で今は無月経です。将来、出産はできますか】
ほとんどの場合、体重が戻れば、生理は来ます。
基本的には、将来的な問題はありません。
しかし、低体重でいることは、骨が弱く骨折しやすくなってしまうという問題があります。
女性アスリートの骨粗鬆症が問題になっています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことが大事になります。
【引退後、生理が来ない】
競技を引退しても、体重を増やさなければなかなか生理は来ません。
体重を戻しても生理が来ないようであれば、少数派ではありますがスポーツ活動と関係ない月経異常の疑いがあります。
医師に相談してください。
【生理中の運動】
生理中であっても、水泳も問題ないとされています。
ただし、衛生面での注意は必要です。
生理の期間は、どうしてもパフォーマンスは下がります。
無理に運動することはなく、自分が運動したいと思うのであれば、やればよいのです。
【生理コントロール】
本気でスポーツをやるのであれば、大事な試合などでパフォーマンスが下がることを防ぐため、低用量ピルを使って生理をコントロールすることも有効です。
ただし、体調が合わない場合はかえってデメリットになってしまいます。
自分に合った薬を探し、使用法を試しておくことも大切です。
医師と相談しながら進めてください。
【妊娠中もスポーツはできますか】
スポーツ全般の規制はしていません。
脈が上がりすぎず、衝撃が少ないスポーツであれば基本的には大丈夫です。
マタニティビクスや水泳など、妊婦のための体操もあります。
ストレス解消程度の運動はよいので、無理をせず、程度を間違えないことが大切です。
試合やマラソン大会出場などは勧めません。
【婦人科の主治医を持ちましょう】
学生のうちは、婦人科にかかることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。
しかし、生理の悩みを抱え、我慢を続けることは決してよいことではありません。
また、スポーツで最高のパフォーマンスができるように体調をコントロールすることも、競技者として大事なことです。
先ずは、家の近くで探したり大学の保健センターで紹介してもらったりした婦人科クリニックなどに相談するのもよいでしょう。
月経コントロールを考えるのであれば、スポーツに理解のある医師を探すなども検討したいですね。
自分に合った医師を探し、いつでも相談できる主治医を持つことが大切です。
<監修:難波 聡(なんばあきら)先生プロフィール>
平成 7年 3月 東京大学医学部医学科卒業
平成14年 3月 東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻修了
平成14年 4月~ 東京大学医学部附属病院
平成15年 7月~ 東京都教職員互助会三楽病院
平成17年 7月~ 埼玉医科大学病院
現在、日本陸上競技連盟医事委員会、日本オリンピック協会医学サポート部会員、臨床スポーツ医学会評議員、日本体育協会公認スポーツドクター、臨床遺伝専門医、埼玉医科大学陸上競技監督