• 水. 11月 13th, 2024

視覚障がいに関わる“壁”を溶かす事業アイデア

1回「VISI-ONEアクセラレータープログラム」デモデイ 視覚障がいに関わる“壁”を溶かす事業アイデアの受賞企業が決定

“見える”に関するイノベーションを追求し、視覚障がいに関わる“壁”を溶かす新規事業創出支援を目的とした「VISI-ONE(ビジワン)アクセラレータープログラム」が企画され、採択された企業6社による事業アイデアの実証成果を発表するデモデイが、2022年10月14日(金)に開催。
オンラインとオフラインで計163名が参加しました。

参天製薬株式会社(本社: 大阪市、以下Santen)、特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会(東京都新宿区、以下、JBFA)、一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(東京都新宿区、以下、IBF Foundation)の3者が、視覚障がいの有無にかかわらず誰もが当たり前に混ざり合う共生社会の実現を目指し、「“見える”と“見えない”の壁を溶かし、社会を誰もが活躍できる舞台にする」というビジョンを掲げ、2020年にパートナーシップ契約を締結。

この3者パートナーシップでは、「共体験でそれぞれの個性や強みを理解する」、「“見える”に関するイノベーションを創出する」、「視覚障がい者のQOL(Quality of Life)を向上する」という3つのゴールを設定し、2021年4月から様々な活動を「VISI-ONE(ビジワン)プロジェクト」として展開しています。

デモデイでは、6社の代表者が、IoT(Internet of Things: モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence: 人工知能)などのテクノロジーを取り入れた視覚障がい者が抱える課題の解決につなげる製品・サービス、また、MR(Mixed Reality: 複合現実)や器具の振動によって道を案内する技術を活用し、視覚障がいがあっても楽しめる体験提供などの事業アイデアについて、コンセプト実証の成果を発表しました。

各社の成果発表をもとに審査が行われ、アイデアの独自性や新規性、短期間での成長性と社会実装への実現性を審査基準とするBusiness Innovation Award」に(株)Ashirase(栃木県宇都宮市)が選ばれました。
また、視覚障がいに関する課題への理解および、中長期的な視点からの共生社会の実現性を審査基準とする「Social Innovation Award」に(株)GATARI(東京都千代田区)が選出されました。
受賞した2社には、賞金として各々300万円が贈呈されました。

■Business Innovation Award受賞企業

【受賞企業・所在地】 (株)Ashirase(栃木県宇都宮市)
【代表者名】 代表取締役CEO 千野歩
【事業案(登壇内容)】 靴に挿入するデバイスで行き先を知らせる歩行ナビゲーションシステム。音声ではなく振動で情報を伝えるナビゲーション「あしらせ」を使用して充実した旅・移動ができる仕組みを発表。
【受賞コメント】 今回の受賞は、「社会実装」の可能性を高く評価していただいた結果だと捉えています。「社会福祉」をテーマとした事業は、事業化が困難というイメージがありますが、Ashiraseがその認識を打破するきっかけになれば嬉しいです。

■Social Innovation Award受賞企業

【受賞企業・所在地】 (株)GATARI(東京都千代田区)
【代表者名】 代表取締役CEO  竹下俊一
【事業案登壇内容)】 MR(複合現実)技術を活用し、位置情報を自動で取得し音声が流れることで、音声と現実が融合しているかのような体験システムを発表。
【受賞コメント】 このプログラムを通じ、視覚障がい者の方々との密なコミュニケーションの機会を得て、社会課題解決に向けて、新たな取り組みに挑むことができました。今回の挑戦がより社会をインクルーシブな形に進歩、加速させることにつながればと思います。

