20歳以上の大学生の皆さんは、国民年金保険料の支払いをどうしていますか?
学生納付特例制度を利用している人が多いのではないでしょうか。
では、この学生納付特例制度とはどんな制度なのでしょう。
RanRun編集部が学生に行ったアンケートでは、将来の年金を受け取れるのか不安を感じている人が多いことがわかりました。
暮らしや身の回りの悩みごとを地元の専門家に相談して解決することを目的とした「赤羽セミナー」(主催:赤羽セミナー実行委員会)が2022年9月10日、赤羽会館(東京都北区)で開催されました。
会場で個別相談に応じていらっしゃった社労士の福島継志氏に、年金について教えていただきました。
学生納付特例制度は、「免除」ではなく、「猶予」です。
つまり、年金の支払いを先延ばしにする制度なので、社会人になってからまとめた金額の「追納」のお知らせが届くことになります。
あまりよく考えないまま、制度申請している人が多いのではないでしょうか。
追納の金額は約40万円!!
現在の国民年金の支払い月額は約16,500円です。
20歳から22歳までの2年間分を猶予されていたとすると、16,500円×24回となり、約40万円になるのです。
社会人になって忘れた頃にこの金額の書かれた追納のお知らせが届いてビックリして、追納をやめてしまう人がいるそうです。
しかし、追納をしないと将来的に年金を満額もらうことができません。
なぜなら、「猶予」が「未納」に変わってしまうからです。
追納ができるのは過去10年分までなので、将来のためにしっかり追納をしておきましょう。
また、追納は分割で支払うことも可能なので、ためらわずに最寄りの年金事務所に相談するようにしましょう。
福島氏がもうひとつ、学生納付特例制度による懸念事項を教えてくださいました。
年金には、老齢年金・障害年金・遺族年金の3種類があります。
老齢基礎年金とは
保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができる年金のことです。
20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金や厚生年金の加入期間等に応じて年金額が計算されます。
障害年金とは
病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
遺族年金とは
国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
実は障害年金と遺族年金は、「未納」がないことが受給要件になっています。
つまり、学生納付特例制度の追納を行っていないと受け取れない可能性が出てきます。
いざという時のための年金が、いざという時に受給できないかもしれないのです。
「年金は税金と一緒で、国民には支払いの義務があります」と福島氏。
学生納付特例制度を使っていても、早いうちから追納のための備え、貯金をしておくとよいかもしれませんね。
<講師プロフィール>
福島 継志(ふくしま けいじ)
社会保険労務士法人 らいふ社労士事務所 社労士
取材 RanRun編集部学生スタッフ MIKA