【参考資料】

■第1回「VISI-ONE(ビジワン)アクセラレータープログラム」 デモデイ について

イベント名第1回 「VISI-ONE(ビジワン)アクセラレータープログラム」 デモデイ 特設サイト: https://visi-one.accelerator.demoday2022.jp/
採択企業 登壇内容株式会社Ashirase靴に挿入するデバイスで行き先を知らせる歩行ナビゲーションシステム。音声ではなく振動で情報を伝えるナビゲーション「あしらせ」を使用して充実した旅・移動ができる仕組みを発表。
(50音順)株式会社GATARIMR*(複合現実)技術を活用し、位置情報を自動で取得し音声が流れることで、音声と現実が融合しているかのような体験システムを発表。 *Mixed Realityとは、複合現実を指します。現実世界のすべてに対し、仮想の映像や情報を重ね合わせて表示させる技術です。
 クラスリー株式会社まるで人が話しているような高品質な合成音声を作成する、AI(人工知能)による音声読み上げソフト「Alterly(オルタリー)」を発表。
 株式会社コンピュータ サイエンス研究所iPhone用のアプリ「EyeNavi(アイナビ)」を活用したAIによる歩行支援。カメラが右左折の場所や障害物を認識し、音声で案内するシステムを発表。
 MAMORIO株式会社「忘れ物防止タグ**」技術を活かし、飲料の自動販売機の場所探知&購入をナビゲート。開発段階のアプリの概要を発表。 **BluetoothやGPS機能で、取り付けたタグの位置を知らせてくれる機器。
 リンクス株式会社点字ブロックにQR***コードを設置し、目的地まで誘導する音声アプリ。他路線への乗り換えの多い首都圏の基幹駅でのスムーズな行き来ができるシステムの発表。 ***QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
審査員 (50音順)日本ロービジョン学会 理事長 石子智士氏 鎌倉投信株式会社 投資事業部長 江口耕三氏 ヴァルトジャパン株式会社 代表取締役 小野貴也氏 公益財団法人日本パラスポーツ協会理事 兼 日本パラリンピック委員会 委員長 河合純一氏 レガシーイノベーショングループ株式会社 代表取締役社長 成瀬功一 参天製薬株式会社 執行役員 Global Head of Core Principle & People Centricity  森田貴宏   

■「VISI-ONE(ビジワン)アクセラレータープログラム」について
VISI-ONEアクセラレータープログラムは、VISI-ONEプロジェクトの一環として、今年2月より、視覚障がいに関わる“6つの壁” (①オンラインの壁、②オフラインの壁、③能力の壁、④働き方の壁、⑤つながりの壁、⑥思いがけない壁)を溶かす募集領域に対して、新規事業創出を図る企業や団体から事業化アイデアを募集しました。既存ビジネスに捉われない新しい発想や異分野からの技術応用を幅広く受け入れ、視覚障がいがありながらもビジネスの最前線で活躍するメンターやアドバイザーと協働しながら、“壁”を溶かし、かつ事業性を追求できる製品やサービスの創出を支援する取り組みです7月に採択企業6社を決定し、7月~9月にかけて行われたコンセプト実証の成果発表をこの度のデモデイで行いました。

Santenについて
Santenは、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、医療用・一般用の医薬品や、医療機器の研究、開発、販売・マーケティング活動を行っており、世界約60を超える国・地域で製品を販売しています。Santenが目指す理想の世界、「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現に向け、世界中の技術や組織・人材をつなぎ、「見る」を通じて人々の幸せを実現するSocial Innovatorとして、眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減することを目指します。130年の歴史の中で培われた科学的知見や企業力を活かし、製薬企業としての枠を越え、患者さん起点で眼科医療ソリューションの開発と提供に取り組み、価値ある製品・サービスの提供を通じ、患者さんや患者さんを愛する人たちを中心に社会への貢献を果たしていきます。
ホームページhttps://www.santen.com/ja/

JBFA(特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会、新宿区)について
JBFA は、ブラインドサッカー及びロービジョンフットサルを統括する中央競技団体で、「視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会の実現」をビジョンに掲げ活動しています。競技普及・強化活動と並行して、競技特性を活かした健常者向けのダイバーシティ教育プログラムを展開しています。2018 年度朝日スポーツ賞受賞。詳しくは、ホームページhttps://www.b-soccer.jp/

IBF Foundation(一般財団法人インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション、新宿区)について
IBF Foundationは、「ブラインドサッカーで障がいはなくせる」をビジョンに掲げ、ブラインドサッカーが国際的に広くプレーされるスポーツとなること、および各国の競技団体の組織力向上に貢献することを通じて、世界の視覚障がい者のクオリティ・オブ・ライフを向上させることを目的に、2019年1月11日に設立。世界保健機関(WHO)の「国際生活機能分類」に定義される障がいの3つの要素「損傷(impairment)」、「活動制限(activity limitation)」、「参加制約(participation restriction)」を、ブラインドサッカーを通じて解決するために活動しています。取り組み方は、①中間支援活動 ②パートナーとの協業 ③自ら主たる事業者として活動の3つの形式があります。これまで、人材を派遣しての国際大会運営支援や世界各地の団体へのブラインドサッカー用具の提供などを行ってきています。ホームページhttps://www.ibf-foundation.football/

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